- 2007年2月16日(金)特集
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コートで存在感光るパワフルプレイヤー!
角井 絵美選手(トヨタ自動車 アンテロープス)

レギュラーシーズンも佳境となり、富士通、JOMO、シャンソン化粧品、トヨタ自動車が2月24日からのプレイオフ出場を決めました。今回登場するのは、プレイオフ最後のイスをゲットしたトヨタのサブキャプテン、角井絵美選手です。パワフルなスピンムーブを武器に、今やトヨタには欠かすことのできない選手へと成長を遂げています。大阪体育大時代にインカレ準優勝となり、ユニバーシアトードにも出場。チームでは明るい性格で盛り上げ役であり、存在感あるプレイでチームを引っ張っています。プレイオフを目前に控えて現在の調子を聞くとともに、高校、大学時代の意外なエピソードも教えてもらいました。
——角井選手は大阪体育大学(以下、大体大)時代に急成長して頭角を現しました。この時期に転機があったのでしょうか。
大学時代が転機といえば、転機ですね。高校(津幡高)のときは、卒業後はバスケットをするつもりはなくて就職組にいました。それが、3年の終わりに大体大の中大路先生に声をかけてもらったんです。でも進学をする予定がなかったから、親も進学資金の準備をしてないだろうと迷っていたけれど、結局、推薦を受けることにしました。このときに就職を選んでいたら今の自分はなかったですね。ある意味、これが転機でした。
——高校を卒業したら就職をしようと思っていた理由は何ですか? また、就職をしようと思っていたのに、バスケットで進学を選んだ理由は?
就職をしようと思ったのはバスケットの練習がつらかったからです(苦笑)。高校の時は先生に「もし実業団やWJBLに進みたいのなら自分で売り込め」と言われていたくらいの実力だったので。それに、そのときは誘ってくれるチームもなかったので、就職でいいかなあと。バスケ自体は続けてもいいなぁと思ってたので、大体大に誘われたのは嬉しかったですね。
——大体大4年生のインカレで準優勝したときは大活躍でした。大学時代に相当、練習をして伸びたのではないですか。
相当、きつかったですね(苦笑)! 高校もきつかったけど、大学も厳しかったんですよ。1日にシュート1000本、1か月で3万本の打ち込みのノルマがあったんです。授業もあったからシューティングの時間を作るために、遊びにも行けなかったです(苦笑)。インカレ2位になったときはバスケットをしていて一番楽しかった時期ですね。つらいこともあったけれど、最後に結果が残せたし、自分のプレイもできたから、やっぱり練習って大切なんだなあと思いました。
——では、大体大を卒業するときは、今度はバスケットで就職しようと思いましたか?
バスケは続けたかったけれど、WJBLのことは考えてなくて、東海実業団に高校のチームメイトがいたので、そこで一緒にやろうと思ってました。仕事をしながらバスケをすれば、バスケを辞めたあとも会社に残れるかと思ったので。でも中大路先生には反対されました。トヨタに決めたのは、丁さん(チョン・ヘイル氏、トヨタのヘッドコーチ)の影響です。4年のときに丁さんに「一度練習に来てみないか」と誘われて練習に行ったんです。そのときはまさか入社するとは思ってなかったんですが、まんまと丁さんの思惑通りになったというか…(笑)。でも、どうせバスケをやるのなら強いチームでやろうと、トヨタに決めました。
——今シーズンで4年目。角井選手は2年目から全試合スタメンに定着しました。自分のプレイができるようになったと感じたのはいつ頃からですか?
1、2年目は全然だめでした。でも去年あたりから、思ったようなプレイができなくても、丁さんの言いたいことはわかるようになりました。1年目は丁さんの言葉がよく聞き取れなくて、それでなくてもバスケットの理解力がなかったので、言っていることが全然わからなかった。丁さんのバスケットは独特というか、とにかく細かいし、厳しいんですよ。精神的にも追い込まれるというか、最初はそういう環境についていくのが大変でした。
——さて、もうすぐプレイオフです。今シーズン、ここまでの自分の出来はどうですか?
今シーズンは、これまでチームを支えてくれた先輩がいなくなったので「やらなきゃいけない」という気持ちはあるけれど、ケガをして体がきつい状態でやっているので、カラ回りになっている部分があります。シーズン前に左足小指の第五中足骨を骨折しました。5月に手術をして、サマーキャンプから復帰したんですが、左足をかばっているうちに逆の足も痛くなってしまって…。このケガがなければもう少しできていたのに、と思います。オールジャパン後は特に調子が良くないです。オールジャパンが終わってから、後半戦に向けて走り込みの合宿をしたんです。そこでまた足の調子が悪くなって、一気に(調子が)落ちてしまいました。今はだいぶ足の状態も良くなっているので、残りの試合は頑張りたいです。
——丁ヘッドコーチから求められていることはどんなことですか?
ディフェンスができないからディフェンスをしろと。トヨタはディフェンスが売りなので、ディフェンスのことで言われることが一番多いですね。センターとガードがチームの軸になれと言われています。
——最後に、プレイオフに向けての抱負と「自分のここを見てほしい」というところをアピールしてください。
ひとつでも多く勝ちたい。トヨタのバスケットはやっていて楽しいし、トヨタのバスケットをみんなに知ってほしいので、たくさんの人に応援してもらえるようなバスケットをしたいです。自分はパワープレイで1対1をしてスカッと抜くのが好きなので、そこを見てください。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●石川で生まれ、大学は大阪、現在は愛知に住んでいますが、どこが一番住みやすく、どこの食べ物が一番おいしいですか?
住みやすいのは、やっぱり石川が一番ですね。大阪は田舎に住んでいたので、あまり住みやすいという印象はないです。大阪の都会に住んでいたら印象も違ったと思いますけど。愛知は遊びに行く場所も決まっているし、遠出もしないし、友達もあまりいないので、やっぱり友達がいる石川が一番いいですね。食べ物も石川が一番おいしい。私は刺身とか生魚が好きなんです。こっち(愛知)でもお寿司を食べにいくけれど、やっぱり地元にはかなわないですね。
●「これなしでは生きていけない」というものは何ですか?
私、多趣味なんですけど、すごい飽き症なんですよ(笑)。たとえば、試合で北海道に行って空港で「まりも」を見て興味を持ったりとか。でも買ったはいいけれど、まったく育てなくて死んじゃったりとか(笑)。ハワイに行ってハワンアンキルトを作りたくて、刺繍まではしたんだけど、途中でわからなくなってもうダメどか(笑)。行った場所、場所で見た物に興味を持ってしまうみたいです。今、興味があるのはパソコン。これなしでは生きていけないという物はパソコンですかね。パソコンでオークションのサイトとか見ています。
●チームガイドに「ネットオークションにはまっている」と紹介されていますが、どんな物を売買されてますか?
よく見てますねえ(笑)。オークションでは靴を売りました。買うのは服です。靴は捨てるのがもったいないので売りました。履きつぶした靴でも売れたんですよ。結構高くてレアなやつだったし、26㎝というサイズだから売れたのかもしれませんが、買ってくれる人がいるというのはありがたいです。オークションをやるのはたまーにですね。棚の整理をしていらない物が増えたらやる程度です。オークションサイトを見るのは全然飽きてないですね。で、買ってしまうと飽きちゃう…(笑)
●角井選手は後輩に優しい明るいイメージがあります。どのような性格の持ち主ですか?
結構、ふてくされやすいです。癇癪(かんしゃく)持ちかもしれない。練習でも自分ではいいと思ってやったことなのに、丁さんに指摘されると「私はこう思ってたのに!」と、腹が立ってしまうんです。しばらくして、自分が悪いんだと思って引き下がりますけど(苦笑)。寝たらすぐに忘れてしまうんですけどね。そこは長所ですかね(笑)。でも後輩には優しいよ……ね?(このインタビューを聞いていた後輩の川崎マネが即答でうなずく)。思いっきりB型ですよ。思い立ったら即行動みたいな。
●トヨタはWJBLやオールジャパンではベスト4と惜しいところまで行きますが、そこから上にはなかなか進めません。さらに上に行くには何が必要だと思いますか?
気持ちだと思います。準決勝で負けるのが当たり前になっているので、「絶対に勝つ」という気持ちが必要です。プレイオフ頑張ります!
構成/小永吉陽子