- 2006年10月15日(日)特集
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8年目の初スタメン新たな気持ちで優勝にチャレンジ!
立川 真紗美選手(JOMO サンフラワーズ)

ゲストはJOMOの立川真紗美選手。これまではJOMOでも日本代表でも6番手のプレイヤーとして、ディフェンスと速攻という役割を全うしていましたが、今シーズンはリーグ8年目にして初のスタメンに抜擢されました。初のスタメンで見えたこと。それはミニバスから続けてきたバスケットボール人生の中で初めて感じた“新境地”でした。3年ぶりのリーグ優勝に向けてモチベーションを上げている立川選手に、初スタメンにかける意気込みを聞きました。そして、個性的なキャラクターもクローズアップ。
——今シーズンからスタメンに定着していますが、現在の調子はどうですか?
スタメンは難しい…。調子は悪くないんですけど、とにかくスタートで出て行くのが難しい。普通の選手だったらスタメンを目指してやると思うんですけど、私はそこまでスタメンに執着がなかったんです。正直、ここまできたらスタメンはないかなと思っていたし、レン(田中利佳)がケガしたからスタメンで出ているというのもあったし…。今まで6番手で出て行くことを仕事としてこのチームにいたので、すごくそう感じます。スタートで出ると、自分がマッチアップする選手の研究をできずにゲームに入って、ゲームをしながら対応していかなきゃいけないじゃないですか。そういうところが難しいです。
——控えの選手も試合や流れによって対応していきますが、そういう難しさとは違いますか?
全然違いますね。6番手だとマッチアップする選手の状態をベンチから見てから入れますし、「これだけはやられちゃいけない」ということに気をつけて入っていけたので。スタートだと実際にやってからじゃないとわからない。相手のことが分かるのに丸々1Qかかってしまったり…。もちろん、試合前にビデオは見てるんですけど、その日になったら違うことも多いですよね。自分の場合は、スタートになることを目標にやってきたわけではなく、求められた仕事をやったうえで、プレイタイムを伸ばすことがこのチームでの目標だったので、それほどスタートにはこだわってません。どんな時に出ても、自分の仕事ができればいいと思います。
——そんな中で、スタメンとして心かげていることは何ですか?
ディフェンスをすることと、どんな時でも走る。これはどんなコーチも言うことだと思うんですが、自分もそこで波があってはいけないと思うんですよ。
——気がつけば、立川選手は今年8年目。中心選手として今のチーム状態をどう見ていますか?
そうなんですよ! もう8年目。もっと自覚しないと(苦笑)。チームとしては、今年はやってきたことは出せているのかな。去年は自分たちのバスケットが出来ている時と出来ていない時があって、出来ないと立て直せなかったし、競ったゲームで力尽きていました。今年は「優勝したい」という執着心はすごくあります。だから、アイシンAWに負けて一敗目を喫した時はショックでした。絶対に全試合負けちゃだめだと思っていたから。初戦に勝ったのに、2戦目を落としたというのが痛かった。決して油断したというのはないのに、どうしてだろうって。一週間くらいは気持ちがうまく切り替えられませんでしたね。試合に負けて「どうしよう」って思ったのはJOMOに入って初めてです。
——気持ちがうまく切り替えられなかったのは、スタメンの責任からですか?
そうです。だから、私は今年になってはじめてリーグに参戦している気になりました。今までやってきた先輩や仲間には失礼かもしれないけれど、今までは自分が勝敗を左右しているプレイヤーという気はなかった。試合に負けても「ああ負けちゃった」って感じで、自分のせいとは思ってなかった。だからアイシンAW戦での負けは「自分がもっとできれば」と考え込んでしまったんです。スタートで出るということは、こういう責任があるのかと。先輩たちはこういう責任のもとやってきたのかな、毎週試合がある中でどう気持ちを切り替えてリーグ戦を乗り越えてきたんだろうって、すごく考えさせられます。
——そう考えると、4連覇したことってすごいことですよね。
すごいですよ! 今でも思いますけど、4連覇は先輩たちからもらった優勝。自分はたまたまチームにいただけ。だから今回は本当に優勝したい。こんな気持ちは初めてなんです。確かに高校まではスタートが当たり前だったけれど、JOMOに入ってからはそういう気持ちを忘れていたのがあって…。今シーズンはスタートの責任を実感して、やっていきたいですね。
——今後の課題は何ですか?
自分の持っている力の使い方というのか、力量配分っていうんですか。あれが分からない。大事なところで走れなくなったらと思うと、「ここは休んで温存しておこう」と頭をよぎることもあって。でも「ダメダメ走らないと」と言い聞かせたり(苦笑)。6番手の時は出る時間が限られていたので「ここを抑えるために自分が出ているのだから力を出し尽くそう」と思っていたけれど、今は40分間を考えてやらないといけないから難しい。そこが課題です。
——今シーズンは新たなチャレンジですね。改めて目標を聞かせてください。
この年でスタメンを経験すると思っていなかった。だから逆に、今は新しいことに挑戦しているので楽しいです。8年目にして新しい課題があるので、やりがいがあるシーズンになるかと思います。絶対に優勝したい。それしかないです。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●食べ物の好き嫌いが多いらしいですが、好きな食べ物と嫌いな食べ物を教えてください。
好き嫌いが多いというより、アレルギー体質なんです。中学の頃から甲殻類や果物を食べると湿疹が出てしまう。食べたいとも思わないし匂いもダメ。で、食べてみてダメだったのが酢の物。大っ嫌いです。お寿司は大丈夫ですけどね(笑)。好きなのはイモ類、納豆、お餅、コロッケ。納豆とイモばかり食べてます(笑)。あと、何でも七味をかけて食べますね。好き嫌いが多いのではなくて、食べられないんです。そこ、強調してください(笑)
●サキのニックネームの由来は?
真っ先にとか、先の読めるプレイヤーにという意味で、JOMOの先輩につけてもらいました。私、子どもが生まれたら「サキ」という名前をつけたかったんですよ。だから由来どうこうより、名前の響きにうれしかったですね。それまではマチャミと呼ばれてました。
●日本代表に復帰したいと思いますか?
小さい頃からの夢で「オリンピックに出たい」というのがありました。それはアテネ・オリンピックに出て叶ったので、今はリーグ優勝が絶対の目標です。昨年、腰痛(腰の骨がズレていた)の手術をして日本代表を辞退したんですね。今も腰の治療をしながらプレイしているので、オフシーズンに日本代表に行くとリーグで完全な状態でプレイできなくなるので、今の自分には無理なのかなあ…。もちろん、日本代表に選ばれたら、そこでまた考えますけど。今はチームの優勝のために自分ができることをしたいです。
●休みの日は何をしていますか?
もう、寝てますよ。動けないですもん。普段、寝られないことが多いので…。というのも、腰を痛めてから眠れなくなっちゃったんですよ。興奮や痛みで…。普段は平均して4時間くらいしか寝てないかなあ。朝日を見てから寝ることもしょっちゅう。試合の日も眠れません。2連戦なんかツライですよ。昨年は眠れないことで神経質になって悩んだけれど、今はよくあることなんで悩まなくなりました。だから、休みの日はベッドでゴロゴロしながら、積極的休養を取ってるな感じです(笑)
●立川選手はつかみどころがない性格のように思います。実際はどんな方なのでしょうか。
私って……ワガママですね。B型だから(笑)。あんまり他人が気にならない。人は人。昔から集団でいるのがイヤで、女の子同士でつるんで仲良しこよしができないタイプです。でも、仲良しこよしとは違うけど、優勝するにはチームメイトといい関係でいるのは大切だと思ってますよ。バスケに対しては……自分が強いというか、変に頑固。理屈っぽい。あやふやなことが嫌いで完全な答えを求めてしまうんです。たとえば、攻める形にも様々なケースがあるのに、頭で理解できないと動けない。そこは「もっと柔軟に考えたほうがいい」とスタッフにも言われるんですけど(苦笑)。こういう質問は考えてしまいますね。この歳になったら、もっと自分を見つめないと。
(構成/小永吉陽子)