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2016年7月1日(金)特集

ウィングスの将来を担う3年目の若きエース

馬瓜 エブリン選手(アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス)

馬瓜 エブリン

今回のゲストは、入団3年目、エースとして成長が期待される馬瓜エブリン選手です。昨シーズンはチームNo.1の250得点をマーク。ベンチスタートながら平均得点14.71点(リーグ10位)、平均リバウンド6.0本とチームを牽引しました。ベテラン選手が抜けた今シーズンは若いメンバー構成となり、その中で軸となってチームを引っ張ることが求められます。この春にはリオ五輪に出場する日本代表候補にも入り、3番ポジションに挑戦中。走力があり、ジャンプショットやスピードあるドライブを武器とする馬瓜選手。日本代表とともに、新シーズンにかける意気込みを聞きました。

——昨シーズン、自分が掲げた目標はどんなことでしたか。

入団1年目は身体ができていない分、当たりに弱く、ゴール下をポロポロ落としていました。体幹を鍛えるトレーニングを1年目からやってきましたが、さらにしっかりした身体作りを目指し、当たりが強くてもきっちりシュートを決めることを目指しました。シュートレンジを広げることも目標にしていて、そこは広くなってきたと思います。

——チーム一の得点源でしたが、スタートになったのはレギュラージーズンの終盤でした。ベンチスタートが続いた中、スタートへの思いは?

自分がチームを引っ張っていくんだと思っていたので、スタート起用でないのは「どうして?」という思いは正直ありました。ヘッドコーチの李(玉慈)さんの先輩たちへの信頼が厚く、やはり頼っていた部分もあったので、途中から「スタートにこだわらず、コートに出たら自分の仕事をしっかりやるだけだ」と気持ちを切り替えました。そう思い始めたあたりからスタートに起用されました。

——ベンチスタートは難しかったですか。

高校の頃からアップで気持ちを高めて「よし!」とゲームに入るのが自分のスタイルだったので、はじめは戸惑いました。ベンチスタートでも自分のプレイができるようになったのは、昨年春に日本代表候補で経験を積んだからです。途中からコートに出ていかに自分のパフォーマンスを出せるか、チームにいい流れを引き寄せられるかという経験を積んだことで、チームに戻ったときに生かすことができました。去年、代表12名から落ちたのは悔しかったですが、経験を積めたのは大きかったです。

——李玉慈ヘッドコーチの2年目の昨シーズン。チームとしての成長をどう感じていましたか。

1年目よりは確実にチームがレベルアップした手応えはありました。上位チームと競った試合もあり、また勝った試合もありました。チーム全体が李さんのバスケットを理解し、「ここからだ!」と思ってクォーターファイナル(JX-ENEOS戦)に入ったのですが、そこで失速してしまいました。

——失速の原因は何でしたか。

走れなかったです。プレーオフでさらに一段階ギアを上げなくてはいけないところで、それができませんでした。前年までレギュラーシーズンで終わっていたので、チーム全体がプレーオフへの準備と自覚が足りなかったと思います。自分ももっとみんなを引っ張っていかなくてはいけなかったのに、気持ちも身体もレギュラーシーズンで終わっていました。

——その経験は今シーズンに生かせますね。

はい。今シーズンは今までチームを引っ張ってきてくれた先輩方が6名引退したので、チームがぐっと若くなります。だからこそ自分が「シーズンの最後まで気持ちを切らさないで戦っていこう」ということを伝えていけたらと思っています。

——3シーズン目の今季。自分の仕事、目標を聞かせてください。

インサイドもアウトサイドもできる選手として力をつけていきたいです。3ポイントは昨シーズンから練習しています。今季は3ポイントを打つシーンが増えるかもしれません。オールラウンドにできる選手を目指す以上、求められる運動量もすごく多くなるはず。40分間、チームに貢献できるよう、体力もしっかりつけていきたいです。

——日本代表では3番にコンバートされました。初めてのポジションですが、どうですか。

びっくりするほどまったく違います。去年、代表選考で落ちたときに内海ヘッドコーチから「今後は3番のプレイができるように」と課題を言われていたので、気持ちの準備はできていましたが、実際に5対5をやってみると難しいですね。センターはミドルラインを走りますが、3番はそれに加えてカッティングもあり、横の動きもあり、アシストも求められる。ドライブは得意ですが、3ポイントシュートも必要です。練習では入っても、動きの中で3ポイントを決め切る力をつけないと。また、ディフェンスの景色もまったく違います。攻守でまだまだ経験が足りませんが、自分の強みは中もできることなので、そこは生かせたらと思います。

——リオ五輪に出場できるのは12名。昨年果たせなかった代表入りへの抱負を聞かせてください。

代表12名に入ってリオに行くのが目標です。日本代表の力になりたいと思います。オリンピックは自分にとっても大きな存在。周りからは「2020東京オリンピック」の世代と言われますが、その前にリオを経験するのは大きなこと。最終の12名に入りたいですね。

——最後にWリーグの新シーズンに向けての抱負を聞かせてください。

一昨年が8位。昨年は内容がよくなったとはいえ、やはり8位どまりでした。今季はしっかり順位を上げて、まずは5位以上に入りたいと思います。今は自分がこのチームをしっかり背負っていかないといけないという思いが一層強くなっています。若いチームですが、若いからこそ勢いがあると思うので、そこを生かしてチーム一丸となって成長していきたいですね。


インタビュー・構成/小永吉陽子