NEWSニュース

2005年10月16日(日)特集

仕事に、バスケットにプライドをかけて戦います!

森光 曜子選手(東京海上日動 ビッグブルー)

森光 曜子

今回のゲストは東京海上日動のエース、森光曜子選手。センターとしては小柄ながら体の使い方が非常にうまく、ステップインやミドルシュートを得意するプレイヤーです。昨シーズンのWIリーグでは優勝に貢献し、MVPを受賞しました。富岡高、愛知学泉大時代には日本一を経験しキャリアも豊富です。インタビューの最初のほうは「口ベタだから…」と言っていた森光選手ですが、仕事とバスケットの両立の話になると、だんだんと強い口調になり「社会人としてのプライド」をキッパリと語ってくれました。「頑張り屋で手を抜かない選手」と藤田総監督も一目置く努力家の森光選手の素顔に迫ります。

——シーズンが始まって1巡目が終了しましたが、今のところ調子はどうですか?

今のところ2勝3敗(10月15日現在)で負け越しています。トヨタ紡織と荏原戦で負けて連敗したのは悔しかったです。自分では気持ちに波があって、気持ちを一番上に持っていけなかったというのがありました。ここから11月中旬まで1か月空くんですけど、どうやって立て直すかですね。技術面でも精神面でも見直す部分があります。

——昨シーズンは入替戦で敗れましたが、入替戦に出てみて分かったことはありますか?

1部(Wリーグ)と2部(WI)では当たりやパワーの差が大きいと肌で感じました。私たちの場合は昨シーズン優勝できるかも微妙だったので、いざ入替戦となった時に対策を立てる時間がなかったですね。シーズンの最終戦にうちが勝って、なおかつアイシンAWが負けないといけない厳しい状況で、うちが優勝したんですよ。優勝が決まった時はみんな泣いちゃいました。去年の目標がWIを優勝しようということで、入替戦のその先まで見据えてない部分がありました。

——その反省点を踏まえて、今年はどんな点を強化してきたのですか?

やっぱり、去年は優勝したその先を見てないというのがあったので、今年は優勝プラス入替戦で勝つために、チームカラーである走ることを目標に練習してきました。でも私は走るのが遅いんですけどね(笑)

——これまで高校(富岡)と大学(愛知学泉大)では、たくさん走ってきたと思うのですが。

そうなんですけど、私は走るのすごい苦手なんですよ(苦笑)。富岡は他の高校と比べたら全然走らないんですよ。星澤先生に聞いてもそう言うと思います。「ここ」というところでは走りますけど。大学ではめちゃめちゃ走って体作りやりました。それをやってきたから今があると思います。自分では足が遅いなら遅いなりにできることをやろうと思っています。脚力だけがバスケットじゃないと思っているので、緩急の差をつけるとか、体を張るとか。

——ところで、仕事とバスケットの両立はハードだと聞いています。シーズン中とオフの活動スケジュールを教えてください。

私は本店損害サービス部火災新種損害7課というところで、国内の損害保険を対象に仕事しています。1年中社員と一緒に9時から5時まで仕事をして、それプラス、バスケットをやっているという感じですね。

シーズン中は火・木の夜7時15分からが練習です。週の途中で調整練習することもあります。たいていは土日が試合ですけど、金曜が試合の時は有給を使って試合に行くんです。代休じゃなくて。それで人によっては有給がなくなっちゃう人もいて、そういう場合は欠勤して行くんですよ! もちろん月曜日も出勤です。オフは火・木・土・日が練習です。

丸の内(東京都千代田区)から体育館のある石神井(東京都練馬区)に移動するだけでも大変なのに、練習が終わると9時半を過ぎてしまい、去年までは戸塚(神奈川)の実家に居たので、家に帰ると11時を過ぎていました。それでは体力的にきついので、今年から体育館の近くに一人暮らしを始めました。

——そういう厳しい状況で結果を出すというのは、やりがいがありますね。

そうなんですよ! そういう状況で勝っていくからこそ充実感もあるし、練習量が少ないとか、他より恵まれてないことを言い訳にはしたくないと思ってるんです。それを言い訳にしたらキリがないじゃないですか。その中で工夫してできることがあると思うんですね。基本的には練習量が必要ではあるんですけど、練習の質とか、自分で補足するとか、そういう部分でカバーしていこうと思っています。

——バスケットが好きじゃないと、仕事との両立はできないですね。

うちのチームの前提はみんな「バスケットが好き」という気持ちだと思います。バスケットで給料をもらっているわけではないので…。でも、こうやって仕事をしていると、ありがたく思うことがたくさんありますね。会社の方がよく応援に来てくれるのですが、見に来てくれる人も自分の時間を割いているわけだし、本当にありがたいと思います。当たり前にバスケットだけをしていたら分からないことが、この会社にいるおかげで分かることがあります。だから、そんな中で勝ちたいというのが私たちのプライドです。

——最後に、チームの目標と自分自身の課題を聞かせてください。

チームでは精神面と技術面で立て直しを図って、優勝に向かっていきたいです。そして、まず入替戦に出る。それから入替戦に勝って1部に上がりたい。自分としては、チームが優勝するためにどれだけ貢献できるかだと思います。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●座右の銘がありましたら教えて下さい。

座右の銘…。うーん…。今すごく頭の中が真っ白になりました(笑)。四字熟語とか偉そうなことは浮かばないんですが……。基本的には妥協はしたくないと自分では思ってるので、座右の銘は「妥協はしたくない」にしてください。けっこう自分でジンクスを作っちゃうタイプです。「これをしなかったから今日はダメだったんだ」とか考えちゃうほうです。

●Wリーグで仲のいい選手は誰ですか?

チームでは同期の小林(優子)さん。入社した時は同期が4人いたけれど、今は2人だけになっちゃいました。他のチームではしょっちゅう連絡を取っているわけじゃあないですけど、デンソーには学泉の同期がいるので気になります。高田(貴美子)とか藤村(茜)とか…。メイさん(渡邉温子)もいるし、木村先生もいるし。デンソーの結果はいつも気になりますね。

●センターとしては背が低いのですが、身長差を何でカバーしていますか?

身長差がある浜口さん(アイシンAW)、高木さん(荏原)を守る時にはペイント内に入れないように体を張っています。だから私、体中にアザが多いんですよ(笑)。オフェンスでは大きい選手に対しては普通に打ったらブロックされるので、自分がやられたらイヤなことやりたいですね。ディフェンスでは小さい選手が足元に来られるとイヤなので、自分もそういうこと意識してやりたいと思います。

●MVPおめでとうございます。感想はいかがですか? 

あのー私、そういう賞があることも知らなかったし、「あるんだー」という感じでしたね。実感が沸かなくて…。家族は良かったねーと言ってくれましたけど。あとからトロフィーをもらってうれしさは感じましたけど、「MVPだから」という感想はないですね。それより優勝のほうがうれしかったです。

MVPとは違いますが、最近思うことがあります。高校の時は日本一になることが、どれだけすごいことか実感が沸かなくてポーッとしてました(笑)。だけど、今こうして働いてみて東京駅とかを歩くと(東京海上日動は東京駅の近くにある)、あまりの人の多さに「こんなにスゴイ人数の中で日本一になったんだ!」と、思うことがありますね(笑)。この先、バスケット以外で日本一になることなんてなさそうだし(笑)。そういう意味でも、今までバスケットを続けて来られたことが幸せだと思うようになりました。

●ニックネーム「ピカ」の由来は何ですか?

高校の時に星澤先生がつけてくれました。森光の光(みつ)が光るという字なのと、「ピカイチ」になれということで「ピカ」です(笑)

構成/小永吉陽子