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2006年1月25日(水)特集

富士通の明るいキャプテンモットーは雑草魂と根性!

船引 まゆみ選手(富士通 レッドウェーブ)

船引 まゆみ

今回のゲストはオールジャパンで優勝した富士通のキャプテン、船引まゆみ選手です。オールラウンダーぞろいの富士通の中で、運動能力とジャンプ力を生かしたプレイを持ち味として主力として活躍しています。西岡中で全国大会に出場し、札幌山の手高、愛知学泉大と姉のかおり選手と同じチームをたどり、愛知学泉大時代は4連覇を達成。ユニバーシアードにも2度出場しています。カッティングからインサイドポストなどインサイドプレイが得意ながら、最近は外角シュートの確率も上がってプレイの幅を広げている最中。明るい性格で、元気な笑顔でチームをまとめる船引まゆみ選手の素顔に迫りました。

——オールジャパン優勝おめでとうございます。優勝した感想を聞かせてください。

何日か経ってから「優勝した」という実感が出てきました。周りの人や会社の人が喜んでくれたので、そういう人たちのためにも勝てたのがうれしかったです。オールジャパンの決勝に勝って優勝したというより、リーグの延長で勝てたという感じが大きいですね。

まずは準決勝のJAL戦がヤマだと思っていて、それに勝てたことが大きいのと、決勝でシャンソンに勝ったのはリーグ戦の悔しさもあったんです。シャンソンとはリーグで3戦して負けていて分が悪かったけれど、年内最後にシャンソンとトヨタと対戦した時はチームにリズムが戻ってきていい調子だったんですよ。だけどここでトヨタに勝たないとプレイオフにいけないので、日曜(12/18)のトヨタ戦に照準を合わせて戦うために、土曜(12/17)のシャンソン戦は捨てるわけではないですが、メンバーを落としつつ、次の日のことを考えながらやりました。戦いたいのに戦えない。自分たちがそういう戦い方しかできないことが悔しかったし、そういう悔しさや気持ちが一丸となってオールジャパンに出せたと思うんです。

——船引選手は準決勝では点が取れない中盤にいいシュートで貢献しました。今年の富士通は、選手が何をやればいいのか分かってきていますね。

そうですね。私は準決勝でシュートが入りましたね。チームでは「こうしよう、ああしよう」という話は特にないんですけど、みんなすごく仲が良くてまとまっています。試合をしていても「ここは自分が何とかしなくっちゃ」とか「ここは良子(矢野)に任せよう」とか、コートに出ている一人一人が共通意識を持って仕事をしているところが、オールジャパンではうまく出たと思いますね。ハル(今美春)やニナ(畑恵理子)にしても、6、7番手の選手もそうですね。フォワードとセンターのポジションは、出ている選手によってローテーションでオールラウンドに動くことができます。

——2年前も決勝に進出しましたが、その時と今では意識や気持ちの面で違うものですか?

全然違いますね。2年前は先輩がたくさんいたし、自分は6番手というのもあって、出たら自分の仕事をしようと思っていました。でも今年はキャプテンだし、自分の仕事をやるのは当たり前で、みんなが活躍できたり、チームが勢いに乗れたらいいなとチームのことを考えますね。今回も挑戦者に変わりはないですが、2年前は準優勝でもしょうがないな、という気持ちがあったんですけど、今回は「やっぱり優勝したい!」という気持ちがありました。

——この2年間でチームはどう成長したのでしょうか?

ほんとにいろいろありましたね。ヘッドコーチも変わり、選手も半分いなくなって…。その中で残ったメンバーが踏みとどまって、プラス、加わった選手とうまくやってここまで来たのが実を結んだのかなあ…。2年間で「自分たちでもやれる」という思いが出てきたのもあります。李さん(現シャンソンヘッドコーチ。元シャンソンの選手であり、コーチ)に教えてもらったのもシャンソンの練習だったと言ったらおかしいですけど、だから中川さんのスタイルにもけっこうすんなり順応できたんじゃないかな。中川さんは個人のプレイスタイルに合わせてやってくれるので良かったかなと。

——今シーズンはキャプテンですが、特に心がけていることはありますか? 船引選手の試合後のコメントを聞いて、すごく考えている選手なんだな、と感じたのですが。

私、見た目的には野生児というか、そんなに考えないように見えると思うんですが、これでもけっこういろいろ考えるタイプなんですよ(笑)。考えたことや悩みがあってもみんなにはあまり言わないほうで。キャプテンをしていて詰まった時もあるんですけど、そういう時は姉ちゃん(かおり)に相談します。去年は姉ちゃんも苦労していたので、お互いに話をしますね。あとは同期が多いし、チームメイトに支えてもらいながらやっています。

中学の話ですけれど、顧問の先生がバスケット専門ではなくて、うちらの代は4人しかいなくて、ミニバス経験者も少なくて雑草集団だったんです。だから自分たちで作戦を練ったり、考えながら練習をしていました。それが一つ一つ勝って全中まで出ることができたんです。ポジションでも私は中学に入った時は小さかったのでガードをやってたんですけど、中1で7㎝伸びて、2年で7㎝伸びて、3年で6㎝伸びて、3年間で計20㎝も伸びたんですよ。ガード、フォワード、センターってポジションが全部変わったので、必然と考えてやらなくてはならなくて。そう考えると、中学の時から考えてやってきたのかな。あとは大学(愛知学泉大)での経験でしょうか。も〜う、バスケもそうだけど、私生活からしっかりやる大学で大変でした(苦笑)

——今後の目標を聞かせてください。

Wリーグのベスト4はチームで掲げていた目標なので、それは達成したいです。そして決勝に行きたいですね。自分のプレイでは、センタープレイがけっこう得意なんですが、今はスリー(3P)も打っているし、インサイドもアウトサイドも両方進化しつつある姿を見てもらいたい。富士通の頑張る姿を見てください。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●お姉さんとずっと同じチームですが、相談して決めたのですか?

姉がミニバスを始めたので、自分も運動が得意だったのでバスケを始めました。それで仲良く小・中・高・大・実業団までついてきました(笑)。でも昔はそんなに仲は良くなかったんですよ。私たちは両親が共働きで鍵っ子で、そのせいか姉はしっかりしていたし、バスケでも優等生のキャプテンで弱みは言わなかったし、ツンケンしていると思っていました。そんな感じて姉との距離が離れていた時もあったけれど、それが大学に入った時に姉が「家に帰りたい」と弱音を吐いたことがあって「姉ちゃんでも挫折するんだ」と驚いて…。それからですね、気心知れて仲良くなったのは。姉のことを助けてあげたくて同じ大学に行きたいと思ったし、私のことも助けてもらっています。

私が中3の時に札幌山の手高から誘いがあった時もお母さんは「妹だからって実力がないなら取らないでください」と先生に言うほどで、私にも「結果を残さなければ、妹だからといっても入れてあげないよ」と言いました。私は「うん分かった」と返事して、その時からやる気になってすごい自主練とかしたんですよ。全中に出た時に初めてお母さんに「山の手に行ってもいいよ」と言われた時はうれしかった。だから、それぞれが努力をしつつ、尊敬しつつやってきたので、今までやってこられたのかなと思います。

●私は今スランプでシュートが入らなくなってしまいました。シュート練習も以前と同じように行っているのですが感覚が戻りません。そういう時はどうすればいいのでしょうか?

成せば成るじゃないですけど、私は雑草パワーと根性だけでここまでやってきたので、こういう悩みはしょっちゅう。だからこの質問に答えてあげたいですね。「今も以前と同じようにシュート練習している」と書いてあるから、この子は絶対大丈夫だと思います。壁に当たった時はこうしたほうがいいよとか言うより「今までと同じように努力しているんだったら必ず入るようになる」と言ってあげたいですね。でも、ちょっと力が入っているのかな。そんな時私は芝生に大の字に寝そべって空を見上げたりします。寝そべって深呼吸をして太陽に当たっていると、元気になってくるんです。あまり気負わずに頑張れ!

●ずっと茶髪だったのに、どうして髪を黒くしたんですか?

こんな質問も来るんですね(笑)。パーマをかけたりして痛んできたので、ちょっと黒くするのもいいかなーと思って黒くしたら、みんなに好評で(笑)。やめられずにこのままでいます。けっこう髪型はいろいろ変えるのが好きなんですよ。しばらく茶髪はないかも?

●Wリーグで仲のいい選手は誰ですか?

チームではみんな仲いいですよ。姉、同期、後輩のミラ(中谷)…。他のチームでは温子(渡邉、デンソー)、キコ(榊原、トヨタ)、陽子(三菱、安谷屋)とか学泉の同期と後輩。シャンソンの真弓(阿部)とか高校の後輩も。みんないろんな個性があって面白い!

●得意なことや、好きなことを教えてください。

いっぱいありますね。私はとにかく体を動かすことが好きなんですよ。スキーは小学校から中3までやっていて、スキー検定1級を持っています。スノボも好きで、スノボでジャンプもできる。あとはスキューバダイビングもやるし、車に乗って遠くに行くのも好き。あ、読書や健康ランドも好き。遊ぶ時は遊ぶ。やる時はやる、ですかね(笑)

構成/小永吉陽子