- 2006年2月10日(金)特集
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三菱のマイペース型エースが誓う「どのチームにも戦いに行く!」
米林 由記選手(三菱電機 コアラーズ)

今回のゲストは三菱電機の若きポイントゲッター米林由記選手。思い切りのいい3ポイントシュートを武器に、毎年確実なる成長を続けているプレイヤーです。これまでWJBL選抜チームで海外遠征を経験し、今年度は初の日本代表に選出され、ギリシャとの国際試合に出場しました。今後、三菱が上昇していくためには米林選手のさらなる成長が必要不可欠。そんなチーム浮沈のカギを握るホープにインタビューしました。その素顔は、おっとりとした性格ながらも、芯の強さを垣間見ることができました。
——米林選手の基本的なことについて教えてください。三菱電機に入るまではどんなバスケット生活を送っていましたか?
バスケットを始めたのは小4からです。小学校の時は練習が厳しいところでやっていて、4、5年の時はけっこう強くて北信越大会に出ています。でも中学の時は指導者に恵まれなくて自分たちでやるというか、小学校からのコーチに教えてもらったことを生かしてやっていましたね。中学の時は県大会に出られるかどうかの弱いチームで、県の選抜にも選ばれていません。でも、龍谷富山高の中山さん(コーチ)が私の試合を見ていてくれたんですよ。そこでスカウトされました。
——中・高校時代のバスケットボールの思い出で印象に残っていることはありますか?
あの、私、小学校の時は身長が150㎝くらいだったんですけど、中学校で20㎝も伸びました。中学校の時は周りに大きい人がいなかったから、大きく見えるのがイヤで屈んで歩いてたんですよ。でも高校に行ったら大きい選手が普通にいたので、背筋を伸ばして歩くことができたんです。そうしたらまた3㎝くらい身長が伸びました(笑)
——三菱に入ったいきさつと、三菱に入った当初を振り返ってもらえますか。
高校の時に何回か三菱に遠征や合宿に来ていたので、それで石川さん(ヘッドコーチ)に声をかけてもらいました。高校の時は自分が一番だったんですよ。点を取っていたというか。だから自分がやらなきゃというつもりでやっていたんです。こんなこと言ったらあれなんですけれど…自分は目標が低かったというか、WJBLに入ったら上の人がいっぱいいるので「うまい人とやってみたいなあ」くらいの気持ちでWJBLに入ることを決めたんですね。だから1年目は試合に出られなくてもいいや、ベンチで盛り上げていればいいや、と思っていたんです。けれど、勝った試合を見ているうちに自分も出たいなあと思うようになり、2年目からは真剣に考えるようになりました。意識が変わりましたね。
——最近はWJBL選抜に選ばれていますが、自分でも力がついてきたと思いますか?
まだまだです。WJBL選抜にはもう4回くらい行きましたが、自分的にはあまり…(苦笑)。三菱では2年目からゲームに出るようになったんですけど、自分は金さん(銀瑛)や古賀(京子)さんがいたからコートの中で生きていけたのだと思います。3年目もそうだったんですよ。でも去年あたりから主力がいなくなったのだから自分がやっていかなきゃと思い始めたけど、まだまだという感じです。選抜チームに入ると特にそう感じます。三菱ってエイトクロスじゃないですか。スクリーンをかけてもらってノーマークになってシュートするじゃないですか。でも選抜とかナショナルチームは個人技がうまい人が生きる世界なので、考えさせられる部分がいっぱいありますね。
——そんな中で、チームでの自分の役割は何ですか?
点を取ることです。まだ全然ダメなんですけど…。
——現在、三菱は最下位を争っているのですが、米林さんはチーム状態をどう分析していますか?
今は順位が一番下なので、みんなで力を合わせて勝とうと、勝ちにこだわって4クール目をやっています。負けても暗くならないで、次、次というかんじです。でも若いだけに、負けが込んで(気持ちが)下に落ちると立て直しをするのに時間がかかるというのはあります。順位が1つ上のハイテク(日立HT)が勝った時とかはけっこう落ち込んだり。周りからも言われるんですよ。なんでJOMOに勝ってハイテクには勝てないの?って(苦笑)
——JOMOに3勝している要因は何でしょうか。
若いだけにJOMOに1回勝ったらいいほうに自信がついたのかな。JOMOに勝った時は「自分たちはJOMOに強いんだ」という気持ちになれたけど、他のチームにも同じような気持ちでやれればいいのに、若い分だけそういう気持ちのコントロールができないというか、気持ちが引っ掛かっているというか…。ノリノリでいけばいけるチームなんですけど。3ポイントが入る時なんてみんなが乗り移ります。でも落ちる時もみんなで乗り移っちゃうんですよ(苦笑)
——今後の自分とチームの課題、目標を教えてください。
あの…こう見えて、自分はけっこう控えめなんです(笑)。気持ちが弱いんだと思うんですけど…。試合の最初のほうにシュートが1、2本入らないと「ああ、どうしよう」ってなっちゃうんです。でもシュートが入らなくてもどんどん打っていけるような、精神的に強い選手になりたい。それが自分自身の課題です。チームとしては、残りの試合は少なくなりましたが、今シーズンだけじゃなくてこれからもどのチームにも戦いにいって、1勝でも多く勝てるようにしたいです。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●バスケット選手を辞めたあとにしたいことは何ですか?
なんだろう…。ずっと小学校の頃からバスケットをしてきたので、引退したあとは普通の生活をしてみたい。朝起きて、会社に行って、終わったあとに自分の好きなことをやったり、友達とご飯食べに行ったり。そういう一般的な生活に憧れますね。
●コアラーズはどんなチームですか?
年齢でいうと高校卒業したばかりのルーキーから30歳までいるんですけれど、基本的には若いチームだと思います。一番年上のカイ(其川)さんもプレイはベテランだけど、気持ちはとても若いし、若い子ともよくしゃべる。みんな仲がいいです。あとはマッキー(江口)さんが入ってきてから、また違う雰囲気のチームになりました。マッキーさんは華があるというか、周りに人が寄ってくるというか、なんか引きつける人です。ムードメーカーはマル(丸山)。彼女は笑いを持っています(笑)
●米林選手はどんな方(性格、特技など)なのでしょうか?
自分の性格はマイペース。みんなが思っているマイペースとは少し違って、自分ペースというか…。周りが騒いでいてもそこに入っていない自分もいるし、みんなの輪に入っていなくても何とも思わないし、入りたい時は入るし…。あとは浮き沈みが激しいかな。自分の殻に入るとトコトン入ってしまうけれど、よくしゃべる日はしゃべるかもしれません。周りからは「おっとり、天然」と言われます。そういう自覚はないですけど(笑)
●コートネーム「コウ」の由来を教えてください。
コートネームをもらったのは三菱に入ってはじめてです。高校の時は下の名前で「ゆき」と呼ばれていました。コウの由来は“攻”撃のコウ、チームに“貢”献するようにのコウ。石川さんがつけてくれました。三菱はだいたい石川さんがつけるんですよ。
●バスケットをしていない時のリラックス方法や、癒されるのはどんな時ですか?
自分の部屋がすごい落ち着いて好きなんですよ。その理由に部屋でバニラのお香をたいているんですが、練習から帰ってきて部屋の残り香というか、バニラの香りを嗅ぐと「自分の部屋に帰ってきた〜」という気がしてホッとします。それから、車を運転して健康ランドに行ったりするのも好きです。
あとは沖縄が大好きなんですよ。まだ2回しか行ったことないんですけど、オフにヨウ(安谷屋)さんの実家に遊びに行って、案内してもらいました。ヨウさんは本当に心から沖縄を愛してるんですよ。私も乗り移りました。沖縄って海を見ているだけで癒されますね。海は広いから「自分は小さいんだなー。自分の考えていることなんて小さいんだ」と思うんですよね。寮のヨウさんの部屋には沖縄グッズがいっぱいで、部屋に遊びに行くだけで癒されています(笑)
構成/小永吉陽子