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2012年12月7日(金)特集

コツコツと経験を積み上げて今がある誠実にチームを牽引する三菱のキャプテン

宮元 美智子選手(三菱電機 コアラーズ)

宮元 美智子

今回のゲストは三菱電機のキャプテンを務める宮元美智子選手。ドライブインと外角シュートを武器とするシューティングガードであり、大事なところで粘り強さを発揮する三菱電機の中心選手です。ここ数年で飛躍を遂げた背景には、新人時代から入替戦を何度も経験し、天国と地獄を味わいながらも成長の糧としてきた姿がありました。質問に対して、一言一言を丁寧に答えてくれた誠実なキャプテンに、成長中のチームと自分自身を分析してもらい、今後の目標を語ってもらいました。

——2012-13シーズンもレギュラーシーズン終盤ですが、ここまでのチームと自分の出来はどうですか。

一戦一戦を全力で戦っています。チャレンジャー精神でやっているのが、ベスト4を狙えるような結果になっていると思います。チームとしては、負けた試合というのは当たり前のことを徹底できていなかったり、1本のリバウンドやルーズボールが取れなくて負けていることが多いです。難しい技術で負けているのではなく、誰にでもできる簡単なことを一試合通して徹底できなくて落としています。個人的には、調子のいいときと悪いときの差があるので、そこをコンスタントにできるようにしたいです。

——昨シーズンはWIから昇格1年目で5位に飛躍。昨シーズンの経験が今に生きているように思うのですが、やっていて手応えはどうですか。

自分たちのリズムがつかめないときでも、一人一人がその時間帯を我慢して、必ず波が来ることを信じてやれるようになったことを感じます。ただ、昨シーズンは昨シーズンなので、今年も5位になれるかといったら、一からのスタートの気持ちでやっています。

——宮元選手はWリーグとWIリーグの両方でプレイし、入替戦を何度も経験していますが、WリーグとWIリーグのプレイの質の違いをどう感じますか。

WリーグとWIリーグでは、体の当たりやスピード、試合のここというときの強弱のつけ方が違うと感じます。強弱というか、ここというところでプレイを発揮できる強さといえばいいんでしょうか…。WIでプレイしていると、2部慣れといいますか、WIの当たりに慣れてしまうんですよ。だから、常にWリーグでプレイすることを意識してやるようにしていました。

——ここ数年、三菱が経験した入替戦は、Wリーグに復帰した試合は走って快勝しましたが、降格した試合や昇格できなかった試合は、いずれも接戦で敗れています。勝敗をわけたものは何だったのでしょうか。

なんだったんでしょうかね…。私は新人のときに入替戦で降格しました。落ちた入替戦、上がった入替戦、上がれなかった入替戦を経験していますが、入替戦は“天国か地獄か”ですよね。上がったときはもちろんうれしいんですけど、相手の痛みもわかるというか…。だから、ほんと、何ていえばいいのでしょう。入替戦というのは、体力と気持ちの全部を使い果たすというか、うまく言い表せないんですけど、人と人の勝負というか、人の気持ちが試合に関係していると思います。今、思い出しても胸が苦しくなりました…(苦笑)

——入替戦の苦しさを乗り越えてきたことは、自分自身やチームの糧になっていますか?

はい。辛かったけどいい経験になったと思います。先ほど言った苦しい時間帯を我慢できるようになったのも、苦しい入替戦を経験したりして、少しずつというか、何年かかけて、我慢できるようになったと思います。

WIでプレイしていたときに思ったことなんですが、実際に試合をしている場所はWIなんですけど、自分の中で目標はWリーグ優勝でした。(代々木第二で)入替戦のあとに、セミファイナルをやることが多くて、セミファイナルを見ながら、華やかな舞台はいいなと思っていました。現実と目標がかけ離れていたんですけど「いつかは自分もここでセミファイナルを戦うんだ!」と気持ちを奮い立たせてきたので、その気持ちが自分のベースになっています。

——今シーズンはキャプテンを務めていますが、心がけていることは。

最初はキャプテンに任命されて責任を感じていたのですが、私より上の選手もいるし、下の子たちも一緒にやってくれるので、自分らしくやろうと思っています。私はあまり言葉で引っ張るほうではなく、どっちかというとプレイで引っ張るほうなので、チームの流れが悪くなったときには自分がいちばん体を張って、いい流れにもっていきたいと思います。でもそれだけでは足りないので、言葉で伝えてコミュニケーションを取ることを意識してやっていきたいです。

——今シーズンの最終的な目標を聞かせてください。

チームの目標はまずベスト4に入って、最終的には優勝が目標です。個人的には、いいときと悪いときの差をなくして、一試合で15点取ることを目指しています。さっきの質問でも言いましたが、ベスト4に行くには、当たり前のことを徹底しなければならないと思うので、そこをしっかり徹底することと、あとは対応力をつけることも課題としています。残りの試合、一戦一戦を大切に戦っていきたいです。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●とてもクールに見える宮元選手。性格自己分析をお願いします。

人からは「あまりしゃべらなさそう」「クールに見える」と言われるんですけど、実際はそんなことなくて、みんなと騒ぐのが大好きな性格です。飲み会になって、お酒が入ると元気になるみたいで、宴会部長と呼ばれることもあります(笑)

●コアラーズはどんなチームですか? どんな選手たちの集まりですか?

みんな仲がいいです。面白いのは風間(緑)と渡邉(亜弥)で、2人はチームのムードメーカー。新人で平成生まれの松本(咲)と池谷(悠希)は何を考えているかわからないほど、ギャップを感じます(笑)。よく食べるのは櫻木(千華)。沖縄出身の奥里(綾子)と松島(有梨江)は沖縄タイムでマイペース。そして、カズ(橋本和子)さんは、すべての面でチームを支えてくれる頼りになる先輩ですが、バスケを離れたところではみんなにちょっかいを出す面白い先輩です(笑)

●王芩静(ワン・ツェンジン)選手とは岐阜女子高でのチームメイトですが、2人ならではのエピソードを教えてください。

ワンは学年がひとつ下で、2年間一緒にプレイしました。高校1年のときに中国から来たのですが、来日したばかりのときは「マル、バツ、はい、いいえ」くらいしか言えなかったし、食べ物も違うし、とっても不安だったと思いますが、今ではすっかり日本に馴染んでいて、すごくうれしいです。ワンはよく日本語を“言いまつがえ”(言い間違え)するんですが、みんなに突っ込まれてイジられキャラになってます。でも、自分がわかる日本語を誰かが間違えると、逆に突っ込んだりして面白い子なんですよ(笑)

彼女は大学(白鷗大)でプレイしてから三菱に入ったので、私とは4年のブランクがあったのですが、三菱に入ってきてすぐに自然とコンビプレイが合いました。やっぱり同じ高校でやってきたからでしょうか。うれしくなっちゃいましたね。

●今、いちばん楽しみにしていることは何ですか?

甥っ子と姪っ子に会うのが楽しみです。姉が2人いて、男の子と女の子2人ずつ甥っ子と姪っ子がいます。姉たちは実家の近くに住んでいるので、シーズンオフに実家に行くと、甥っ子と姪っ子と一緒に遊べるので癒しになります。かわいくてしかたないです。

●憧れの選手、目標の選手はいますか?

小さい頃にジャパンエナジー(現JX)とシャンソンの決勝のテレビ放映をよく見ていました。当時はシャンソンの加藤貴子さん、ジャパンエナジーの大山妙子さん、日本航空の薮内夏美さんのプレーが好きで憧れていました。これから富士通と対戦するときは、薮内さん(ヘッドコーチ)を意識しちゃうかもしれません(笑)

インタビュー&構成/小永吉陽子