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2024年2月22日(木)特集

プレーオフ進出争いもいよいよ大詰め、戦いの場は世界からWリーグへ

2024年1月5日の試合以降、Wリーグは約2カ月間にわたり中断期間となりましたが、いよいよ2月23日より、リーグが再開となります。

 長い中断の間にはAKATSUKI JAPAN女子日本代表の活動があり、2月8日〜11日(現地時間)にはパリ・オリンピックの出場を懸けた「FIBA女子オリンピック世界最終予選(OQT)」(ハンガリー・ショプロン)が行われました。そして日本はスペイン、カナダ、ハンガリーとの激戦を2勝1敗で終え、見事オリンピックの出場権を獲得しました。

 OQTに参加した選手12名のうち、11名がWリーグでプレーしている選手たち。その11名もそれぞれ自チームに戻り、Wリーグの戦いを再スタートさせます。後半戦はオリンピックの切符を勝ち取った日の丸選手たちの戦いぶり、そして順位争いからも目が離せません。

↓1月5日時点でのレギュラーシーズンの順位・成績↓
https://www.wjbl.org/standings/



 OQTハンガリー開催でMVPの山本麻衣をはじめ、川井麻衣、平下愛佳の3名が女子日本代表に名を連ねたトヨタ自動車 アンテロープス。巧みなスキルを持つ山本はポイントガードですが、1試合平均で13.06点とチームのスコアリーダーです。その山本に川井、安間志織が3ガードを形成し、インサイドではセネガル代表のシラ ソハナ ファトー ジャや宮下希保らがディフェンスやリバウンドで奮起。現在は17勝1敗と首位ですが、このあと昨シーズンの上位チームとの対戦が控えているため気は抜けません。女子日本代表として経験を積んだシューターの平下にも注目です。



 16勝2敗でトヨタ自動車を追うのはデンソー アイリスとENEOSサンフラワーズ。デンソーも髙田真希と赤穂ひまわり、馬瓜エブリンと3名の女子日本代表を擁します。髙田、赤穂(ひ)はディフェンスやリバウンドで世界のインサイド陣と戦い、馬瓜は大事な場面でのシュートや仲間を鼓舞するパフォーマンスでチームを引っ張りました。3名ともにデンソーでも主軸としての働きを担っていて、加えてチームには184センチの赤穂さくらなど大型選手も多く、高さでは優位。木村亜美ら若手ガード陣の成長も著しく、皇后杯に続いてWリーグでの初優勝を狙います。

 OQTのハンガリー開催でベスト5に選出された宮崎早織が司令塔を務めるENEOSは、OQT直前まで代表活動を行っていた星杏璃が膝のケガにより戦線離脱。ENEOSにとっては苦しい状況ですが、大黒柱の渡嘉敷来夢、キャリア豊富な長岡萌映子、そしてスピードとうまさを兼ね備える岡本彩也花らベテランや3x3女子日本代表候補でもある高田静に期待がかかります。リーグ戦再開の初戦は宮崎の出身地である埼玉県川越市での開催。好スタートを切りたいところです。

 女子日本代表のキャプテンを務めた林咲希が所属するのは富士通 レッドウェーブ。シューター・林の3ポイントシュートはチームの武器となり、他にも宮澤夕貴、内尾聡菜らが攻防において安定したプレーを見せます。絶対的司令塔の町田瑠唯が12月中旬の皇后杯で足のケガを負い、それ以降は試合に出場していないため早期の復帰が待たれるところ。それでも、町田を欠いたトヨタ自動車戦で1勝を挙げていて、若手選手も含め、後半戦は総合力で勝負します。



 現在6勝12敗で8位とプレーオフ争いの真っ只中にいるアイシン ウィングスには吉田亜沙美、野口さくらと2人の女子日本代表選手が属します。野口は、オールラウンドに得点を挙げる選手で、アイシンではポイントゲッターを担います。また、吉田はENEOS時代から幾多の優勝を経験したキャリア豊富なガード。OQTでもさすがのプレーで大きな存在感を発揮しました。2人に加え、峰晴寿音、飯島早紀といった攻撃力のあるフォワード陣もそろい、悲願のプレーオフ進出に向けて突き進みます。

 また、女子日本代表の本橋菜子は東京羽田ヴィッキーズの大黒柱となるポイントガード。ゲームメークだけでなく、自らの得点でもチームを引っ張っています。チームは3勝15敗と黒星が先行していますが、ホームの大田区総合体育館で6試合を残しており、応援をパワーに変えて戦いたいところです。

 女子日本代表選手は不在も、堂々4位に君臨するのがシャンソン化粧品 シャンソンVマジック。高さと跳躍力のあるセンターのイゾジェ ウチェの得点とリバウンドは脅威で、アウトサイドでは小池遥、吉田舞衣らが攻撃を仕掛けます。移籍で加入の白崎みなみは得点で後押しし、金田愛奈も粘りのプレーで勝利に貢献。ケガから復帰した佐藤由璃果も欠かすことのできない存在です。昨シーズンのベスト4を超え、2005-06シーズン以来となる優勝をつかみにいきます。



 12勝6敗で6位のトヨタ紡織 サンシャインラビッツは、プレーオフ進出まであと一歩に位置。エースの東藤なな子を筆頭に新加入の北村悠貴も得点力の高いガードで、インサイドでは河村美幸が構えます。リーグ再開前にアキレス腱断裂という大ケガを負ったガードの坂本美樹の思いを背負い、チーム一丸で後半戦に臨みます。

 1月5日時点で7位に付けるのが日立ハイテク クーガーズ。スモールフォワードの佐藤奈々美、中野由希にシューティングガードの星香那恵らが起点で、2シーズン目の大原咲織やルーキーの森岡ほのかといった若手選手のアグレッシブなプレーも活力に。厳しい戦いが続く中、後半戦も接戦をものにしてプレーオフ進出を目指します。

 その日立ハイテクを追い、アイシンと同じ6勝12敗としているのが三菱電機 コアラーズ。渡邉亜弥、根本葉瑠乃ら実力派の選手たちが攻防において軸となるチームは、シーズン序盤は勝ち星に恵まれず苦しみましたが、1月4、5日の山梨クィーンビーズ戦では連勝。リーグ再開後の巻き返しを図ります。



 東京羽田とともに3勝15敗としているのが山梨クィーンビーズとプレステージインターナショナル アランマーレ。山梨QBは全試合でスターターとして出場するアンモールプリート コールが、得点やリバウンドで気を吐き、山形銀行から移籍して1年目の井上桃子も力強いプレーで奮闘。一方のアランマーレ秋田は、キャプテンの平松飛鳥、トヨタ自動車から移籍した佐藤京香がオフェンスをけん引。佐藤と同様に移籍1年目となるベテランの森ムチャも体を張ったプレーでチームを支えています。

 2勝16敗は姫路イーグレッツと新潟アルビレックスBBラビッツ。姫路は1試合平均15.06点をマークしている石牧葵に1試合平均12.33点の遠藤真帆と、新人2人の得点が光ります。新潟も本田朱里ら新人の活躍が目覚ましく、河村美侑や西垂水美桜らに加勢。どちらも中断期間に取り組んできた成果をコートで発揮し、後半戦で白星を増やせるか⁉︎



 10月から始まったWリーグは、前半戦を終えて昨シーズンの上位チームが着実に白星を重ねている印象がありますが、移籍選手の活躍もあるアイシンをはじめ、台風の目となりそうなチームも多数。すでにプレーオフ進出を決めているのは5位の富士通までで、後半戦で残り3枠を懸けた争いが行われます。

 特にプレーオフに進出する8チームは、来シーズンから導入される2リーグ制でWリーグプレミア(上位リーグ)の参戦権を得ることができるため、今シーズンのプレーオフ争いは例年になくし烈を極めることとなるでしょう。

 女子日本代表の躍動も記憶に新しいところですが、戦いの場は世界からWリーグへと移り、優勝が決まる4月までハイレベルな戦いが繰り広げられます。