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2016年1月21日(木)特集

【第17回Wリーグ・後半戦の展望〜OGの目・萩原美樹子さん】

 今年のオールジャパンは、JX-ENEOSの圧勝で幕を閉じました。
 元々得点力のあるチームではありますが、超強力なインサイド陣に加え、ヘルプが寄れば効果的にアウトサイドが決めます。対策を講じてきたはずの対戦チームのディフェンスは完全に無効化されてしまっていました。守っては頑強なボールマンへのディフェンスとヘルプの早さで、オフェンスにペイントエリアへの侵入を許さず、全試合ほぼ80点以上(準決勝のシャンソン戦は79点)得点して、対戦チームは52点以下に抑えるという強さを見せつけます。WNBAを経験して一回りたくましくなった渡嘉敷に加え、吉田と間宮が円熟期に入ってきたという印象でした。
 各チームがJX-ENEOSの高さに手を焼くといった構図は、リーグ後半戦も変わらないでしょう。しかし、これは裏を返せば、国内リーグですでに国際レベルの高さを経験できるということで、日本女子バスケットボール界全体の底上げという視点で見れば、大変有意義なことではないでしょうか。このオールジャパンの戦いを受けて、JX-ENEOS以外のチームがどのように対策を更新していくのか。百戦錬磨のコーチたちの戦術合戦もぜひ注目したいところです。
 
 そして、今年は何といってもオリンピックイヤー!女子バスケットボールシーンが盛り上がらないわけがありません!!選手にとってもこの後半戦の戦い方やプレーのアピールの仕方によっては、ビッグな場を経験できるチャンスに充分なり得ます。今シーズンから対戦方式が変わっていますが、上位同士の対戦が続く2次ラウンドとプレーオフはタフな試合が続くと予想されます。こうした場で、それぞれがライバルとなる選手個々がぶつかり合うのも、なかなかに楽しみです。
 
 そんな中で私が注目したいのは、デンソー #8 高田真希選手です。言わずと知れたデンソーの大エース。今年のレギュラーシーズンのランキングでは得点1位、リバウンド1位、フリースロー成功率2位と、相変わらず安定した存在感を見せつけています。しかしこのオールジャパン、2年連続決勝に進出はしたものの、JX-ENEOSの前に完敗(敢えて完敗と言いますが)を喫しました。そのあとの表彰式で銀メダルを授与された後の彼女の、前を見据える表情がとても印象的でした。同世代の渡嘉敷・間宮という高さ2枚を向こうに回して、挑み続けている彼女。今のところその挑戦は、残念ながら跳ね返され続けていますが、それでもまだなお、自分のプレーや2位以下に甘んじているという事実に決して満足していないのだということがその表情から窺えて、胸が熱くなりました。今のJX-ENEOSは一筋縄ではいかないでしょう。でも、それを上回るために、自分の可能性を広げる努力をし続けてほしい。扉をたたき続けてほしい。ひいてはそれが必ず、日本代表での活躍や充実にもつながっていくはずです。
 どちらかというといつも淡々とした表情を崩さず、競った状態での難しいシュートなどもしっかり決めきってくる彼女ですが、今回のオールジャパン敗戦後の表情は、つい応援したくなってしまうようなものでした。26歳とそろそろ選手としても円熟期を迎えます。プレー面でももう一つ進化し、更にはチームにもいい影響を与えられる存在として、もう一回り成長した彼女の姿に期待したいです。
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4人のOGに寄せていただいた後半戦展望は本日が最終回。
いよいよ土曜日から2次ラウンドが始まります。
 
(写真はデンソー #8 髙田真希選手)