- 2007年12月26日(水)特集
-
急成長!トヨタ紡織の頼れる大黒柱
谷川 奈穂選手(トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)

今回のゲストはトヨタ紡織のキャプテン谷川奈穂選手。今シーズン、WIリーグで成長著しいトヨタ紡織のエースの登場です。静岡商高時代は、初出場した高3時インターハイで準優勝、ウインターカップはベスト4と全国大会で活躍。高3のインターハイでは得点王に輝き、ジュニア代表としてアジアジュニア選手権、世界ジュニア選手権にも出場したキャリアの持ち主です。トヨタ紡織の大黒柱である谷川選手に、仕事とバスケットボールの両立、そして、今シーズン躍進の理由を聞いてみました。
——トヨタ紡織に入った理由から聞かせてもらえますか。
大学卒業後もバスケットボールを続けたいとは思っていたんですが、進路はすぐには決まりませんでした。どうせやるなら社会人として働きたかったし、仕事をしながらプレイヤーを続けられるチームがいいと思って、トヨタ紡織を紹介してもらいました。
——トヨタ紡織に入部して、すぐにチームの主力になりましたね。
私が入った時、トヨタ紡織は2部(WIリーグ)に上がりたてで、それほど練習が厳しくなかったんです。だから、入ったばかりの私でも通用したのだと思います。
——仕事をできる環境を選んだとのことですが、現在の仕事の内容は?
経営企画部に配属されています。基本的は事務職全般をやっています。社会人としてバスケットを続けることは自分としては求めていた姿なんですが、実際にやってみるとすごく大変。試合で負けても「仕事をしているから」ということは言い訳にはできませんし、会社の方がたくさん応援してくださるので、立場上、勝たないと苦しくなります。やっぱり社会人というのは大変だなと、つくづく感じます。
——1日のスケジュールはどうなっているのですか?
朝は6時半に起きて、朝食をしっかり食べてから出勤します。仕事はリーグが始まる2か月前からシーズン中は朝8時半から午後3時まで。シーズンオフは午後4時まで仕事をしています。練習は4時から7時半まで。基本的に日曜日が休みなのですが、試合があれば休みではありません。日曜に試合がある場合は、翌日月曜の練習はオフですが、仕事は定時まであります。実質、シーズン中は休養日がないといえばないですね。
——シーズン中に休みがないというのはツライですね。
日曜に試合があった日なんかは、翌日に仕事をするのはキツイですね。仕事後に練習をすると足とか腰とかがだいぶ疲れるので、結構、疲れは溜まってきます。でも、もっと練習しているチームはあるだろうし、そういうチームに比べたら練習時間は少ないと思うので、やれる環境で頑張るだけです。
——そんな中で、今シーズンはチームの成長が感じられます。年内が終了した時点で6勝6敗。昨シーズンの2勝14敗を大きく上回っています。勝ち星が増えた要因は何でしょうか?
練習内容が変わってきたからだと思います。練習時間が4時スタートになったのは今シーズンからなんです。練習時間が1時間延びたのは大きいと思うし、新しくトレーニングコーチの方が来てくださったので、体力をつけるメニューが増えたことが大きいと思います。練習の前半はトレーニング系をやって、後半は技術系の練習をやっています。今までは体力トレーニングに割く時間がなかったので、やはり練習量が増えたことが要因ですね。
——体力トレーニングの効果を感じていますか?
すごく感じます。今までは試合の後半にバテることが多かったのですが、今年は脚が動いていると思うし、交替するメンバーも走ってくれます。その辺が自信になってきました。また、トレーニングコーチから栄養指導を受けているのも大きいと思います。夕食は練習後に社員食堂で食べるので心配ないのですが、問題は朝食。選手は皆一人暮らしなので、朝は時間がないからといって、簡単な物ですませてしまう選手もいました。時間がない中でもどのような物を食べたらいいのか、栄養面の指導を受けています。食べる物に気を遣うようになったことも、チームが向上した要因かもしれません。
——キャプテンとして、大黒柱として、自分の役割をどのように認識していますか?
ディフェンスとリバウンドに入ること。自分が確実に取るべき点を取ること。周りにシュート打たせるところは周りを生かすこと。ミスをなくすこと、でしょうか。
——今後の目標を聞かせてください。
今シーズンはオールジャパンに出ることが目標だったのですが、これはクリアしたので、あとは一つでも多く勝ちに行くこと。個人としては能力がない分、頭で考えて動ける選手になること。状況判断ができる選手になりたいです。チームとしては、「トヨタ紡織のバスケットを観に来て良かった」と思ってもらえるゲームをすることですね。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●谷川選手は高校(静岡商高)時代にインターハイで準優勝していますね。高校時代の思い出を聞かせてください。
練習が厳しかったことしか思い出せないです(笑)。私の高校の先生は青木良浩先生といって、全国的に練習が厳しいことで有名な先生で、その先生が市立沼津高から静岡商高に異動されてきて、強化したチームなんです。高校時代のあのツライ練習があったから、大学行って、トヨタ紡織に入ってからも、どんな練習があっても大丈夫だとやれたのだと思う。練習量で言えば、日本一厳しい高校だと思うんです。まあ、あの時代は丹原高(愛媛)も厳しかったと思う。うちか丹原のどっちかが厳しいと有名でした(笑)
●これまでで一番思い出の試合は何ですか?
これもまた高校時代の試合なんですが、高3でインターハイ初出場した時の2回戦の熊本国府戦。初出場だったのでインターハイがどんなものかもわからなかったのですが、2回戦でいきなり強豪の熊本国府と対戦するということで、緊張していました。自分の力がどこまで通用するかわからない中で、私は得点面で勝利に貢献することができたので、ホッとしたのを覚えています。そのあと、一戦一戦勝ち上がったら準優勝することができたんです。
●ライバルはいますか? また好きな選手、憧れの選手は誰ですか?
ライバルですか? 考えたことないですね。憧れの選手ということで答えさせてください。元シャンソン化粧品の加藤貴子選手。ジェットさんが好きです。ジェットさんのポストプレイ、ステップイン、絶妙なタイミングで相手をかわすプレイというか、すべてにおいて素晴らしいと思います。マネしたくてもできないスゴサがジェットさんにはあります。
●ニックネーム「ロン」の由来は?
「強い選手になるように」と、ストロングからロンの部分を取って「ロン」になりました。トヨタ紡織では1学年上の先輩がニックネームをつけてくれることになっていて、先輩のもも子さん(桜井もも子、昨シーズンで引退)がつけてくれました。高校時代は名前から「ナホ」と呼ばれていました。大学時代は「なぎ」です。由来は……静岡出身でうなぎパイが有名なので、うなぎの「なぎ」です。これ、みんなに言うと笑われるんですよ(笑)
●お菓子作りが趣味だとか。どんなものが得意ですか?
お菓子はよく作りますね。料理するのが好きなんです。大学時代は自炊だったので、必然と作るのが得意になりました。今思えば、小学校の頃から簡単な物は作っていましたね。よく作るお菓子はクッキーかな。あとはチーズケーキ、パウンドケーキとか、簡単な焼き菓子が多いですね。
インタビュー&構成/小永吉陽子