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2015年7月2日(木)特集

転機になったスターターとしての自覚 「3番としてプレイに磨きをかけていきたい」

宮澤 夕貴選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)

宮澤 夕貴

今回のゲストはWリーグ4シーズン目を迎えるJX-ENEOSの宮澤夕貴選手です。昨シーズンから3番にコンバートされ、確率の高いミドルショットやリバウンドの強さでチームの7連覇に大きく貢献しました。また昨シーズンは、日本代表として世界選手権にも出場。フィジカルの強さやシュート確率の高さなど、「世界」を強く体感。自分が目指す3番のイメージを強くしてきたようです。絶対的なインサイドの強さを誇るJX-ENEOSにおいて、182㎝で3番をこなす宮澤の存在は大きなアドバンテージになっています。新たなシーズンに懸ける意気込みを聞きました。

——昨シーズンは3番にコンバートされ、チームも7連覇を遂げました。自分の出来はどうでしたか。

ディフェンス面はまだまだでしたが、オフェンス面は外角のシュートが効率よく決まったので、自信をつけたシーズンでした。フィールドゴールの成功率が52.24%、平均12.5得点(レギュラーシーズン)と数字を残せたのはよかったですが、ターンオーバーの多さは課題が残りました。

——シーズンを通して3番のポジションがフィットしてきた印象でした。自分ではどうでしたか。

最初はスタートで出てもすぐに交代になり、プレイタイムが伸びませんでした。自分でも「スタートでなくてもいいや」と思っていたほど。でも、マネージャーの山﨑(舞子)さんから「そんな弱気な気持ちでコートに立たないで!」と指摘され、自分の甘さをすごく痛感しました。どこかで逃げていたんですね。それがきっかけで、自分はこのチームでスタートとして仕事をしていく自覚と責任を持たなくてはいけないと、気持ちを切り替えました。

——ミドルショットの他に速攻に走り、リバウンドにも跳ぶ。そこも意識していますか。

はい。走ることはすごく意識しています。3番なので走るのが当然ですが、ディフェンスからのブレークはJX-ENEOSのカラーですから。ミドルレンジのシュートは、昨シーズン、かなり打ち込みました。マッチアップする相手とミスマッチになるのでノーマークで打てる利点があります。また、リバウンドへの飛び込みも意識しています。タクさん(渡嘉敷選手)やメイさん(間宮選手)がいて、自分もリバウンドに参加すればさらにチームとして強いですから。

——この3年間、着実に力をつけ成長してきました。どんな3年間でしたか。

1年目はケガが多く、ほとんど試合に出ることができませんでした。高校時代はチームの軸としてスタートが当たり前でしたが、試合に出られない経験をしたことで、控え選手の辛さとか役割など、自分が見えていなかったことがいろいろ勉強になりました。2年目はプレイタイムが一気に増えましたが、まだ精神的に弱かったです。ホーバス・コーチからはよく「集中して」と注意されていました。3年目の昨年も途中、ケガで試合に出られない時期がありました。ベンチで「ポジションを取られてしまう」という危機感を強く持ちました。そういうチーム内での競争が、自分を鍛えてくれていると思います。

——高校時代から同期の長岡萌映子選手(富士通)がライバル。宮澤選手から見た長岡選手の上手さと、自分はここが長岡選手より勝っていると思うところは?

長岡選手はプレイに力強さがあります。当たりにも強いし、リバウンドも取れる。一番はそこかな。自分が勝っていると思えるのは、体力ですね。走ることは勝てる自信があります。もともとそこだけは負けたくないと思っていましたから。今はポジションが違うので、あまりライバルという意識はありません。

——2シーズン目からは日本代表入り。代表に入って学んだことはどんなことですか。

日の丸をつけているというプライドを持ってプレイすることや気持ちの面です。1年目はついていくだけで精一杯でしたが、先輩方の練習に対する姿勢が勉強になりました。それと、国際舞台で戦うために当たり負けしない身体作りがいかに大切かも学びました。

——昨年は世界選手権に出場。そこで得たこととは?

今まで日本は世界の中でスピードを武器にしていましたが、世界の強豪もスピードとディフェンス力がとても高かったです。3番の選手では、自分よりも身長がある選手が速攻や3ポイントはもちろん、ドリブルやアシストなど何でもこなしていたのが衝撃でした。特にベスト5に入ったスペインのアルバ・トーレンスはすごかったです。フィジカルの強さととともに、アルバのプレイを見ることで「こういうプレイが求められている」というのがよく分かり、勉強になりました。

——8月にはリオ五輪のアジア予選があります。日本代表としての目標、自分の仕事は?

日本が目指すのは走るバスケットなので、3番として徹底して先頭を切って走りたいです。またリバウンドにからむこと。オリンピックの舞台は未知の世界で、ちょっと想像ができないですが、最終エントリーの12名には絶対に残りたいです。そのためにも3番としてのプレイを磨いていきたいと思います。

——今後、自分が身につけたいプレイはどんなプレイですか。

3番として3ポイントが打てるようにならないといけないと思っています。練習はしていますが、まだミドルショットと3ポイントを打つリズムというかタイミングが違うので、今季はそこを打ち分けられるようにして、さらにチームに貢献するのが目標です。


インタビュー・構成/小永吉陽子