- 2005年3月15日(火)特集
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実業団とのレベルの差を実感した1年目来シーズンは若さで10勝に挑戦!
斎藤 秋衣選手(トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
今回のゲストは今シーズンよりWIに参入したトヨタ紡織のキャプテン斎藤秋衣選手。Wリーグの中でも小柄で細身の斎藤選手ですが、実は「チーム一の筋肉」の持ち主。華奢ながら自慢の脚力を生かして、小気味よいスピードと3Pシュートで勝負強さを発揮しています。星城高校、桜花学園大とバスケどころ愛知で鍛えられ、トヨタ紡織入社後は全国実業団選手権(JIC)で準優勝して念願のWIに昇格。今シーズンは1勝11敗の成績でWIリーグの洗礼を浴びましたが、創部以来の合言葉「FIGHT IT OUT(最後まで戦え)」を胸に挑戦を続ける斎藤選手を直撃しました。
——Wリーグ初参戦のシーズンが終わりました。戦い終わってみて感想はどうですか?
まずは、終わってホッとしています。初参戦だし、1クール目は心配というか、戦えるか不安でいっぱいだったんですけど、2クール目、3クール目になって点差も縮まってきて、「自分たちはやれるんだ」と、すごく楽しくなってきました。1クール目は負けることはしかたないけど「負けていても最後まであきらめずにやろう」というのが目標だったんですけど、だんだん負けることが当たり前になってきてしまったというか。でも、2クール目に入ってはじめて「勝てるかも」というのが見えてきてからは、あきらめないことはもちろんだけど、勝つことを目標にやれるようになりました。
——これまでいた実業団リーグと、WIリーグとの違いは何でしたか?
やってみたら全然違います。まず意識が違います。実業団だと何をしても勝てるというか、それくらいレベルが低かったんですよ。全国では負けたりもしたけど、やりがいがなかったというか。でも、ここ(WI)に上がってきてからは、全員が自分たちより上というか目標の選手であって、どこのチームの人たちも勝ちにこだわって戦っています。そういう人たちと対等に戦えるのは楽しいです。あと、WIでは試合を見に来てくださる方に応えたいというか、見に来てくれる人のため、応援してくれる人のためにやっていますね。実業団ではWIに上がるためにやっていましたから。ここではすべてにおいて、勉強で学ぶことが多いです。
——そんな中で今季は荏原に1勝することができましたね。
1勝することが目標だったので良かったです。1クール目が終わった時にWIの力が「こんなもんかな」と分かって、2クール目でチーム力が良くなってきた時の勝ちだったので、すごくうれしかったですね。
——斎藤選手の得意なプレイと、チームのセールスポイントを教えてください。
実業団まではシューターだったんですよ。今でも2番なので外から点を取ることが仕事なんですけど、WIではこの背の小ささでは限りがあって、やっぱ大きい選手にはかなわない部分があったりするんですよね。その分できないことはディフェンスでカバーしたりとか、小さいからこそできるスピードを出して頑張ろうと今は思っています。チームはみんな小さいので、チーム全員が外からシュートを打てるのと、1対1で勝負しますね。個人の能力で攻めるチームです。
——トヨタ紡織は25歳の斎藤選手さんと桜井選手が最年長の若いチームです。この若さをどう生かしていきたいですか?
そうですね、若いですよね。若いけれど、若いなりにしかできない思い切りの良さとかあると思うし、ベテランの選手がいるとその人に頼っちゃったりとか、その人が何とかしてくれるとかそういうのが出てくると思うんですよ。でも若い子たちだけだと思い切りやったりだとか、若い選手同士、負けないように頑張ろうというのがありますね。私も若い選手たちからいい刺激を受けています。
——最初は実業団チームに入社した斎藤選手ですが、ゆくゆくはWリーグでプレイしたいと思っていたのですか?
高校を卒業する時にWIのチームから誘いを受けたんですけど、その時は迷って大学(桜花学園大)に進みました。大学を卒業する時にはWリーグでプレイしたいと思っていたんですけど、うまいこといかなくて東海の実業団に入りました。トヨタ紡織に入ってからはずっとWIに上がることを目標にやっていました。
——最後に来シーズンの目標を聞かせてください。
2年目からは結果を残していかないといけない不安はありますけど、「来シーズンは10勝を目指そう!」ということで、気持ちを新たにチーム練習を始めたところです。頑張ります。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●Wリーグ、WIリーグの中で今後マッチアップしたい人は?
小畑(亜章子、デンソー)さんですね。ガードとしていろんなところが見えているし、私はパスが苦手なんですけど小畑さんはパスがうまい。マッチアップして研究したいですね。あと…恐れ多いですけど日本航空の柳本さん。ノーマークのシュートを外しませんよね。パスもうまいし、ディフェンスもできる。身長はそんなに大きくないけど私と同じポジションだし見習いたいですね。いやぁ、でもすごすぎて、とんでもない話です。
●実業団からWIに昇格して一番変わったことは何ですか?
仕事が早く終わるようになったこと! 今までは残業とかでみんなが練習に集まれなかったり遅れてきたりしたけど、みんな揃って練習できるようになったのが大きいですね。それに会社全体が応援してくれるので、会社の人たちがバスケ部に対して意識を持ってくれたことが変わったと思いますね。
●高校、大学時代はどんなバスケ部生活を送っていましたか?
星城(高校)では、とにかく走って走って、走ったことしか覚えてないです(笑)。練習が厳しくて負けたらもっと厳しい練習になるので、そうならないように頑張ったというか、とにかく走ったことしか覚えてません(笑)。大学(桜花学園大)は、私たち一期生なんですよ。ちょうど短大から大学に変わる時で、先輩たちが卒業したら人数が少なくなってしまって、2年生からは私たちが最上級生になりました。だからいつも少ない人数で練習や試合をしていましたね。試合ではファウルもできない(笑)。高校は名短(名古屋短付高、現桜花学園高)、大学では学泉(愛知学泉大)がいて、いつも2位でした。
●中学時代は桜井選手とチームメイト(三重・長島中)でしたが、当時の思い出や、今一緒にプレイしていてどんな思いがありますか?
中学校では私がポイントガードで桜井さんはセンターでした。全中も出ました。私が大学卒業する時に「一緒のチームでやれたらいいね」と言っていたくらいです。向こうが移籍する時、たまたまうちの監督さんが誘っていたみたいで「私、桜井さんと中学校の同級生です」と言ったら「だったら、お前も誘ってくれ」と言われて一緒に勧誘しました(笑)。こんな偶然はないことなのでうれしいですね。一緒にできて心強いです。
●休日の過ごし方、休日にしている趣味は何ですか?
休日は疲れている時は一歩も外に出ないで寝ています(笑)。2、3日休みがある時は買い物に行ったり、少しだけ遠出します。ちょっと前にイチゴ狩りに行きました。趣味はおいしい物の食べ歩きとか、雑誌に載っていたり、友達に教えてもらった県内のおすすめスポットに行くことなので、時間があって、疲れてなければそういう所に出掛けますね。
構成/小永吉陽子