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レフェリーインタビュー
レフェリーインタビュー
常にFIBAの基準で微笑みを絶やさないジャッジを心がけたい エレナ・チェルノワ
氏名 エレナ・チュルノワ CHERNOVA Elena
年齢 35歳 (1972年生)
国際公認取得年 2003年
国籍 ロシア
主な参加大会 FIBAワールドリーグ(2005年:3位決定戦)、FIBA女子世界選手権(2006年:順位決定ラウンド)、FIBAアジア選手権(2007年)、FIBA U-21世界選手権(2007年)

CHERNOVA Elena

Wリーグでは昨年度に引き続き、「トップレベルのジャッジを経験し、競技力向上を目指す」ことを目的として、ファイナルにおいて外国人の国際審判員を招聘した。今回、主審を務めたのは2年連続の来日となったエレナ・チェルノワさん(35歳)。国際審判員として5年のキャリアがあり、数々の国際舞台で活躍している。2回目の来日となるチェルノワさんに、日本のバスケットボールの感想、そして、自身の活動の場であるロシアリーグやヨーロッパの状況、そして国際審判員としてのモットーをうかがった。


日本選手の魅力は、意志の強い目の光

CHERNOVA Elena ――2年連続Wリーグファイナルの審判を務めましたが、試合についての感想を聞かせてください。

 今回で日本のファイナルを2シーズン審判させてもらいました。両チームとも戦力は昨年と大きくは変わってないけれど、プレイの精度は上がっています。両チームともシュートもディフェンスもアグレッシブでいいものを持っています。

――ファイナルを通して、日本の技術レベルをどのように見ていますか?

 日本の選手を見て一番印象に残ることは「勝とう」という気持ちが目の中に現れていること。目の光を見ていると、とにかく「勝とう」という意志が強く見えます。どんなボールにも跳びついているし、各選手のスピリットが現れています。

 日本の選手で素晴らしいと思う技術は、ドリブルからジャンプショットに持っていくスピードです。日本人は海外の選手と比べると身長が低いので、速いドリブルからシュートに持ち込んだり、速いパス回しからのショットが有効になります。また、日本の特徴としてはスピードを生かしたファーストブレイクが多い。ヨーロッパではボールを持ったらいったん待って攻撃につなげるスタイルがありますが、日本はスピードが最優先。とにかくよく動く印象があります。でも、何といっても目に現れる「勝とう」と意欲が魅力的です。

――ご自身がバスケットボールの試合をジャッジするうえで心がけていること、モットーとしていることは何ですか?

 どのゲームにおいても、FIBA公認レフェリーとしての基準を変えないこと。常にFIBAが求めていることをコート上で表現することです。それはU-21の試合でも、アジアでもヨーロッパの試合でも、世界大会でも基準は変わりません。

 また、試合に臨む姿勢としては、自分の精神状態を安定させること。自分自身を信じること。コート上で微笑みを絶やさないことを心がけています。対チーム、対パートナーとコート上でコミュニケーションをともにするのですから、微笑みは試合の雰囲気作りにとても役立っていると考えます。今のように、取材の時もコミュニケーションのための笑顔は必要ね(笑)

――バスケットボール国際審判員のほかに、普段はどんな仕事をしていますか?

 基本的にはロシア・バスケットボール・スーパーリーグ(ロシアの女子トップリーグ)で審判をしています。ロシア協会に所属して7年目になりますが、国際渉外担当として海外のチームとコミュニケーションを図り、ビザの取得、遠征の手配なども私の仕事です。ユースチームも担当しているので、ユースチームの遠征は全部面倒を見ています。それから、審判や国際関係の仕事がない時は、試合のアナウンスもします。アナウンスの仕事もない時はバスケットボールの執筆業をしています。執筆内容はゲームに臨む準備運動や心構えについてです。

――審判をして、国際部の仕事もして、試合のアナウンスもして、執筆業もこなして、ロシアのバスケットボール運営のすべてに関わる仕事をしているのですね。

 その通りです(笑)。バスケットボールというのは私の人生のすべてなのです。

――北京オリンピックでは審判員としてノミネートされています。どのような心構えで大会に臨みたいですか?

 素晴らしい舞台にノミネートされたことに感謝しています。まず、コンディションを整え、精神状態も安定させ、完全な状態で臨めるようにしたいです。北京オリンピックの前のFIBAダイアモンドボールにもノミネートされているので、1か月間くらい中国にいることになるので、コンディションを整えることが一番ですね。


変わりゆくヨーロッパのバスケットボール事情

CHERNOVA Elena ――ロシアリーグの特徴について教えてください。

 最近のロシアリーグ特徴は、アメリカやヨーロッパ各国から海外の選手を多く使うようになっています。ロシアではどちらかというと組織的なことより個人技が要求され、監督も高い個人技を持つ選手を優先に使うところがあります。

 基本的には海外選手を招聘する人数に制限はありません。とにかくチームのスポンサーが勝つことを最大の目標にしているので、海外選手を集めることに抵抗がないのです。どこのポジションにも海外の選手がいます。ただ、コート上にはロシア国籍の選手が2人はプレイしなければならないというルールがあります。

――海外プレイヤーを多く招聘することは、国内の強化や選手のレベルアップにつながっていますか?

 現在、国内の実力ある選手はすべてロシアリーグでプレイしていますし、リーグの上位4チームからナショナルチームの選手が選ばれている状況です。私個人の意見ですが、海外の選手が多いといっても、そのことがナショナルチームを強くすることに直接結びついているとは考えていません。ただ、ファンやチームにとっては、多くの選手が高いパフォーマンスを見せてくれることによって、応援しているチームが勝つということにつながるのですから、いい選手が多いことは喜びにつながると思います。

――ヨーロッパは実力が拮抗しており、イタリアやフランス、リトアニアなど、オリンピック世界最終予選に出られない強豪国がたくさんあります。ヨーロッパの実力の移り変わりをどのように感じていますか?

 今のヨーロッパは状況が刻々と変わっていて、各国の状況が読みにくいですね。ロシアでいうと、スペインから新しいヘッドコーチとスタッフを招いて、チームをてこ入れした結果がヨーロッパ1位という結果につながりました。

 ラトビアとリトアニアとチェコという3つの国について話をさせていただきますと、ラトビアはリーダー格が2人いてチームを引っ張っています。この2人をどれだけ周りの選手がサポートできるかが今後のカギでしょう。リトアニアに関しては、スタッフは変わらないけれどヘッドコーチが新しくなって、それがどう影響するかが読みにくい。チェコはこの数年間の中で最強チームと言われています。ヘッドコーチはブルノという強豪チームのヘッドコーチを兼ねていて、面白いことにナショナルチームもすべてブルノの選手。国内も同じ、ナショナルチームも同じ顔ぶれ。いつも同じメンバーで結果を残してきたけれど、今後は精神面で馴れ合いが生じてくる影響も否定はできません。私が見るかぎりでは、現時点ではこの3チームがどう上がってくるかが、ヨーロッパのキーポイントです。

――その中でも、ロシアとスペインがヨーロッパの中心でいる状況は当分変わりそうにないですか?

 常に新しい風は入ってこなければなりませんが、この2か国がヨーロッパの中心になる図式は変わらないでしょう。ただ、今後はどうなっていくか予想はつきません。少し前で言えば、ラトビアとベラルーシがヨーロッパのファイナル4に入ってくることは誰も考えられなかったことですから。この2チームが入ってきたことが、私の言うことを裏付けていると思います。


――最後に国際審判員の目から見て、今後の日本のバスケットボールについて一言アドバイスをお願いいたします。

 まず、日本の良さである「勝とう」という気力をずっと持ち続けてほしい。オリンピック世界最終予選では、得意である3ポイントと、ドリブルからの速いシュートを高い確率で決めることを徹底してほしい。海外には身長が高くて筋力の強い選手がたくさんいます。日本はその中に入るとリバウンド面では当たり負けしてしまうので、ジャンプ力で勝負できるように強化することが必要でしょう。そして、日本の一番の魅力であるチームでまとまって、「勝とう」という意欲を持つことが大切だと思います。


(インタビュー/小永吉陽子)

 



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