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2005年3月1日(火)特集

デンソーはこれから良くなるチーム信頼されるガードになりたい!

小畑 亜章子選手(デンソーアイリス)

小畑 亜章子

今回のゲストはデンソーの若き司令塔・小畑亜章子選手。富岡高校時代、2年次にインターハイで優勝、3年はインターハイ、ウインターカップ準優勝と輝かしい成績を残し、フロアリーダーとして大活躍しました。高校時代は親友である大神選手(JOMO)と同じようなボーイッシュな髪型で目立ちましたが、実は「見かけによらず女っぽい」(チームメイト)との一面も。性格は見かけ通りの努力家で負けず嫌い。そんな小畑選手は今季、デンソーのキャプテンに就任しました。2年連続入替戦出場の屈辱から、ひとつ順位をあげて7位で終了。今後の活躍に期待がかかるプレイヤーです。

——今シーズンは7位という成績でした。振り返ってみてどんなシーズンでしたか?

そうですね。今まで2年間最下位で入替戦をやってきたんですけど、今年は新体制になって監督も変わって、自分も年齢的には上のほうじゃないんですけどキャプテンをやらせてもらって、いろんなことがあったけど早かった1年ですね。チームは開幕当初から主力のケガが相次いで、チームも自分もバタバタしていて噛み合うのに時間がかかったと思います。フォワードに下級生ばっかりで経験がない分、一生懸命ではあるけど通用しない部分があったし、それをカバーしなければならないところで、言い訳ではないですけどケガ人が出ました。けど試合を重ねるごとに、同じ負けでもいい負け方というか、負けていい試合はないんですけど、負け方にも内容がよくなったというか、そういう風に自分は感じて終われました。

——今シーズンは入替戦を回避できました。オールジャパン後にJOMOに勝ったのが大きかったのと、2月13日の日立ハイテク戦がヤマ場でした。

オールジャパンのシャンソン戦がよくなくて、そのあとの練習も悪くて、「このままじゃいけない!」とみんなが思って、そこでJOMO戦は胸を借りるつもりでやって勝つことができました。でもそのあと勢いが続かなかったので、まだまだ課題は多いです。ハイテク戦はチームがだんだんと機能してきた時だったので、変な緊張がなかったし、普通に試合できました。ハイテク戦前のミーティング内容も良くて、自分たちで何とかしていこうといい雰囲気だったので、やることはやったつもりです。そうしたら、シュートも本当によく入ったんですね。去年と勝率は変わってないんですけど、7位と8位では全然違います。

——2年間、入替戦に出てみて、これほどイヤなものはないと思ったのでは?

そうなんですよ。リーグでは一番力がないので、どのチームにも当たって砕けろで向かう立場なのに、それが入れ替え戦では一気に逆転して追われる立場になってしまう。向こうは負けてもともと、こっちは負けられない。やっぱりそういう意味では、入替戦は味わったことのある人にしか分からないイヤな試合ですね。

——新しく就任した木村ヘッドコーチの指導はもう慣れましたか?

今でも木村先生って呼んじゃうんですけど(笑)。木村先生はすごくバスケットを知ってます。バスケを知りすぎて、知識もありすぎて、自分たちはそのレベルについていけてない。私も難しいなと思います。練習や注意されることも意図があってやってるのは分かってるんだけど、下の子たちはその意味をとらえられてないだろうと思います。木村先生には、ボールへの執着心とリバウンド力がないから勝てないと言われています。1日1日、ひとつひとつ教えてもらうことが勉強になるし、新鮮ですね。うちには、大学で木村先生の指導を受けた藤村さんと高田さんがいて、先生の考え方を分かっている選手がいた分、私もアドバイスをもらったし、キャプテンとしてはやりやすかったですね。

——そんな中で今シーズンは、キャプテンを務めました。

難しかったですね。私の年はちょうどチームの中堅であって、下と上の真ん中で。ただデンソーは大卒とか移籍が多いので、デンソー歴でいうと上だったので。下の子の気持ちを取り入れたり、上の意見もあるし、新しい監督がどういう考えなのか分からなきゃいけないし、難しい立場でした。でもキャプテンになって、いろんな人の考えを聞いたり、考えたりしたので、いい勉強になりました。やっぱり、チームってガードやキャプテンを見たら分かるというか、ガードとキャプテンがいいチームは勝てると思うので。だからしっかりまとめたいですよね。でも、自分一人で今年のチームをまとめたなんて思ってないです。上の人たちが手助けしてくれました。

——調子が上がってきたところで今シーズンは終わりましたが、今後のチームの目標、自分自身のテーマは何ですか?

個人のプレイがどうというより、チーム全体として評価されたいです。チームが評価されるには個人が伸びて、その選手たちをうまくまとめていけるよう、ガードの自分がやらなければと思います。確かに入替戦は免れたけれど、勝率は去年と同じなので、もっと勝ってプレイオフにつなげていきたいです。デンソーはまだ若いし、これからもっと良くなっていくと思います。だからこの若い時期にしっかりやることと、来年の戦いが大切ですね。デンソーの会社も応援団もバックアップが本当にすごくて感謝しているので、勝って恩返ししたいですね。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●母校の金沢総合高(元富岡高)がウインターカップ初優勝した感想を聞かせてください。

校名が変わったので、優勝して名前を見てもイメージが沸かないんです(笑)。「公立高校でも勝つことが目標」と星澤先生がずっと言ってきて、自分たちもそう思ってやってきたので、やっぱり恵まれてない公立高校が勝つのはうれしいですね。正直、夏に帰省した時と、デンソーに合宿に来た時に練習を見たんですけど、その時はいい内容のバスケはしてなかったので、「あれで優勝したの!?」と思ったりもしたけど、スコアを見るとシュートアベレージも高かったし、相当頑張ったんだと思います。同級生の登選手が今アシスタントコーチをやっているので、登にも頑張ってもらいたかったし、星澤先生にもおめでとうと言いたいです。準決勝は練習が休みだったので、ちょうど休みが合ったトヨタの古澤(富岡高同期)と名古屋から見に行きました。決勝は携帯メールで1クォーターごとに結果を送ってもらって。ドキドキしました。

●他チームの中で一番仲のいい選手は?

特に仲が良いのはシン(JOMO/大神)とナウさん(日立HT/大久保)ですかね。シンとは高校の時から仲がいい。今年はシンも余裕がないのかあまり連絡を取ってませんが、負けが続いた時とか、私もそういう経験があるので、声をかけたりしています。ナウさんは昨年まで同じチームで、その時から仲良くて悩みとか聞いてもらっています。

●バスケでもバスケ以外でも「これだけは譲れない」ものは?

こだわっているとかじゃないですけど、私、パンが好きなんですよ。デンソーの朝は基本的にご飯でパンは出ないんです。だから遠征先のホテルの朝ご飯でパンが出た時は、ご飯を食べたあとにパンも食べます(笑)

●思い出のゲームは何ですか?

WJBLに来て勝ったことがないからなあ…(苦笑)。やっぱりWJBLよりも高校の時に今のチームメイトの藤村さんと高田さんのいる名短(名古屋短付高、現桜花学園高)と決勝で対戦したこと。その次の年もシンたちの桜花と決勝で対戦したこと。高校時代の印象が強いですね。

●目標としているプレイヤーはいますか?

今まで個人的にそういう選手はいなくて、目標とか作ってプレイをマネるのは好きじゃなかったんですけど、デンソーに入ってみて江口真由美(元デンソー)さんは本当にすごいと思いました。アンさんは言葉は多くない人だけど、チームが困った時にやってくれる人でチームメイトを引きつける力がありますね。もちろん、プレイもすごいけど、それだけじゃないみたいな…。同じガードとして一番近くで見てきたというのもあるので、アンさんのような信頼されるプレイヤーになりたいですね。

構成/小永吉陽子