- 2013年7月22日(月)特集
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「自信を持ち、波のない選手になること」さらなる飛躍を誓うデンソーのシューター
藤原 有沙選手(デンソーアイリス)
今回のゲストはデンソーの藤原有沙選手。ここ数年でメキメキと頭角を現し、2年連続で日本代表入りを果たしたシューターです。175㎝という決して大きくはない身長ながらも、高校時代は体の強さを生かし、ミスマッチを突いて外角から攻め込んでいく異色のセンタープレイヤーとして活躍していた藤原選手。いまやデンソーになくてはならないシューターへと転身しました。一昨シーズンにはWリーグ初のベスト5を受賞しています。そんな成長著しい藤原選手ですが、自身の課題は山積みで、波のない選手になることを課題にあげています。日本代表にも選出された2年目の今シーズン、課題を乗り越えて、さらなる飛躍を誓う藤原選手の素顔を紹介します。
——昨シーズンのデンソーは7位。なかなか勝ち切れないシーズンでしたが、自身はどのようなシーズンだったと感じていますか。
苦しいシーズンでした。勝ち切れない試合が多くて、その試合を勝てていれば、チームは波に乗れていたかもしれない、という試合が多くて…。勝ち切れないことが苦しいシーズンでした。
——一昨シーズンはWリーグベスト4、オージャパンでは決勝進出も果たしました。その翌シーズンに順位が下がってしまった原因は。
やっぱり、センターとガードが欠けたのが響きました…。センター髙田(真希)さんのケガとガードの小畑(亜章子)さんの引退。チームのホットラインだったところがなくなってしまったことはチームにとって大きかったです。でもそこで、私と大庭(久美子)さんが得点を上げなきゃいけなかったんですけど、私も取れなかったし、チーム全体でも得点力がなかったです。「ガードとセンターがいなくなったんだから、勝てないのはしかたないよ」と言われることもあったんですが、そう言われるのが悔しかったです。
——センターの髙田真希選手がケガをしていて、自分がエースにならなければいけない状況で、プレッシャーや責任感を持ってプレイしていたのではないですか。
プレッシャーはなかったんですが、責任感はありました。チームでは経験があるほうだし、日本代表にも選んでもらっているので、プレイ面でも精神面でもチームを支えなきゃという思いがあったんですけど、自分自身の波がすごく激しくて…。それがチームに影響したと思います。そういう意味では、自分がもっと成長しなければなりません。
——どんな面で好不調の波が出ましたか。
精神面では、チームがうまくいってないときに、自分が声をかけて落ち着かせなきゃいけないのに、自分自身もどうしよう、どうしようと焦ってしまって、自分がどうにかしなきゃと、自分のことで精一杯になってしまうことがありました。
プレイ面では得点の波がありました。入るときは入るけれど、入らないときは入らないという波が大きかったです。私は得点を期待されていると思うのですが、応えられたときと、応えられないときの差が激しかったです。シュートを打つことに関しては、プレッシャーは感じていないのですが、チームの期待に応えられてない、ということを実感したので、波をなくすことがこれからの課題です。
——好不調の波があるとはいえ、一昨シーズンにはWリーグのベスト5を受賞。日本代表でもシューターとして昨年のオリンピック最終予選ではスタートの役割を果たしました。こういった経験の一つ一つが、手応えや自信につながっていきませんか。
ベスト5はうれしかったんですけど、どこを見て評価してくれたのかな…と感じています。自分では周りに評価してもらっているのが不思議なくらいで、全然できてないと思っていたんです。周りから評価してもらっていることと、自分が評価することのギャップがありすぎました。
日本代表にも選んでもらって、しかも昨年はスタートで出させてもらって、そういうところに出させてもらえただけでも自分にとっては大きい経験で、国際大会に出ることによって自分の足りないところも、通用するところもわかりました。でも、まだまだだな、と思うことのほうが多かったです。成長できているとは思うんですが。
——今は自分のプレイに対して、たくさん経験をして自信をつけていく時期でしょうか。
はい。多分、まだ自信がないのだと思います。自信を持ってプレイしなきゃだめだと思うし、小嶋さん(ヘッドコーチ)にも自信を持ってやれと言われているので、自信を持ってやりたいです。練習では3Pシュートは入っているんですが、重要な試合では入りません。そういうところで決められるようになれば、自信が出てくると思うので、まずは練習からしっかりやります。
——今年も日本代表に選ばれていますが、代表2年目の抱負を聞かせてください。
去年1年間、代表でプレイしてみて、代表は自分ができること、自分が生きていく道を探して、チームに貢献するところだと実感しました。なので、今年は自分に求められていることを出して結果を残すことにこだわりたいです。自分は3Pシュートを期待されているから、それには絶対に応えられるようにして、アジア選手権の最終12名に選ばれたいです。アジアで優勝を目指しているので、自分にできることを精一杯やって、最善を尽くして頑張りたいです。日本代表をすでに一度経験しているので、今年は経験がないと言い訳ができないので、自分に厳しくいきます。
——最後に、Wリーグでの目標を聞かせてください。
目指しているのは波のない選手になること。気持ちの面から安定させて、チームを支える存在になること。プレイ面では得点力を上げること。チームでの課題も得点力アップです。失点の部分ではそこまで取れられてなくて、ディフェンスはそんなに悪くないと思うので、チーム全員で得点力アップを目指します。自分もチームも課題は明確なので、一つ一つやっていって、自信につなげていきたいと思います。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●コートネーム「シェル」の由来を教えてください。
デンソーの3つ上の先輩につけてもらいました。みんなには「シェルディフェンスの“シェル”」と言っているんですが、それはあとづけの由来で、本当は違うんですよ。自分の名前が有沙(ありさ)で、並べ替えると「あさり」になって、あさりは貝だから「シェル」になったのが本当の理由です(笑)。先輩の発想、すごいですよね(笑)。でも、それだと由来を聞かれたときに何て言えばいいんだろう…ってなって「シェルディフェンスのシェルです」と言うようにしています。あ、シェルはとっても気に入ってますよ(笑)
●藤原選手から見て、デンソーはどんなチームですか?
どんなチームだろう。いろんな子がいます。基本はみんなおもしろいです。騒ぐのは阿部(幸音)、高田(汐織)、園田(奈緒)、田中(友美)とか若手ですね。自分は突っ込み派で、ちゃちゃを入れるタイプです。以前のデンソーはおとなしいと言われてましたが、けっこう明るくなったと思います。
●聖カタリナ女子高時代はセンターでしたが、どのようにしてシューターになったのでしょうか。
高校まではセンター(5番)でした。中学までは動けなくて、センタープレイもしてなくて、周りの子が打ったシュートを拾って入れるくらいだったんですけど、高校に入って一色先生(現U18、U19女子代表ヘッドコーチ)に走ることを教えてもらって、走るプレイが身につきました。高校で5番やっていたんですけど、U18代表では3番と2番をやっていました。デンソーに入ってから完全なフォワードになり、シューターになりました。まさか自分がシューターになるとは思ってませんでしたが、やはり練習をしたからこそシューターになったんだと思います。私はよく泣いてしまうんですけど、最初のほうは3Pシュートが入らなくてあまりにも悔しくて、泣きながら打ち込みをしていました。そうしたら、いつの間にか入るようになっていて、周りから「シューターになったね」と言われるようになっていたので、それはとてもうれしいです。
●出身地である愛媛のいいところを教えてください。オススメの観光スポットはありますか?
愛媛はのんびりできるところで大好きです。出身は四国中央市で、山も海も川もあって、どこにでも自然の中で遊びに行けるのでいいですよ。田舎なところが誇れるところですね。南のほうの宇和島に行くと、さらに海が綺麗で、鯛めしがすごくおいしいのでオススメです。
●リラックスタイムは何をしている時ですか?
いちばんホッとするのは練習が終わって部屋に帰ったときです。今年から寮を出ました。デンソーでは、25〜26歳になると寮を出て一人暮らしをすることができます。4月に引越ししたばかりなので、これから家具を揃えていくのが楽しみです。部屋に戻って長風呂したり、テレビは見てないんですけど、テレビをつけてボーッとしています。基本、休みは外に出ないです。部屋にいるときがいちばんのリラックスタイムですね。
インタビュー&構成/小永吉陽子