- 2015年2月19日(木)特集
-
成長中の司令塔。目指すは「周りを生かして自分も攻めるガード」
伊藤 恭子選手(デンソーアイリス)

今回のゲストはデンソーアイリスの司令塔、伊藤恭子選手です。160㎝と小柄ながら、スピードと運動神経を生かしたプレイでチャンスを作り、みずからも攻める司令塔として活躍。朝明中時代は全国大会に出場し、岐阜女子高ではインターハイとウインターカップ準優勝。U18アジア選手権では初のアジア制覇に貢献し、U19世界選手権に出場するなど、大舞台でのキャリアを積み重ねた選手。Wリーグ7年目の今は小嶋ヘッドコーチの信頼も厚く、チームを牽引する選手として成長を見せています。準優勝となったオールジャパンでの手応えと、プレイオフ進出に向けて後半戦の課題を聞きました。
——まずは、準優勝を遂げたオールジャパンのことから聞かせてください。JX-ENEOSとの決勝、そして大会での手応えは。
決勝で負けたのは悔しいです。昨シーズンのWリーグのファイナルと同じように積極的に攻めようとやったのですが、渡嘉敷(来夢)さんのところで来るとわかっていても、ボールマンのプレッシャーがかけられずに、そこで押し込まれてやられてしまいました。本当に悔しいです。
——前半は守れていたと思いますが、後半にやられてしまったのは何が悪かったのでしょうか。
ゾーンとマンツーの組み合わせを交互にやって、できていたところはあったんですけど、その攻略をJX-ENEOSが慣れていたと思います。1Qにシュートが入っていたのでそれが攻められているような感じになっていたのですが、後半にはシュートが落ちてきてしまいました。やっぱり、高さに勝つには体力が大事になってくるのですが、後半はそこでも負けてしまいました。
——準決勝のトヨタ戦ではアウトサイドを広範囲に守り、決勝のJX-ENEOS戦ではインサイドをがっちりと守って、ディフェンス面では運動量が多く脚力が目立ちました。それでも体力は課題になりますか。
そうですね。守る範囲は中も外も広くなったと思います。でも、決勝では自分が中を守りに下がっているぶん、ガードがフリーになってしまうので、そこでもう一歩前に出ていたらシュートを打たれなかったと思うし、パスが悪くなっていたかもしれません。自分がもう一歩前まで走れるようにならなければダメです。
あとは前から当たったときに、吉田(亜沙美)さんにしても、岡本(彩也花)さんにしても、スピードがあるのでそこはもっと粘り強く守って時間をかけさせて攻めさせたいです。うちは髙田(真希)さんがインサイドでパワーを出して頑張っているぶん、もっとガードが運動量でカバーしないといけません。
——オールジャパンの決勝は2回目。伊藤選手はここ数年で安定感が出てきましたが、3年前に出た決勝とは何が違いましたか。
3年前、私はスタートではなく控えとして出ていたんですけど、今回はスタートでなおかつ、ある程度の経験も積ませてもらって、昨シーズンのWリーグファイナルの場も踏ませてもらったので、落ち着いて入ることはできました。まだまだダメなことはたくさんあるんですけど、それも自分の経験になって、次の試合ではダメだったことを意識したり、少し余裕をもって予測したり、考えることもできるようになってきたと思います。
——昨シーズンのWリーグファイナルの経験は生きていると実感しますか?
はい。経験はつながっていると思います。オールジャパンの目標は優勝だったので、(準決勝で)トヨタに勝ったのはうれしかったけど、決勝に進むのが当たり前という気持ちでやれているのは、昨シーズンのファイナルの経験があるからだと思います。
——JX-ENEOSを苦しめても最後にやられてしまいます。いちばん、克服しなければならない点はどこですか。
力の差というよりも、持続できないことの差を感じます。気持ちの面でもっと強くいくことや、シュートを1Qから4Qまでコンスタントに入れることや、4Qまで自分たちのバスケを持続できないことに差がありました。そこで、もう一歩の壁を破るには何をすればいいかを考えなくてはいけません。
——伊藤選手が考える「もう一歩の壁」とは?
昨シーズンのファイナルはもう少し得点が取れていたし、もう少し攻めていたので、自分と髙田さんの絡みとか、自分と他の人の絡みを入れていけば、そこからのアシストだったり、周りを生かすことで相手のリズムを崩せると思います。自分の1対1と周りを生かすことをやらなくてはいけません。
——準優勝したオールジャパン直後のWリーグでシャンソン化粧品に大敗してしまいました(38-77)。その理由は?
日程的に空くところがなかったので、みんなの疲れが思ってたより出たというのと、あとは気持ちの持って行き方がきちんとできていませんでした。オールジャパンの決勝までいって「できるだろう」みたいな自分たちの気の緩みがあったと思います。次の試合で勝つことが大事でした(翌日は49-46で勝利)。
——オールジャパン後、2月13、14日にJX-ENEOSと再度対戦して、改めて見えた課題は?
オールジャパンよりもオフェンスの流れでは動けているし、ディフェンスでも中を固めることとか、チームでやるべきことは少しずつできていると思います。あとはやっぱり、自分がもう少しみんなを動かせるようにすることですね。自分が周りを生かしてあげないと、いい試合をしても勝てない。自分がもっとやらなきゃいけないと思います。
——順位争いが熾烈になってきました。後半戦をどう戦いますか。
自分たちに絶対的な強さがあるわけではないし、脆い試合もたくさんあるので、常にチャレンジャーとしてやることです。上位にも下位のチームにも油断せず、内容が悪くてもまずは勝つこと。勝っていってから内容を良くしていきたい。
——最後に後半戦の課題と今シーズンの目標を聞かせてください。
今シーズンはケガ人が結構いる中でも、悪いミスがあっても勝ち切れる地力がついてきたと思いますが、目標は優勝なので、チームとしてはもっと走ることとリバウンドの徹底、得点力を上げることをやっていきたいです。
今シーズンはガードとして伊集(南)さんが頑張ってくれるので、自分も頼っているところがあります。攻められなかったら、伊集さんにパスをすれば攻めてくれる選択肢ができたのはガードとしては助かっています。だからやっぱり、あとは自分がガードとして周りを生かすことと、自分が攻めなきゃいけないと思ってます。
インタビュー&構成/小永吉陽子