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2006年9月1日(金)特集

日本代表に初選出!成長著しいニュータイプ・センター

畑 恵里子選手(富士通 レッドウェーブ)

畑 恵里子

今回のゲストは富士通の畑恵里子選手。今年で6シーズン目に突入の畑選手は、ここ数年でメキメキと頭角を現した成長著しいプレイヤー。インサイドのプレイヤーながら、得意の3ポイントシュートを武器に、昨シーズンは富士通のオールジャパン優勝に貢献しました。今シーズンは初の日本代表にも選出され、足羽高3年時に出場したアジアジュニア選手権、日立戸塚1年目に出場した世界ジュニア選手権以来となる国際舞台に意欲を燃やしています。そんな畑恵里子選手をクローズアップ。

——まず、昨シーズンのことから聞きたいと思います。畑選手にとって昨シーズンは飛躍の1年でした。

ありがとうございます。リーグに入ってから今までで一番伸びたと思います。出場時間も長くなったし、勝負所で使ってもらえるようになりました。それは、中川さん(ヘッドコーチ)が随分と我慢して使ってくれたからだと思うんです。普通だったらここで代えるだろうなという時でも、ほんと、我慢して使ってくれました。あとは、オールジャパンで優勝したのが大きいですね。今まで全国で優勝したことなかったので、本当にうれしかったです。でも結局、自分の出来としてはオールジャパンが一番ピークになっちゃって、そのあとが良くなかったので…。

——オールジャパンの出来は最高でした。その後、調子が悪くなった原因は何ですか?

インサイドのプレイをずっと教えてもらっていて、それがリーグの3クール目から少しずつ機能するようになっていました。それで「いいな、いいな」という感じでオールジャパンに入って、オールジャパンではインサイドで勝負したり、所々で3ポイントも決まりました。ただ、そのあとのリーグ戦ではオールジャパンで良かったこともあって、いつもよりプレッシャーをかけられて、まったく対応できずに「どうしよう、どうしよう」となってしまったんです。ダブルチームされるなんて、今まではなかったことなので(苦笑)

——富士通ではインサイドが主な役割ですが、3ポイントもどんどん打っていますね。

チームでは5番(C)でプレイする人がいないので、自分がインサイドをやっています。レイ(三谷藍)さんをフォワードに上げさせて自分のプレイをさせてあげるのが、いいかなと思っています。富士通は外角が強いので、インサイドが一人いるのといないのでは外のマークが全然違うし、そういう意味でマークを引き付けられればいいです。完全なセンターではないので、空いた時には3ポイントを打ったりしています。

——3ポイントが得意になったのはいつからですか?

もともとは、3ポイントラインの一歩手前から打つのが得意だったんですが、WJBLに入って3年目の時に「一歩下がってうてば1点多いんだから」と思って、練習を始めました。以前は富士通にセンターがいたので4番(PF)だったので、今よりも外のプレイも多かったんです。私の場合は珍しく、外から中(のポジション)に来たという感じです。

——今年は日本代表に初選出されました。日本代表での役割は何だと受け止めていますか。

最初は4番でプレイしていたんです。でも今の日本代表は「1センター4アウト」(※1人がインサイドで4人が外回りのポジションでプレイをする)の形でやっているじゃないですか。そうなると、4番も完全に外の動きができなきゃいけない。やってみたら動きが合わなかったんです。それでコーチたちに相談してみて、実際に5番でプレイしたら動き的にそっちのほうが合ったので5番でプレイすることになりました。でも私はテンさん(山田久美子、JOMO)やロン(諏訪裕美、JOMO)のようにインサイドでガツガツと点を取るタイプではないので、今できるのはスクリーンをかけたり、ディフェンスの状況によって外に出て3ポイントを打ったりすることくらい…。まずは、1センター4アウトの形に慣れないとダメですね。日本代表は練習にしても、試合にしても、すぐに対応できる人たちの集まりだということを実感しています。

——今後、日本代表のセンターとして、どんなプレイを目指しますか?

今のシステムで5番をやらなきゃいけないので、リバウンドを取ることとインサイドのディフェンス。ローポストのプレイは苦手なんですが、ハイポストに上がってパスをさばくとか、シュートや1対1を狙うとか、状況を見て3ポイントとか、高い位置でのプレイなら自分もできると思います。そういうプレイを増やしていけば、自分らしいセンターの形ができるかな。他の国に比べると小さいから、オフェンスでは走って点数を取りたいです。

——北京オリンピックのことは考えていますか?

出られるものなら出たいです。今は自分のプレイにいっぱい、いっぱいで、正直、そこまで明確な考えはできてないけれど…。今を頑張って、一つ一つの合宿や試合をやって、その結果、北京が明確になってくればと思います。

——今シーズンの目標と課題を教えてください。

富士通ではプレイタイムを安定させたいです。今までは出たり、出なかったりと波が激しかったので。あとは一試合最低10点取ることを目標にしています。とにかく自分のプレイを安定させたい。日本代表でも自分のプレイを確立させたい。そういうシーズンにしたいです。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●初の日本代表で発見はありましたか?

他のチームから来る代表選手の練習の取り組み方を見ていて、富士通に足りないものが分かりました。今まで富士通には何かが足りないと思っていたんですが、それはこう「グッ」と締まるというか、まとまる感じだということに気がつきました。富士通はみんな仲いいし、マジメに練習をやってはいるんですけれど、キュッと締まるものがないのかなと…。はじめて自分のチームを第三者的に見ることができたのは大きかったです。

●足羽高校時代のさわやかなチームプレイが印象に残っています。高校時代のエピソードを教えてください。

その質問はうれしいですね! 元気があって、すごいいいチームだったんですよ。仲間に恵まれました。特に同期で試合に出られない子が2人いたんですけれど、その子たちがいい子だった。普通なら試合に出られなかったら腐ったりするのに、その子たちは一生懸命練習していたし、アドバイスもしてくれた。コーチの林先生や林先生の家族もいい人で、みんな純粋な人たちばかりで、本当に楽しい高校時代でした。今でも一番仲がいいのはフー(藤生喜代美、シャンソン化粧品)で、あの子は人の悪口も言わないし、弱音も吐かないし、「あなたしかキャプテンはいません!」という完璧な子でした。すいません…足羽の話になると止まりません、私…(笑)

●休日は何していますか?

それ、いつも質問きますよね(笑)。基本的には去年までは引きこもりでした(笑)。今年からはなるべく外に出ようとして、友達に連絡してご飯を食べに行ったりしています。疲れているとどうしても出不精になるけれど、外に出なきゃいけないなと思って、今年からそうするようにしました。今年は頑張って出掛けていて、川崎、横浜、東京、渋谷、新宿あたりに出没しています。どこまで続くかわからないけれど、頑張ってみます(笑)

●畑選手はどんな性格の方ですか?

面白くないと思います。基本的にはマジメ。だけど、面倒くさがり屋。人付き合いがそこまでうまくないというか…。人見知りはしないけれど、付き合っていくうえで、そんなにしゃべるほうじゃないです。少人数で飲んで語っていることが好きですね。

●高校時代の「シュウ」と今の「ニナ」というニックネーム、どっちが好きですか?

自分としては「シュウ」のほうがあっていると思います。高校の時に「シュートが入るように」とつけてもらいました。「ニナ」は日立戸塚で「チームを担うように」とつけてもらったんですが、最初にニナと言われた時は、かわいらしいので自分のイメージに合わないと思いました。今は慣れましたよ。日本代表では別所さん(慧子、デンソー)もニナと呼ばれていたので、私はシュウに戻りました。シン(大神雄子、JOMO)も高校時代からシュウと呼んでいたし。だから日本代表での畑は「シュウ」でお願いします(笑)

構成/小永吉陽子