- 2007年4月23日(月)特集
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抜群のバスケットセンスを持つ日本期待の若きガード
吉田 亜沙美選手(JOMO サンフラワーズ)

今回のゲストは06−07シーズンの“新人王”吉田亜沙美選手です。東京成徳大中学校、東京成徳大高校時代から注目されていた抜群のバスケットセンスで、ルーキーながらJOMOのスタメンとして3年ぶりの優勝に貢献。日本代表としてもアジア競技大会にて銅メダル獲得。その直後に行われたアジアヤングウーメン(U−20)選手権では司令塔として準優勝に導き、得点王とMVPを受賞しました。パスセンスに優れ、みずから「オフェンスよりディフェンスが好き」と言い切る頼もしい若手プレイヤー。満点の試合度胸を持つその反面、コートから離れるとお茶目でシャイな性格をのぞかせる“リュウ”の素顔を紹介します。
——苦しいシーズンでしたが、優勝した喜びは格別でしたか?
優勝できたのはすごくうれしいし、チームに入ってすぐに優勝を味わえたのですごく幸せだと思います。ファイナルではシュートは入りませんでしたが、その分、パスとかディフェンスを頑張れたと思います。高校のインターハイの優勝とはまた違う感激で、1年間リーグをやってきて、本当に頂点に立ったんだなあという気持ちでした。
——2連敗からの3連勝。崖っぷちに立たされてから、3戦目はどのように立て直したのですか?
内海さん(ヘッドコーチ)から「1、2戦目は1対5で戦っている」と言われたので、3戦目以降はチームオフェンスで戦っていこうと気をつけました。その一言でコートに立つ5人の意識や考え方が変わってきて、単発的な1対1ではなくて、流れの中で1対1を考えるようになりました。3戦目以降はディフェンスもいい感じで入っていけたと思います。1、2戦目に大差で負けたから、いけない部分が全部出て、これじゃダメだと気がつけたのは良かったです。
——初めてのWリーグ。シーズンを通しての手応えはどうでしたか?
高校の時にディフェンスのことはすべて教えてもらったので、自分の印象としてはディフェンスは良かったと思うのですが、オフェンスでは外角のシュートがまだまだでした。
——Wリーグ1年目からディフェンスのことを意識できる選手はあまりいません。ルーキーから求められているディフェンスができたというのは、すごいことですよ。
高校の時からオフェンスよりもディフェンスが好きだったんです。最初は当たり負けしたり戸惑いがあったんですけど、毎日トレーニングしたりして、だいぶ慣れたと思います。
——新人王を受賞した感想を聞かせてください。
すごくうれしいです。周りのおかげだし、チームあっての賞だと思っているのでチームの人に感謝しています。周りの人から「一生に1回しか獲れない」と言われてから、「すごい賞をもらったんだなあ」と思うようになりました。
——昨年は日本代表としてドーハのアジア大会に出場。その後、ドーハから直接シンガポールに入ってアジアヤングウーメン(U−20)選手権に出場。その後は帰国してすぐにオールジャパン、そしてリーグのプレイオフと目まぐるしい1年だったのではないですか。
本当にいろいろありました。日本代表をやっている時は代表のことを考えて、それが終わったらヤングウーメンのことを考えてと、一つ一つ気持ちを切り替えをやっていきました。日本代表ではベンチだったけど、シンさん(大神雄子)のバックアップとして少しでも自分のディフェンスだったり、ドライブだったりをやれたと思うし、ヤングウーメンでは日本代表の試合に出られなかった分、スタメンとしてどこまで自分ができるか楽しみながら挑戦していました。忙しかったけど、目の前のことを一つ一つやっていった1年でした。
——アジア大会と、ヤングウーメンの開催が続いたため、ヤングウーメンではぶっつけ本番に近かったですよね。そんな中で準優勝となり、アジアの得点王とMVPを獲得。どんな点を心がけて大会に臨んだのですか?
最初はすっごく心配だったんです。ドーハからシンガポールに移動して、合流して1日しか練習ができなかったので。だから、雰囲気作りを心がけました。JOMOの体育館でヤングウーメン代表と一緒に練習をしていた時に、反対のコートでヤングウーメンがあまり声が出てなかったんですよ。ディフェンス練習をしているのかと思うくらい静かな印象があったので、とにかく声を出していこうと思いました。現地で合流した時はもう声が出るようになっていて、いい雰囲気で大会に入れたと思います。日本代表でも雰囲気が大切だと学んだので、そういう意識をヤングウーメンに持っていったつもりです。静かな雰囲気のまま大会に入ったら、世界選手権の切符は取れなかったと思います。
——この1年で世界と戦う欲が出てきたのではないですか?
はい。最低限、メダルを取らなきゃいけないアジアの中で結果を出せたことは大きな経験になりました。メダルが絡む大会の臨み方もわかったし、Wリーグだけじゃわからないことが国際大会を通してわかりました。なんか、すごい1年でした。
——今年度も日本代表、さらにはヤングウーメン代表として世界選手権、そしてJOMOでの2シーズン目と新たな1年が始まります。目標を聞かせてください。
日本代表では少しでも試合に出てチームに貢献したいです。ヤングウーメンでは自分が中心になって、今度は世界で一つでも多く勝ちたいです。この1年で自分としてはディフェンスはけっこう良かったと思うけれど、外角のシュート力をつけていくことが課題です。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●練習が終わると、どんなことをして過ごしていますか? また趣味は何ですか?
練習が終わるとお風呂に入って、夕飯を食べて、テレビドラマを見たり、音楽を聴いたりしています。音楽はケツメイシとか、気持ちが静まるような音楽が好きです。高校の時は趣味もバスケットだったけど、JOMO入ってからも毎日バスケットなので…(笑)。休みの日は外に遊びに出ることは出るけれど、面倒くさがり屋だし、次の朝から練習だと思うと、遠出する気にはなりませんね。家でゴロゴロして音楽を聴きながらリラックスしている時間が好きです。
●憧れや尊敬しているプレイヤーは誰ですか?
ジェイソン・キッド(NBA)がすごく好きで、パスセンスに一目ぼれしました。日本の女子だと薮内夏美(元日本航空)さんが好きでした。マッチアップしてみたかったです。あとは竹内譲次(東海大→日立)さん。東アジア大会(マカオ)で一緒になって試合を見て、あの身長でドライブもできてインサイドもできるのでスゴイ! と思いました。でも、人の試合を見ることはあまりしないです。自分がやりたくてウズウズしちゃうから(笑)
●好きな男性のタイプは?
バスケットをしている人がいいです。共通の気持ちがあるし、一緒にバスケットの話をしたいです。女子と男子では感じていることが違うかもしれないので興味があります。自分がバスケットを始めてから他のスポーツには興味がないので、今はバスケットをしている人か、スポーツをしている人がいいです。それで、優しくて背が高ければ…。
●PG(ポイント)ガード、SG(シューティングガード)の両方で出ることがありますが、自分ではどっちがやりやすいですか?
自分は試合に出られればどっちでもいいです。でも基本的にはパスをさばきたいのでPGですかね。SGで出たら点を取るのはなかなか難しいんですけど、とにかく走ります。自分のパスでチームメイトを走らせて得点してもらうのが好きです。
●会場で優勝インタビューを見て感じたのですが、インタビュー苦手なんですか?(※優勝インタビューが終わったあと、恥ずかしさのあまり、すぐにその場を離れてチームメイト目掛けて一目散に走っていった吉田選手でした)
こういう取材とか1対1で聞かれる分にはいいのですが、お客さんがいる中でのテレビインタビューとか、大勢に囲まれた記者会見とか、あれは本当に苦手です(苦笑)。優勝インタビューを見た友達には「インタビューの練習をしたほうがいいよ」と言われました。あれは、すっごい緊張しましたね。多分、一生慣れそうにないですね(笑)
構成/小永吉陽子