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2007年7月1日(日)特集

未知なる可能性を秘めた日本航空の成長株

三井 裕愛選手(日本航空 JALラビッツ)

三井 裕愛

今回のゲストは日本航空の三井裕愛選手。柔らかなジャンプシュートを持ち味とし、昨シーズンより日本航空のスタメンとして活躍するセンターフォワードです。一昨シーズン、シャンソン化粧品とのファイナルでは控えながら度胸満点のプレイを披露した姿は衝撃的でした。その成長ぶりを買われて、一昨年は初の日本代表候補入り。残念ながら疲労骨折の治療のために強化合宿を辞退することになりましたが、今後に大きな可能性を秘めている選手です。そんな三井選手のバスケット歴、知られざる素顔をクローズアップ。

——最初にバスケットとの関わりからお聞きします。三井選手は樟蔭東中〜樟蔭東高〜樟蔭東女短大と強豪校で揉まれてきましたが、バスケットをはじめたきっかけは何ですか?

バスケットボールを始めたのは中学からで、きっかけはマンガの『スラムダンク』にハマっていたからです(笑)。でも、入学した時は樟蔭東中がバスケットボールの強豪だということを知りませんでした。母がソフトボール(現在もママさんソフトの選手)をやっている影響でソフト部に入りたかったのですが、ソフト部の人数が少なくて試合ができないので、興味を持っているバスケにしました。

——中学校の時から身長が高かったのですか?

いえ、中学校に入学した時には身長が155㎝しかありませんでした。だから最初はガードやフォワードをやっていて、中2の終わり頃からインサイドに転向しました。その頃には170㎝くらいになっていたと思います。中学校で身長が20㎝も伸びたんです。

——20㎝とはずいぶん伸びましたね。今のようにインサイドをやりながら柔らかいジャンプシュートを打てるのは、ガードやフォワードをやっていた経験からでしょうか。

そうですね。プレイスタイルは学生の頃からあまり変わってないと思います。

——Wリーグのプレイヤーになることを意識しだしたのはいつ頃からですか?

同じ敷地内に高校と短大があるので、先輩たちの活躍を見ていて自然に「もっと上を目指したい!」と思うようになりました。Wリーグの試合は中3くらいから見出していて、大阪でシャンソンとジャパンエナジー(現JOMO)の試合があった時には真っ先に見に行っていました。2強がすごかった頃ですね。ジャパンエナジーの萩原(美樹子)さんのファンで、出待ちしてサインしてもらいました。今でもお会いするとドキドキしてしまいます(笑)

——樟蔭東女短大卒業後、日本航空に入社。今年で6年目を迎えますが、4年目あたりから頭角を現してきました。ここまで振り返ってみて、どんな成長があったと感じますか?

新人の頃は林ヘッドコーチの言っていることがよく聞き取れず、それで苦しみましたが、先輩たちが教えてくれたのでついていくことができました。日本航空の動きは複雑なんですが「動きの中で考えて判断する」という点では、私のやってきた樟蔭東とスタイル的に似ているので、他の選手よりも戸惑いは少なかったと思います。でも、短大まではただ漠然とやっていて、「自分が何かをする」と思いながらプレイをしたことがなかったので、日本航空に来てから「自分が何をすればチームのためになれるか」という、自分の役割について考えるようになりました。成長したといえばその点です。

——チームにおける三井選手の役割は何でしょうか?

インサイドのプレイヤーなので、スクリーンをかけてフォワードに得点を取らせるかということと、うちのチームはセンターもプレイを作る立場なので、自分の動きがどのように得点に結びつくか、常に考えて動くことです。

——昨シーズンからスタメンに抜擢されました。振り返ってみてどんな1年でしたか?

まだまだ全然ダメです。実際にスタメンになってみて、いかに今まで先輩に頼っていたかがわかりました。ミスを怖がってしまい、萎縮したプレイが多かったです。

——一昨シーズンのファイナルで、控えとして出てきて思いきりのいいプレイが印象的だったのですが、やっぱり控えとスタメンでは試合への臨み方が違いますか?

けっこう緊張するタイプなんですよ…。「先輩たちがいるから」と思えば、失敗してもいいからと思い切りやれたのですが…。いざ自分がスタメンでやってみるとまだまだ。控えが、スタメンが、というより、先輩に頼っていた分、まだ自分のプレイができてないです。

——昨年度は日本代表候補に選出されました。疲労骨折の治療のためにこれを辞退していますが、選ばれた時の心境はどうだったのですか? また、三井選手にとっては日本代表とはどんな存在ですか?

選ばれた時はビックリしました。まさか自分が選ばれるとは思ってなかったし、自分にはまだ早いんじゃないかな…と思っていました。でも、運が悪かったというか、シーズン中から疲労骨折を抱えていて、日本代表の合宿期間に治療に専念するということで辞退しました。やはり、日本代表は日本の最高峰だと思うので、いつかは入りたいところです。

——最後に今シーズンの目標を聞かせてください。

プレイでは得点とリバウンドを増やすこと。昨シーズンはどちらも自分の納得のいくプレイができなくて、特に点数が取れなかったので、今シーズンは10〜15点を目標にしたいです。チームとしては優勝。それしかないです。昨シーズンは私が入ってから初めてプレイオフを逃してしまったので、今シーズンは気持ちを新たに頑張りたいと思います。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●大舞台の時に調子がよく感じるのですが、緊張はあまりしないタイプですか?

いえ、めっちゃ緊張するタイプです(苦笑)。精神面はまだまだだと思います。周りの人からは「あまり表情には出ないタイプだ」とよく言われますが、けっこう試合前などは心の中では緊張しているんです(苦笑)。コートに出てしまえば問題ないのですが。

●以前、テレビ中継のインタビューシーンを見たのですが、とても大阪人とは思えないほど、おっとりしていると感じたのですが、普段もそんな感じなのでしょうか?

前の質問にもありましたが、すごく緊張するタイプなんです。多分、昨シーズンの大阪での試合後のインタビューを見られたと思うのですが、あの時はテレビのインタビューというものが初めてだったので、特に緊張しました。人見知りはするタイプですが、普段はもっと明るいですよ。いつも、チームメイトとはしゃいでいます。

●チーム内で仲のいい選手は誰ですか?

ミユキさん(柳沼幸)、ユミ(岩村裕美)、ジュリ(伊佐樹里)といることが多いです。ユミとは高校(大阪薫英女学院高)からよく対戦していて、ライバルチームだったけど、国体で一緒だったので仲がいいんです。いつもユミのボケにツッコミを入れています(笑)

●横浜ベイスターズの佐伯貴弘選手のファンということですが、何がきっかけでファンになったのですか?

きっかけはバラエティのトーク番組に佐伯選手が出ていて、それを見てファンになりました。実は佐伯選手の実家がうちの実家の隣の駅で、佐伯選手のお母さんがそこで飲食店を経営しているんです。それをうちの母がママさんソフトの仲間から聞き、いつか行ってみたいと思っていました。佐伯選手は甲子園球場で試合がある時は実家にお線香をあげにいくと聞いていたので、ちょうど自分がオフの時で、甲子園で試合がある時に、うちの両親と佐伯選手のお母さんのお店に食べに行きました。もしかしたら会えるかも…と期待して(笑)。そうしたら、「昨日、帰ってきたところだったのよ」と言われてガックリしたのですが、佐伯選手のお母さんが「あなたのファンのバスケ選手が会いに来ている」と本人に電話をしてくださり、お店に呼んでくれたのです。そこで初めてお話をさせてもらい、サインをもらいました。もう感激でした! それっきり会ってないのですが、帰省の時には必ず佐伯選手のお母さんのお店に行って、バスケットの近況報告をしています。

●マイブームは何ですか?

マイブームというほどではないですが、時間があったらインターネットのmixi(ミクシイ)を見ています。遠征が多いのでパソコンより携帯電話から見ることが多いです。もちろん、佐伯選手のコミュニティにも入ってます(笑)

構成/小永吉陽子