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2016年2月20日(土)特集

自分も攻めて周りも生かすPGへの挑戦目指すは「チームが苦しいときに仕事をする選手」

渡邉 亜弥選手(三菱電機 コアラーズ)

渡邉 亜弥

今回のゲストは、若返りを図る三菱電機のエースとして活躍する渡邉亜弥選手です。今シーズンは、レギュラーシーズンの平均得点が18.7点(リーグ4位)、アシストは平均5.95本(3位)、スティールは3.10本(1位)と、まさにチームの柱として活躍。今シーズンの三菱電機は、渡邉選手ともう一人の柱である王 新朝喜選手以外の得点力が課題でした。そのため、「チーム全体の攻めの意識を変えることと、渡邉からアシストという切り口を作るために」(山下ヘッドコーチ)渡邉選手をシューティングガードからポイントガードとして起用することが増え、新しいチームカラーを作っている最中。高校時代はパワーフォワードのポジションで活躍していたことを考えれば、そのマルチぶりには大きな進化がうかがえます。三菱機のエース渡邉亜弥選手に、自身のプレイの変化と新境地へのチャレンジについて聞きました。

——今シーズンは下位リーグに回ってしまいましたが、ここまでのチームの出来と自分の手応えはどうですか。

前半戦は私とワンさん(王 新朝喜)のところで得点が多く、周りの得点が伸びなかったのですが、後半戦は私とワンさん以外の選手が得点することを意識した練習をしています。今は3番(SF)、4番(PF)の得点が上がってきているので、チーム全体の得点力は伸びていると思います。

個人的には、前半戦は1番(PG)、2番(SG)と固定をせずに2ガードでいく形で始動して、特に2番として得点を取ることが多かったのですが、シーズンの途中から「1番をやる」と言われて練習しているところです。今は得点を重視しているというよりは、1番の仕事を求められているので、周りの状況であったり、今は何をしなきゃいけないかを考えたり、やるべきことに気づけるように気を配っています。それで周りがダメなときに、次は自分がどう生きるかを重要視しています。

——2番(SG)から1番(PG)へのポジションの変更は難しかったですか。

難しいといえば難しいですが、やりがいがあります。気をつけているのは、周りを生かしながらも、でもだからといって得点を取らないわけではないということ。得点を取らないと怖さがなくなってしまう。1番をやりながらでも得点を取ることを意識しています。

——高校の時は4番ポジションでインサイド寄りのプレイをすることも多かったですが、今は1番に挑戦中。どんどんポジションアップしてプレイの幅の広がりが大きくなりました。自分自身にとっても、ポイントガードは新しいチャレンジになりますね。

はい。やったことがないし、わからないことだらけだけど、どんどんトライしていこうと思います。将来は1番をやるという方向性でやっています。2番に関しては、もういつでも攻められると思っています。

——ポイントガードとしての課題は何ですか?

時々、感情のコントロールができなかったりすることです。1番である以上、頭を冷静にしないといけないけれど、たまに練習中に乱れたりすることもあるので、そこが課題です。

——山下ヘッドコーチは、「副キャプテンとしてはリーダーシップが出てきたので、あとはポイントガードとして、ゲーム中にリーダーシップを求めたい」と言っていましたが、リーダーシップの課題に関してはどう感じていますか。

はい、そうだと思います。やっぱり1番は頭というか、チームの頭脳だと思うので、その面でも引っ張っていけるようになりたいです。状況がいいときというのは誰でもプレイできるけれど、苦しい時間帯にいかに自分ができるかだと思います。

——昨シーズンは日本代表候補にも選ばれましたが、代表活動で学んだことはありますか。

まず、シュート1本の重みだったり、練習の雰囲気を大切にしていることです。代表選手たちの練習の取り組み方というのは、本当に一つ一つのプレイを大切にやっているんです。代表に行って習得したのが、イージーシュートやノーマークシュートは必ず決めなければならないということ。チームではシューティングドリルでシュートを落としても「はい、次、次」「1本、1本」という声を出していますが、代表では「ナイスシュート」という声のほうが多い。シュート力の安定は本当にすごい。強いチームはイージーシュートやノーマークをしっかり決めてくるので、そこで決められるようにならないと、最終メンバーに残れないと思いました。

——自分自身をアピールして、もう一度、代表候補として呼ばれたい気持ちはありますか。

はい。あります。リーグでももっと上の順位を目指してやることが、代表選手として呼ばれることにつながると思います。

——2月20日から始まるクォーターファイナルでの意気込みを聞かせてください。

前半戦を振り返ってみても、他のチームからは「渡邉とワンを止めろ」という指示が多かったと思うし、そこを止めれば大丈夫だと思われていると思うんですけど、今の三菱はそこだけじゃない。どこからでも得点ができるように、チーム一丸となってしっかりやっているので、そこを見てほしい。個人的には得点だけじゃなくて、チームが苦しいときにどれだけしっかりと立て直せるか、自分の背中でどれだけ語れるかだと思うので、そこをやっていきたいと思います。

——リーグではなかなか辿りつけないベスト4入りへの思いもありますか。


はい。私たちはリーグではベスト4の壁を破っていない。結局、今シーズンも下位リーグに落ちたし、私たちは強いチームではないので、そこで受け身になってはいけない。相手のチームに挑戦する気持ちで頑張りたいです。


インタビュー・構成/小永吉陽子