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2005年12月20日(火)特集

苦労から這い上がってきた明るく元気な甲府のキャプテン

下島 弘江選手(甲府クィーンビーズ)

下島 弘江

今回のゲストは甲府のキャプテン下島弘江選手です。下島選手は持ち前のスピードを生かし、甲府では柘植選手とともに得点源となっています。一時はケガにより、2年間ほど選手を退いてマネージャー業に徹したこともある苦労人。プレイヤーとして復帰してからは、持ち前の明るさで2年連続キャプテンを務めています。粘り強い甲府の中にあって、下島選手の性格は異色(?)。インタビューでは受け答えがとても軽快で、話がエキサイトする場面も。バスケットを始めたきっかけから、現在のことまで、知られざる下島選手の素顔に迫ってみました。

——下島選手のバスケット歴と、甲府に入るまでの話を聞かせてもらえますか。

小学校時代はサッカーをやっていました。静岡に住んでいたのでサッカーが盛んだったんですよ。両親に「サッカーをやれば」と勧められたのでやってみました。でも、将来的に考えると、女子でずっとサッカーをやっていくのは…ということで、中学から友達とバスケット部に入りました。すぐにバスケットが面白くなったので、サッカーには何の未練もなかったですね。

——高校は静岡女子高に入学。これはバスケットでの入学ですか?

いえ、静岡女子には家政科があるということで、最初はそっちの道に進みたくて入学を決めたんですよ。バスケットも強い高校だし、趣味程度にできればいいかなーと思ったんですが…趣味どころか、逆にバスケットのほうがメインになってしまいました(笑)

——高校時代の最高成績は?

県で3位。東海大会の新人戦に出たのが最高成績です。あの時代は市立沼津と常葉学園が強くて、その2校には最後までかないませんでした。だから全国大会は出てないんですよ。中学の時はセンターだったけど、高校ではガードフォワード的なポジションをしていて、キャプテンもしました。バスケ漬けでしたけど、バスケットがすごく楽しかった時期でしたね。

——高校での活躍が認められて、甲府に誘われるわけですね。

はい。高校の時に甲府に合宿に行って、そこで私のことを見ていたらしく、声をかけてもらいました。その時甲府は1部、今でいうWリーグだったので、日本のトップリーグで自分が通用するのか不安だったんですけれど、父親から「こういうことは一生に一度のチャンスだ。誰でも入れるわけじゃない」と言われて挑戦を決めました。

——今年9年目でチーム最年長。一時はマネージャーに転向したことがありましたが、その理由と復帰を決めた理由は何だったのですか?

今9年目なんですけど、6、7年目の時に2年間マネージャーをやっていました。マネージャーになったのは足首の故障があったからです。でも、ケガをしてしまったらバスケットが終わりになるのではなくて、甲府で学んだ大切なことをチームのために役に立てたいと思い、マネージャーになりました。2年間休んで足首がだいぶ良くなった時にスタッフから「またやってみないか」と言ってもらえたので復帰することにしました。選手に復帰してすぐにキャプテンになったんですけど、それは幸せなことだと思いますね。

——「甲府で学んだ大切なこと」とはどんなことでしょうか?

私の性格は雑というか、粘り強くないんですよ(笑)。小さい頃から「これでいいかなー」と軽い気持ちでいろいろやってきたので。でも甲府に入ってから島立部長と炭田さん(ヘッドコーチ)から「粘り強さ」や「ひとつのことをやり通すこと」を、バスケットを通じて教わりました。粘り強いディフェンシブなバスケットが甲府の持ち味。うちは若い子が多いので、そういう心をチームに伝えようと思っています。

——2年のブランクから復帰するのは大変だったのではないですか?

復帰は大変でした。特に復帰1年目の去年は。でもマネージャーの時も軽く練習はしていたので何とかなりました。今年はだいぶ体が動きます。やっはり、バスケットが好きだから復帰できたのかなと思います。復帰してみて甲府のバスケットができる喜びを感じているので、島立部長、炭田さんの下でバスケットをやってきて良かったと思いますね。

——今シーズンのチームと自分の出来はどうですか。

うちのチームは若い選手が多いので、ベテランのチームやうまさにやられてしまうところがあります。私は1部(Wリーグ)でやったことがあるから分かるのですが、1部昇格が目標とはいっても、今のチームの力は1部に対抗するだけのパワーやスピードはないです。全員がそのことを自覚して、弱い部分を強化する気持ちでやらないと目標には達成できないし、そういう気持ちがないと1部には立ち向かえないと思います。自分自身の出来は、得点は取れているんですけど、まだ波があります。自分も復帰したからには結果を残したいし、このままでは終われないと思っています。

——今後、甲府がステップアップするためには何が必要なのでしょうか?

やっぱりディフェンスからの粘り。あと島立部長と炭田さんの信念についていくこと。

——今後の目標を聞かせてください。

今の成績に納得してしまったら終わりなので、粘り強く、根気強くやっていきたいです。チームとしては、とにかく一戦一戦、やるからには全部勝ちたい。課題に対して信念を持って取り組みたいです。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●キャプテンとして心がけていることは何ですか?

年齢が一番上ということでキャプテンをやらせてもらっているのですが、上級生ということで人の気持ちがわかる人間になりたい。チーム全体を見て、いろいろなことを判断できるようになりたいですね。

●「クリ」というニックネームの由来は何ですか?

私は甲府の3代目のクリなんです(笑)。甲府には代々「クリ」というニックネームを持つ選手がいるんですよ。クリを授かった選手はチームの中心選手ということで、名誉があることなんです。理由は「クリのように皮がパッとむけるように」ということらしいです。命名者はもちろん島立部長です。

●バックを集めるのが趣味だと聞いたのですが、どこのブランドが好きですか?

よく知っていますね(笑)。バック大好きですよ。買い物をしていて、欲しいと思うと我慢できなくなってすぐ買ってしまうので、チームメイトからは「バック屋」と言われています(笑)。買わないと後悔しちゃうんですよ。ブランドものから、ブランドものじゃなく安いものまで、気に入ればどんなものでも好きですね。バックの衝動買いをするのは趣味といってもいいかもしれません(笑)

●甲府とはどんなチームですか? 甲府のことはあまり知らないので謎です(笑)

「甲府は謎のチーム」とよく言われるんですよ(笑)。なんでですかね? 普通ですよ、本当に普通のチームです(笑)。とにかくみんな仲がいいですね。チームのみんなとは寮生活なのでいつも一緒にいるんですよ。みんないい子たちばっかり。それは自慢できますね。やっぱり、島立部長と炭田さんが伝統を築いてきたから、チーム間の信頼関係ができたのだと思います。

●下島選手が「これだけは譲れない」というものは何ですか?

しゃべること(即答!)と突っ込み(笑)。自分が何かしゃべったことに対し、下級生はいつも笑っていますね。多分、私は口がなかったら死んでます(笑)。うるさい、声が大きいってよく言われます。うちの柘植(由美子)とは同じ高校なんですけど、柘植はあまりしゃべるのが得意ではないのに、私はいつまでもしゃべっているタイプなので、「本当に同じ高校?」と言われています。こんな性格なので、粘りと根気が課題なんです(笑)

構成/小永吉陽子