- 2007年11月1日(木)特集
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スピードとスティールで魅せるトヨタの若き司令塔
三浦 歩惟選手(トヨタ自動車 アンテロープス)

今回のゲストはトヨタ自動車の若き司令塔、三浦歩惟選手です。160㎝の小柄で細身の体ながら、抜群の脚力とスピードを生かしてチームをリード。スタメンとなった昨シーズンは、アシスト(4.93本)とスティール(2.29本)部門で3位に浮上して飛躍の年となりました。常葉学園高時代には、高3時にインターハイ、国体、ウインターカップを制する偉業を達成。今季は高校時代のチームメイトである櫻田選手が加入し、2人が繰り出すコンビプレイにも注目が集まります。昨シーズンは、シーズン最終戦で捻挫のアクシデントでプレイオフのコートに立つことができなかった三浦選手。ベビーフェイスの裏に隠されている今シーズンへの熱い思いを聞きました。
——昨シーズン、はじめてスタメンのポイントガードとして、レギュラーシーズン全試合に出場。振り返ってみてどんなシーズンでしたか?
桜庭(珠美)さんが抜けたあとのポイントガードということで、かなりプレッシャーがありました。桜庭さんとはプレイスタイルが全然違うし、周りも比べるんじゃないかと…。自分はいい時と悪い時の差が激しくて、自分のせいで負けたゲームもあるので、まだまだだったと思います。でも、自分がポイントガードとなった年に順位を落とさなかったことは良かったと思ってます。
——昨シーズンはレギュラーシーズン最終のアイシンAW戦で右足を捻挫してしまいました。そのため、セミファイナルには出ることができなかったのですが、どんな気持ちで試合を見守っていたのですか?
プレイオフを目指してやってきたので、それに出られないというのは、すごく悔しくて悲しかったです。試合会場に行っても泣けてくるみたいな…。何としても出たかったので、いろいろと処置してもらったんですけれど、やっぱり無理でした。捻挫をしてからはずっと練習してなかったんですけど、セミファイナルの会場に移動してから練習に合流できたら、途中交替でいいから試合に出してもらおうと思ったんです。でも、その移動で足がパンパンに腫れてしまって、丁さんから「お前は出せない」と言われて断念しました。練習もやってないのに、試合には出られないですよね。チームメイトには本当に迷惑をかけてしまいました。
——その分、今シーズンにかける思いは強いのではないですか。
はい。今シーズンはプレイオフのコートに立って、絶対に勝ちたいですね!
——今シーズンは池田選手とともに、サブキャプテンになりました。心がけていることは?
今シーズンが始まってからキコ(榊原紀子)さん、キラ(池田麻美)さんが日本代表でいなくて、リョウ(角井絵美)さんがリハビリしていたこともあって、練習を開始したばかりの頃はメンバーが揃わない中で、自分がサブキャプテンとしてまとめる役割でした。キコさんたちが帰ってきてからもその役割をしなきゃいけないですが、やっぱり先輩に頼ってしまいます。年齢は下だけど、ポイントガードとしてリードしなきゃいけないので、もっと積極的に声を出していこうと思ってます。
——話は変わりますが、三浦選手の質問コーナーには「高校時代のことが知りたい」という要望が多かったので、常葉学園高時代のことをお聞きします(下記の質問コーナーにも関連質問あり)。常葉では3年時にインターハイ、国体、ウインターカップで優勝しました。国体は常葉の単独チームではなかったですが、3冠を達成した感想を聞かせてください。
3冠をしたといっても、あんまり実感がないんですよ。ただ「試合に負けたくない!」という気持ちでやっていて、最終的に負けずに終わったというか。終わってから周りに「3冠すごいねー」と言われても「はい、気がついたら3冠してました」という感じですね(笑)。自分たちは小さいからオールコートプレスの練習ばっかりしてたんです。どのチームと対戦してもプレスディフェンスでしたね。ミスを誘ってブレイク。とにかく、ディフェンスからブレイクというチームでしたね。インターハイに勝って、国体は常葉の小前先生がコーチではなかったんですけれど、国体にも勝つことができて、最後のウインターカップは「最後だから負けたくない」という気持ちでやっていたら勝つことができました。櫻田(佳恵)も山田(未来、日本航空)も、本当によく走ってましたね。最後の最後まで走り続けたから勝てたのだと思います。
——その櫻田選手とは今年からチームメイトになりましたね(下に関連質問あり)。開幕から1か月。ここまでの自分とチームの出来はどうですか?
自分としてはもうちょっと安定した試合をしなきゃいけないと思ってます。得点が止まった時やセットプレイの時にまだうまくリードができない。いいディフェンスをしても得点につながらないことが多くて、ポイントガードとしてまだまだです。富士通の2戦目(10/7)もそんな展開で延長の末に負けてしまいました。前半は相手の攻撃をうまく止めていたのに、後半で逆転されてしまったので…。私の波をなくすことがチームの勝ちに結びつくと思うので、もっともっと練習しなきゃいけないです。
——今後の課題と目標を聞かせてください。
個人的には(好不調の)波をなくすこと。丁(チョン・ヘッドコーチ)さんのバスケットはガードとセンターが大事と言われるので、ガードとしてもっとチームメイトの信頼を得なければならないです。今年で5年目になっても丁さんのバスケットは難しくて怒られてばかりですけど、自分の持ち味のスティールや走ることを出しながら、いいところでパスをさばけるようになりたいですね。チームとしては絶対に去年よりいい成績を出すこと。プレイオフに出て、その上にいきたいです。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●高校以来、櫻田さんと同じチームになり楽しみにしています。櫻田さんとはやりやすいですか?(質問多数)
この質問多いですね(笑)。櫻田とはミニバスから一緒で意見が言いやすいし、向こうもやりやすいと思います。今は高校の時とは違うオフェンスパターンをやってますけど、2人でバーッと速攻に走ることは見せられると思います。櫻田がトヨタから勧誘を受けていた時に丁さんから「お前が櫻田を口説いてくれ」と言われたんですよ(笑)。だから「最終的には自分で決めてほしいけど、私は一緒にやりたいな〜」と誘いました(笑)。櫻田はこのチームが合っていると思います。
●高校時代に同級生だった山田未来選手(日本航空)と対決する時は意識したりするのですか?(質問多数)
これも、よく聞かれますよ(笑)。向こうもこっちもお互いを知ってるって感じでやってますね。クセとか気の強さとか。高校の同級生だし、同じくらいの身長だからちょっとは意識するけれど、人が思うほど意識はしないですね。
●コートネーム「ミキ」の由来は何ですか?
高校の時は名前の「アイ」と呼ばれていたんですが、トヨタに入ったらマネージャーの前田さんがアイさんだったので、違うコートネームをつけることになりました。丁さんが「三浦」と呼ぶと「ミーラ」と聞こえるから、「ミラ」という案も出たんですけど、それじゃあ永田さん(睦子、元シャンソン化粧品)と同じだからダメということになって(笑)。それで、丁さんがその場で速攻で考えてくれたのが「ミキ」だったんです。丁さんが日本通運で教えたていた時に、小さくて私に似たような「ミキ」という選手がいたらしくて、「じゃあお前はミキだ!」と決められて、私は「ハイ…」としか言えなかったですね(笑)。今ではお子様っぽいから、「ミキハウスのミキでしょ?」って言われています(笑)
●試合前に必ずしていることは何ですか?
試合前にバナナを食べないこと。前は試合前に捕食としてバナナを食べてたんですけれど、去年、試合前に食べて胃を壊してから食べなくなりました。あれ? これでは試合前にしないことですね(笑)。しているのは練習とは違うことをやってます。髪の縛り方を練習ではひとつに結んでいたとしたら、試合ではおだんごヘアにするとか。試合にはリストバンドをしたりとか。練習とは違うことをして、気合いを入れます。
●コートから離れた時、普段はどんな生活を送っているのですか?
あんまり行動派じゃないですよ。休みの日でも買い物に行ったりしないし、けっこうヒッキー(引きこもり)です。人ごみが苦手なんですよ。映画を見たり、マンガ喫茶でダラダラするのが好き。だからお金もあまり使わないんです。よく「お金のかからない女だねー」と言われます(笑)。お寿司を食べに行っても生ものがあんまり好きじゃないので、シーチキンとか玉子ばっかり食べるし、ワサビは抜いてもらうし…(笑)。見た目も中身もまだ子どもかもしれません(苦笑)
「だからミキハウスと呼ばれるんですね」と川崎マネージャーからの突っ込みでインタビューは終了となりました)
インタビュー&構成/小永吉陽子