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2012年1月26日(木)特集

若手とベテランの融合新時代を担う富士通のキャプテン

鈴木 あゆみ選手(富士通 レッドウェーブ)

鈴木 あゆみ

今回のゲストは富士通レッドウェーブの鈴木あゆみ選手です。今シーズン、初めてのキャプテンを務める鈴木選手。「引っ張るのは得意ではない」と言いながらも、ベテラン選手と勢いのある若手との間を取り持ちながら、自分らしいキャプテン像を目指して奮闘中です。またプレイでは3、4番のポジションを兼ねながら、時にスタメンとして、時に控えとして、中心的な役割を担っています。選手層の厚い富士通。今はチーム構造を変えながら進めていく時。新時代のキャプテンを担う鈴木選手を直撃しました。

——リーグも終盤となりました。ここまでのチーム状態はどうですか。

年内の試合は1巡目も2巡目も同じ相手に負けているし、同じ相手に勝っている。上位には勝っていないので、そこをどう崩していくかを課題としてやってきました。年内最後のゲームはデンソーに2連敗して自分たちのバスケが機能していないところで終わってしまったし、オールジャパンも自分たちのやりたいことができませんでした…(準々決勝でシャンソンに惜敗)。ゼロまでとはいわないけれど、もう一度自分たちのバスケットを見直していかなければ、プレーオフは戦えないし、日本一という目標は見えてこないと思います。

——チームが機能していない原因は何だと思いますか?

オフェンスが機能していない時は、相手にプレッシャーをかけられて、足が止まって苦しいシュートを打ってしまって、うちの勢いのあるバスケットができていない時が多いです。全体的に平均失点は少ないので、ディフェンスは機能していると思うんです。ディフェンスが機能している中で得点が取れないのが、今のうちがひとつ超えなければいけないところだと思います。

若手がスタメンで出たり、今までスタメンだった選手が交代から入っていく部分もあったりして、今シーズンは試行錯誤しているところがあるので、全体として見ると安定していないのかなと思います。若手の選手は若手なりに精いっぱいやってくれています。私たち上の代から見ても期待以上の働きをしてくれている。コートに出たら年齢は関係ないことですが、若手が勢いを出してくれている分、中堅やベテランであったり、私たちがもうちょっと機能してくればイケるんじゃないかなというのがあります。

——個々の選手層は厚い。それをいかにチームとしてまとめるかが重要ですね。

はい。試合に出られる選手が多くなっているのはいいことなんですが、逆に言えば、誰かがしっかりしなきゃいけない時間帯にみんなが埋もれてしまっていて…。そういう時間帯に軸になる人が出てこなければならないです。それは、キャプテンである自分がやっていかなきゃいけないことでもあるんです。

——今シーズン、初のキャプテンとしては、どのような決意でシーズンに臨んだのですか?

今年で4年目なんですけど、私はチームを引っ張るというのが得意なほうではなかったんですね。それでどうやって引っ張っていこうかと考えた時に、まだチームにはベテランの方もいるのでわからないことは頼ろうと思っているし、勢いのある若手もいる。だったらいちばんいい状況でキャプテンをやらせてもらっているのではないかと思い、変に恐れることなく、思ったことを伝えていこうと思いました。今までは色々と思っていても、「これは言ってもいいのかな?」と迷ってしまうことあったんですけど、今は思ったことを言ってもわかってくれる選手ばかりだと思えるので大丈夫かな。逆に、私がみんなに助けてもらいながらキャプテンをやらせてもらっているので、頑張りたいと思います。

——今シーズン、ここまでの自分自身の手応えはどうですか。3、4番(スモールフォワード〜パワーフォワード)のポジションの兼ね合いで試行錯誤しているように見えますが。

それは、自分の永遠のテーマですね。3番、4番のどちらもできなきゃいけないところに私はいる選手だと思うので、それは選手生命が続くかぎり、私のテーマだと思ってます。3番と4番って、ディフェンスの視野が全然違うんですよ。4番だと周り全体が見えている状況からディフェンスをするんですが、3番だと全体が見えない状況でディフェンスをすることになるので、それで混乱することもありました。今はまだ完全とは言えないですが、両方のポジションを自分のものにして、どちらで出ても機能できるようになりたいです。

——昨年度(2010年)は世界選手権に出場。今季は日本代表からは外れてしまったのですが、鈴木選手にとって日本代表とはどんな場所ですか。

ずっと憧れていた場所です。日本代表の最終12人に残った人たちって、プレイでも飛び抜けていい武器を持っているんですが、その中でも気持ちが強いというか、いい意味で肝がすわっているというか、ずうずうしいというか、スケールが大きい人たちが多いと感じました。そういう意味ではすごく勉強になったし、自分にはまだそこが足りないし、とにかく刺激を受けましたね。私は全然下手くそですけど、気持ちの強い人たちと一緒にやるだけで、気持ちがグッと高まっていくのが感じられた場所でした。日本代表に入るには、自分の強みを磨いて、出せる選手にならないといけないです。出すだけじゃだめですね。強みを出し続けて、認められる人が生き残れる場所だと思います。

——鈴木選手にとって、その出していきたい“強み”とは。

私の場合はその強みを探して、探して、探しながらやってきました。やっぱり、3番、4番の両方のポジションでリバウンドとディフェンスをやることだと思います。それをやってこそ、機動力あるドライブでの得点が生きて、チームに貢献できると思います。

——今の話を聞いていると、オリンピック予選の最終メンバーに選ばれなかったのは納得のうえだったのでしょうか。

悔しいですけど、納得でした。合宿でも自分を出せなかったし、自分でも12人に残れるとは思ってませんでした。でも自分が選ばれなくても、オリンピック予選は本当に頑張ってほしかったし、応援していました。心からそう思えたので、自分では日本代表で練習してきたことが、すがすがしく思えたんです。そういう思いになれたのも、みんなで同じ気持ちで戦ってきたからだと思います。悔しさはありますが、今の自分ではまだ力が足りないので、もっと強みを身につけていきたいです。

——今シーズンもいよいよ終盤。4番目のチームとして、プレーオフ進出を決めました。今後の課題と目標を聞かせてください。

後半戦はオフェンスの勢いを取り戻す練習をしています。今年は篠原(恵)を軸にインサイドを狙っていくプレイが増えたんですけど、脚が止まってしまうことがあるんですね。上のチームとやると、ディフェンスで抑えられてしまうので、そういう悪い流れをリセットして、全員で走って、攻めて、守ってというバスケットを取り戻していきたいです。うちはスター選手がいないので、全員がどのポジションの動きもできるのが強み。フォワードのインサイドがあったり、インサイドの外角シュートがあったり。スター選手がいなくても勝てるバスケを追求していきたいです。私自身はリバウンドとディフェンスだけは崩さないで、流れの中で安定した得点を取れるようにやっていきたいです。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●バスケットをはじめたきっかけは?

小学校4年でミニバスを始めました。小学校1年から3年生まで水泳をやっていたんですが、ちょっと大きかったということで、2つ上のお姉ちゃんの友達からミニバスに誘われたんです。最初の頃は水泳のほうが楽しかったので、あまりマジメにやってなかったんです。札幌山の手高のOGがコーチだったんですが、走ってばっかりで練習もけっこう厳しくて…。それが、小6で全道大会に出られるようになった頃には、「バスケは楽しいな」と思うようになってましたね。

●鈴木選手は北海道出身。北海道と神奈川の寒さは違いますか? また、鈴木さんが思う北海道の良さとは何ですか?

寒さは全然違いますね。こっち(川崎)の寒さは耐え難い寒さ。北海道は空気がピリッとしていて、空気が澄んでいて、雪のにおいもするし、あそこまで寒いほうが私はいいですね。こっちは中途半端に寒い。風は冷たいし、自転車に乗っていても苦しい寒さです。北海道のようにピリッとする寒さって、意外といいですよ。北海道の良さは空気が良くて、ご飯がおいしくて、景色が綺麗で、自然があふれているし……。あげたらキリがありませんね。自然と都会がちょうどいい感じで混ざっていて、住みやすいです。北海道はいいですよー。

●好きなアーティスト、芸能人は誰ですか?

この質問、答えたかったです(笑)。『嵐』がすごい好きなんです。日本代表の海外遠征に行ったとき、諏訪さん(裕美、JX)と同じ部屋になることが多いんですけど、彼女はガンガンK-POPをかけるんですけど、私はその傍らで嵐のDVDを流してます(笑)。「これが嵐だー」と見せつけるように(笑)。嵐のコンサートDVDは何回も見ているし、最近のDVDは全部持っています。嵐の中では意外と松潤(松本潤)ファンなんですよ、私。(「なんで意外なのか?」の問いに)正統派だったら翔君(桜井翔)、あとはニノ(二宮和也)ファンが多いんですけど、私は“俺様系”の松潤が好きですね。これ書いてほしいんですけど、私は富士通に入ってから嵐のファンになったんですが、もともとは、名木(洋子)さんと中畑(恵里)さんから影響を受けました(さらに前だと、引退した市野育代、宇佐美里菜から広まったという)。2人が嵐のDVDを見ていて、私も一瞬にして心を奪われてしまったんです(笑)

●休みの日は何をしていますか?

試合の翌日のオフだったら、あまり部屋から出ないですね。今シーズンから一人暮らしを始めたんですが、部屋の中でこだわったのがスピーカー。センタースピーカーを置いて、いい音で嵐のコンサートDVDを見たいと思って、そこにこだわったくらい、けっこうインドア派です。音楽をかけて掃除したり、たまに自炊もします。料理は得意じゃないけど、するのは好きです。こんなことをして試合の次の日は過ぎていきます。

●ハマっているものはありますか?

オルゴールにハマっています。小樽に有名なオルゴール館があって、そこで買ったものを持っていたんですけど、最近はオルゴールから遠ざかっていた生活をしていたんです。それが、ふとした時にオルゴールを聴いたときに「めっちゃいい音!」と思って、それからハマってますね。今は小樽で買ったものと、名木さんからお土産でもらったものを聴いています。癒されますよー。今度帰省したときは、小樽に買いに行こうと思います。

インタビュー&構成/小永吉陽子