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2008年2月10日(日)特集

速攻の“コウ”がコートネームスピードで牽引するキャプテン

小林 優子選手(ビッグブルー東京)

小林 優子

今回のゲストは運動神経の良さを生かしたプレイが持ち味、ビッグブルー東京のキャプテン小林優子選手です。実践学園高時代は2年時にインターハイとウインターカップでベスト4。青山学院大から東京海上へと進み、2年目からスタメンに定着。5年目の今シーズンは初のキャプテンに選出されました。ここ数年は主力選手の入替えがあり、チームを構築中のビックブルー東京。今シーズンは三菱電機から勝ち星をあげるなどチーム力が上昇。今季のWIリーグを混戦に持ち込んだビッグブルー東京のキャプテン小林選手に今シーズンを振り返ってもらいました。

——今シーズン、チームの出来と個人の出来を評価してください。

終わってみれば、もっとやれたシーズンでした。序盤戦は勝っていたのにひっくり返されたり、もったいない試合が多かったです。中盤からは昇り調子になってきたんですけど…。うちは、他のチームと比べて魚井さん(ヘッドコーチ)が多くの選手を使ってくれるので、全員バスケで勝つチームを目指しています。終盤、モットーである「走るバスケット」が出来てきたところでシーズンが終わったという感じです。個人的には、今シーズンは「不甲斐なかった」の一言です。

——どんな点が個人的に納得いってないのですか?

キャプテンとして、もっとやれるべきことがあったシーズンではないかと感じています。私はあまり(注意などを)言うタイプじゃないし、随分と周りに助けてもらいました。これはキャプテンになってわかったことなんですけれど、今までは歴代のキャプテンがまとめてくれていたから、何のためらいもなくプレイが出来たのかなと思いました。キャプテンになって、初めてそういうことを考えるようになったので、今シーズンは気持ちの面で去年までとは違ったような気がします。来シーズン以降は、キャプテンになった人をもっと助けてあげたい。プレイよりも、精神的な部分で成長できたシーズンだったと個人的には思っています。

——3シーズン前(第6回リーグ)はWIで優勝して入替戦に出場。その後はベテラン選手の引退があって、3年連続4位に終わっています。といっても、今シーズンはこれまでと同じ4位でも勝ち星が5勝から6勝へ。そして三菱電機から2勝をあげ、手応えがあったシーズンだったのではないでしょうか。

この何年かは、岩水(麻理子)さん、松本(雅代)さん、佐藤(恵美)さんが引退し、3人の存在感の大きさを感じながらやっていました。この3人がチームからいなくなったことで、新たなチームを作らなきゃいけないことが大変でした。三菱が1部(Wリーグ)から落ちてきたことや、荏原や紡織が上がってきたというより、自分たちのチーム作りが出来なかったからこの順位だったと思っています。昨シーズン1年かけて土台を作って、今シーズンの後半戦になって、ようやく勝ち方がわかった気がします。チームを作るのは時間がかかるものですが、「こういうチームにしたかったんだ」と手応えを感じたところで終わることができました。

——浮上するきっかけとして、11月2日に再々延長で三菱に勝った試合(89対88)がポイントになったのではないですか?

そうですね。あの三菱戦はシュートが神懸っていました。流れが来たというか(笑)。しかも、それまでの5戦全部負けてたんですよ。絶対に勝ちたかったし、ここで勝たないと後がないというのがありましたね。みんながモヤモヤしていたんです。三菱に勝ったことで「私たちにもやれるんだ」とチームが上向きました。あの試合は今シーズン一番思い出に残るゲームです。三菱は1部でやってきた選手もいるから、そういう選手と試合をやることは1部と2部の差が縮められるわけだから、三菱に勝つことでいろいろなことが見えてきましたね。

——キャプテンの目から見て、ビッグブルー東京はどんなカラーを持つチームですか?

今日のインタビューで、これだけは絶対に言おうと思って来たんですが、うちのチームはとにかく「バスケットボール好きの集まり」なんです。仕事は大変だけど、それでもバスケをしたいという選手しかいない。バスケが好きな選手が集まっているのでみんな同じ方向を向いているし、本当にチームワークがいい。社会人として常識力を持って人と接することができる選手の集まりです。会社の人も応援してくださるし、いい環境でバスケをやらせてもらっていることに感謝したいですね。私たちの試合を見てもらえればわかると思いますけど、コートもベンチも一体になってやっています。練習がそんなにできないですから、輪から乱れる人がいたら勝てないと思うんですよ。だから、まとまりはすごくありますね。

——WIリーグのチームは仕事とバスケットの両立が大変だと聞きます。「同じ方向を向いている」というコメントが出るのは、やっていて充実感があるのではないですか。

すごくありますね。仕事も楽しいし、バスケも楽しい。体力的には確かにつらいですけれど、今が一番楽しい時でもあります。魚井さんはそんな私たちの環境を知っているから「好きに攻めていいぞ」と言ってくれます。まあ、私はよく怒られるんですけど(笑)

——今後の課題と目標を聞かせてください。

最終的には4位でしたけれど、来シーズンは「頑張ればイケる!」という手応えが出てきました。今シーズンの悔しさを忘れずに来シーズンはもっと上を目指したいです。自分としては、持ち味のスピードを出しつつ、この歳(2月に27歳になる)でももっと上達して成長したいと思っています。自分はセンスがまったくないので、巧さを身につけたいんですよ。これは永遠の課題です。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●仕事や練習時間など、日常の生活スタイルを教えてください。

私は「本店損害サービス部海外旅行保険損害サービス課」に所属しています。仕事は9時から5時までで、練習のない日は7〜8時くらいまで残業しています(この日、午後6時からのインタビューのあと、再び仕事場に戻った小林選手でした)。練習は火・木・土・日曜で水曜が自主練。シーズン中は土日のどちらかが試合になります。仕事のあと食事をとり、丸の内のオフィスから体育館のある石神井まで1時間くらいかけて移動します。午後7時15分から9時過ぎまで全体練習。個人練習をして10時頃に体育館に出て帰宅というのが1日のパターンです。私は体育館から実家が近いからいいのですが、中には家が遠くて帰宅すると12時近くになっちゃう選手もいますね。

●仕事にバスケにとお忙しそうですが、自分の時間はありますか?

ほとんどないですね。家を出てから帰るまで仕事とバスケのみ。シーズンオフだと、仕事も練習もない日というのが月に一度くらいありますけど。リーグに入ってからは日曜が試合の場合でも月曜は出勤します。土曜が試合だと日曜が休みになります。オフの日は疲れてずっと寝ているか、元気がある時は買い物に行きます。今の生活だと自分の時間を有効に使う時間はないですけど、充実しているので満足しています。

●コートネーム「コウ」の由来は何ですか?

速攻の「コウ」、攻撃の「コウ」です。大学でつけてもらいました。高校の時は小林の「コバ」でした(笑)

●憧れの選手はいますか? 仲のいい選手は誰ですか?

憧れはビッグブルーのOGである松本雅代さん。同じ埼玉出身、同じ大学の先輩で、ずっと活躍を見てきて、本当にすごい人だったので尊敬しています。今もいろいろと相談に乗ってもらっています。岩水さんや、高校の先輩である小堺みさき(元富士通)さんも憧れです。チームでは宮本(美希)さん。練習でも試合でも宮本さんが率先して引っ張ってくれます。仲良しは同期の森光(曜子)さん。今年キャプテンをやってみて、(昨シーズンキャプテンだった)森光さんの苦労がわかりました。

●これだけは譲れない「こだわり」はありますか?

洋服が好き。買い物が好きです。雑誌を見て「次はこれ買いたい〜」と思っている瞬間が好きです(笑)。あとはヤクルト飲料に凝っています。ヤクルトを飲むとお腹の調子がいいんですよ。あっ! あと、アサイを毎日飲んでいます。アサイって知ってますか? 南米の果物で鉄分、カルシウム、食物繊維が豊富なんです。鉄分がいっぱい入っているので、貧血気味の人にはお薦めですよ。

インタビュー&構成/小永吉陽子