- 2007年2月1日(木)特集
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シャンソン&日本期待の急上昇シューター!
渡辺 由夏選手(シャンソン化粧品 シャンソンVマジック)

今回のゲストはシャンソン化粧品の渡辺由夏選手です。今シーズンはキャプテンに就任、日本代表にも選出されるなど、飛躍のシーズンを迎えています。昨年末のアジア大会(ドーハ)、韓国との3位決定戦での大活躍は記憶に新しいところ。勝負所で得意の3Pシュートを連発し、決勝点を決めたのも渡辺選手でした。5年目となる一昨シーズンはケガの治療により、1年間選手登録から外れる憂き目に遭いましたが、リハビリを乗り越えて一回りたくましい姿となって昨シーズンにカムバックを果たしました。今やそのシュート力は、シャンソンに、日本代表になくてはならないものに。急成長を見せる渡辺選手の素顔に迫りました。
——オールジャパンのことからお聞きします。決勝では富士通に敗れてしまい、7年ぶりの優勝ならずでした。渡辺選手にとってはどんな大会でしたか。
試合が終わったあとは「負けたんだ」というより、脱力感があって、「あぁ、まただ…」と思いました。自分がシャンソンに入ってからオールジャパンはまだ優勝したことがないんです。「今年こそ」はと思ってたんですが……。リーグではディフェンスが悪かったせいで勝てる試合を落としていたので、ディフェンスを強化して臨みました。それなのに、決勝ではディフェンスが最後まで続かなかった。一発勝負の難しさと、自分に力がないことを痛感した大会でした。本当に悔しいの一言です。
——決勝で敗れたあと、リーグに向けてはどのように気持ちを切り替えたのですか?
大会が終わって静岡に帰って来ても、しばらくは負けたことを引きずっていました。今はリーグ戦も再開したので気持ちを切り替えてリーグ優勝を目指して練習をやってます。
——今シーズンはシャンソンのキャプテンに就任しました。キャプテンとして心がけていることはありますか?
最初に決まったときは「エエッ!」と思いましたね。年齢順から言えば私なんだろうけど、ケガでプレイをやってない時期もあって経験もそんなになかったので、最初は不安でした。でもシャンソンには先輩がたくさんいてサポートしてくれるし、先輩たちも「自分の思うようにやればいいよ」と言ってくれたので、いい意味で「“シャンソンのキャプテン”だと思いつめないで普段どおりやろう」と思うようにしました。シャンソンでキャプテンやるということは誇りを持てるということ。自分らしくやろうと心がけています。
——今、話に出た「ケガ」のことですが、一昨シーズンはマネージャー登録をしてリハビリの1年を送りました。改めて、ケガの具合と復帰までの道のりを聞かせてもらえますか。
あのケガを乗り越えられたから“今”があるのだと思います。ケガ自体はスポーツ選手によくある骨膜炎(こつまくえん)と言って、私は足のすねに相当な痛みが出ていたんです。痛みは高校生の頃からあって、それが年々ひどくなって、シャンソンに入って3、4年目の時は練習を休み休み。ヒドイ時は1か月くらい休んだりしていました。
4年目が終わったときに全くプレイができないほどひどくなって、会社との兼ね合いや選手登録枠の問題が出てきました。「マネージャー登録をしてチームに残り、治療をしながら次のシーズンに備える」「完全に辞める」このどちらかの選択をしなくちゃいけなくて、相当悩みました。シャンソンからは「1年間治療をして、また選手として戻ってきてほしい」と言われたのですが、痛みがひどかったこともあり、気持ちは五分五分でした。痛みを完全に治せる自信がなかったんです。でも、考えて出た答えは「今ここでバスケットを辞めたら後悔する。バスケットが好きだから辞められない」だったので、治療をしながらチームに残ることにしました。
ドクターからは手術をするにしても「傷は残るし、良くなる保証はない」とまで言われました。でも、電気治療だとかやることはやってきたので、「ここまできたらダメでもいいから、やれることは全部やりたい」と、手術をする決断しました。最初に右足から手術して、調子が良くなったので11月に左足も手術しました。
——手術は賭けだったんですね。でも、決断して乗り越えたからこそ、今の渡辺由夏がある。
はい。手術前とあとでは全然違います。本当に痛みがなくなったんですよ! 昨シーズンはそんなに休むことなく練習できたし、試合にも出してもらって優勝することもできました。「手術してよかったね」とみんなに言われました。結果を残していない自分がプレッシャーだったんですが、みんなからそう言ってもらえたことがすごくうれしくて……。本当につらい1年でしたが、自分にとっては、大切な時期でしたね。
——その頃を思えば、復帰後は急成長。今シーズンは日本代表にも選ばれました。日本代表として1シーズン活動してみて、手応えはどうでしたか?
内海さん(日本代表HC、JOMO)の下でやるのもはじめてだったし、プレイしたことのない選手が多かったので、最初は合わないこともありました。でもみんなトップの集団だから意識が高いし、吸収することばかり。同年代が多かったので一緒にできるのが楽しかったです。
——12月のアジア大会の3位決定戦(対韓国)では、得意の3Pで大活躍でした。
3決までは自分のプレイが思うようにできてなかったんです。それが悔しくて、このままでは終われないと思ってました。3決前にキャプテンの榊原さん(紀子、トヨタ自動車)からも「うちら2人が点を取らないと勝てないからね!」と言われて、気が引き締まりましたね。3決で韓国に勝ったときは、本当に本当にうれしかったです。
——さて、リーグ戦も佳境です。ラストスパートに向けて目標を聞かせてください。
もちろん、目標は優勝です。そのためには、ディフェンスをもっと強化しないといけませんね。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●渡辺選手は真面目そうに見えるのですが、どんな性格なんですか?
私は優柔不断で、けっこうビビリなんです(笑)。何を食べようとか、どこに行こうとか、そういう日常生活のことがなかなか決められなかったりします。よく、見た目と違うと言われますが、どうなんでしょう…?
●他のチームで仲のいい選手は誰ですか?
同い年の子は仲いいですね。トヨタの池田(麻美)、日立ハイテクの磯山(絵美)、日本航空の岩村(裕美)、三井(裕愛)、デンソーの小畑(亜章子)とか、同い年の選手とよく連絡を取り合っています。
●渡辺選手の3Pはとても綺麗で見とれてしまいます。「今日は3Pが入る」かどうかは、試合の前にわかるものなのですか?
わかりますね。アップでシューティングをしたときのシュートタッチでわかります。アップで「今日はいいタッチだ」と思った日は試合でもイケますね。だから、アップでいいタッチでシュートが入ったときは、すぐ止めちゃいます(笑)。いいイメージのまま試合に入りたいから。逆にタッチが悪い時はアップで打ち込んで修正するしかないです。でもアップでダメな日も、やっぱり試合のほうが集中しているのか、試合中に修正できることが多いです。ただ、試合前のシューティングで自分の調子がわかるといっても、それがすべて影響するといったら、また違うんです。相手のディフェンスの問題やチームとの絡みがあるので。シューターとしては「チャンスにどんどん打つ」だけですね。
●キリリとした顔つきでカッコイイ渡辺選手。「男性っぽい顔立ち」と言われませんか?
言われます(笑)。リズさんからはよく「宝塚」と、からかわれるし、後輩も「サラさんはこっちのトイレですよ」といって男性トイレを指されます(笑)。そう言われるのはもう慣れたし、言われても何とも思ってないですよ。私も乗って「私はこっちか」と言って、男性トイレに入るフリをしたり…(笑)
●今ハマっていることは何ですか?
緑色が好きなんですよ。緑色のあらゆるものに弱いんです。生き物は別ですけど(笑)。カーテン、クッション、ベッドカバー、服とか、気がつくと緑色のものに目がいって集めてますね。色は強い緑より、優しい緑色が好きです。落ち着くというか、緑色に囲まれていると癒されるんです。あとはお笑いと、踊ること、歌うことが好きです。バスケット選手をやってなかったら間違いなくダンサーを目指してましたね(笑)。だからといって、今は踊れないし、好きなだけですけどね。
構成/小永吉陽子