- 2013年10月20日(日)特集
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考えるバスケットが楽しい!今季に燃えるアイシンAWの新キャプテン
佐藤 朱華選手(アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス)
今回のゲストはアイシン・エィ・ダブリュの佐藤朱華選手です。昨シーズンのレギュラーシーズンの得点は平均14.68点。これまでの4シーズンで過去最高の個人成績を残し、チームの得点源として活躍。学生時代にプレイしていたインサイドと、持ち味であるアウトサイドのポジションをこなしながら、プレイの幅を広げるシーズンとなりました。高校時代はU-18アジア選手権、大学時代はユニバーシアード代表を務めるキャリアの持ち主。今シーズンからはアイシン・エィ・ダブリュのキャプテンを務める佐藤選手の決意はとても熱く「チームが困ったときには自分がやる!」と語っています。初のキャプテン就任にした佐藤選手に今シーズンへの意気込みを聞きました。
——昨シーズンを振り返って、どのような手応えがあったシーズンでしたか。
去年、リーグが始まる前は「よし、イケる」と思いながら準備をしていたのですが、シーズンに入るとなかなか勝てなかったです。開幕から8連敗して、トヨタ紡織やデンソーに勝って手応えをつかみかけたのですが、上位のチームにはなかなか勝てませんでした。練習でやってきたことがゲームに出せないのはなぜだろう、と考えさせられました。
——考えた結果、見えてきた答えはありましたか?
強いチームと競ることがあっても、勝負所でいざとなると人任せにしてしまう傾向があって、それが連敗の大きな原因だと思います。勝負所でこそ「私がやるんだ!」という責任感を持たなくてはならないと思いました。去年までは勝負所で放棄というか、「私はいいです。あなたやって」という感じで、外でボールを回しているのがうちのチームの悪いところでした。せっかく接戦しているのに、そこで相手にやられてしまうのが何回もありました。昨シーズン、いちばん反省しなければならないところです。
——勝負所で人任せにしてしまうのは、経験のなさからくるものでしょうか。練習からうまくいかなかったのでしょうか。
経験もそうですし、気持ちで負けているのがいちばん大きいです。悪い子になる…と言うと、変なたとえですけれど、他のチームには厳しく言うベテランの選手がいますが、自分たちは優しいし、気がいい選手ばかりで、いい子ちゃんでしたね。昨シーズンにヘッドコーチが、かがりさん(山田ヘッドコーチ)に本格的に変わってから、少しずつですけれど声が出るようになったし、試合で粘れるようになったと思います。それまで一方的なゲームが多かったんです。まだまだ足りてはないけれど、少しずつは良くなってきているので、選手一人一人がどれだけ自覚を持ってやれるかだと思います。
——昨シーズンはチーム事情からインサイドのプレイもやらなきゃいけなかったですが、本来は外角プレイヤー。そのあたりの難しさはありましたか。
ありましたね。1年目は3番のシューターで使ってもらって、2、3、4年目にはインサイドの選手がいなかったのでインサイドもやりました。もともと、学生の時はインサイドやっていたんですけれど、Wリーグに入ってからは外角のプレイが多くなっていました。インサイドをやった時に、自分より大きい人にあわせる技術は持っていないなあ…と思いながら、インサイドで勝負もしなきゃいけないのは大変でした。でも、両方のポジションをやるということはいい経験だし、自分の技術面の課題がハッキリとわかりました。
——今シーズンは諏訪裕美選手が復帰したので、インサイドの負担は減ります。諏訪選手の加入はチームにとって、どのような影響がありますか。
みわさん(諏訪選手のコートネーム)は経験もあるし、インサイドの強みとして入ってくれて、チームにすごくプラスになっています。やっぱり、今の自分は外のシュートが得意だと思っているので、これで外のプレイが思い切りできるようになりました。でもそこに頼りすぎて、みわさん頼みだと勝てない。プラスになったことはいいけれど、そこを起点にもっと周りが攻めるというか、みわさんをおとりにして、自分や前田(有香)さんが攻められるようにしなきゃだめですね。今は頼らないようにとやっているところです。
——キャプテンとしては、どのようにチームを引っ張っていきたいですか。
今回、はじめてキャプテンやるので、いろんな人から「大丈夫?」と心配されてるんですが…(苦笑)。かがりさん(山田ヘッドコーチ)に勝利をプレゼントしたい気持ちで頑張っています。かがりさんと出会ってから、バスケの考え方が変わったんです。
——どのように、考えが変わったんですか?
今までの自分は声を出すほうではなく、「自分は自分」というプレイをしていて、チームメイトについていくほうでした。高校、大学、そしてこのチームに入ってからもそうでした。今まで、日々練習をこなして試合に勝ちたい思いだけだったんですけど、今はかがりさんから「考えてバスケットをやりなさい」と教わって、ああしよう、こうしようと自分たちで考えるようになりました。ただ試合に勝ちたいという思いじゃなく、バスケをやる意味まで考えるようになりました。考えるようになって、バスケがとても面白くなりましたね。かがりさんと腹を割ってバスケットボールの話をして、バスケットの面白さを発見したところです。
——今シーズン、個人的な目標とチームの目標を聞かせてください。
得点を取ることが自分の仕事。攻め気を忘れないこと。今までのように消極的なプレイをやっていたらダメで、自分がチームの中心になって「ここは自分がやるんだ!」と腹をくくって自覚を持ってやらないといけないと思っています。誰かがやってくれるという人任せなプレイだけはしないようにしたいです。
チームとしては、シーズン通してタフに戦うことがテーマ。どんな相手にもひるまず戦うのが大きな目標。連戦が続くけれど、一方的なゲームにならず、強い相手にもひるまずにやるのが今シーズンの目標です。
キャプテンとしては、チームのことを考えられるようになってきたと思うので、それをシーズンを通してやりたいです。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●アイシン・エィ・ダブリュはどんなチームですか?
一言で言うと、すごく明るく面白い人たちの集まり。上下関係が厳しくないチームです。前田(有香)さんはチームでいちばん年上ですが、ギャグを滑りまくって年下から突っ込まれっぱなしです(笑)。ノリがいいのは下級生。みわさんは鋭いツッコミをするかと思えば、時々ヌケているというか…おちゃめな方です。チーム全員、仲がいいですね。
●佐藤選手は自分で自分の性格をどのように分析していますか?
私ですか!? 私は最近、高崎(ひとみ)さんに「また天然出た—」と言われますね。自分ではそんなつもりはないのですが、本当は天然ボケする性格のようです(笑)。性格は人見知りをするほうではないけれど、気遣いはしています。プレイは優しすぎると言われますが、「性格は本当にA型?」と言われるほうで、結構、物事をすぐに決めてしまう性格です。食べる物も買い物も決断は早いですね。一人でいる時間が好きだけど、ワイワイする時間も好き。こんな感じでわかっていただけましたでしょうか(笑)
●大阪薫英女学院高、大阪人間科学大時代のエピソードを聞かせてください。
練習が厳しくて、本当にバスケに打ち込んだ時間でした。寮生活だったので朝昼晩とバスケのことばかり考えていて、バスケ一筋な学生時代でしたね。伝統校だったので、負けることは伝統を壊すことだとプレッシャーがあったし、そのためには、うまくなりたいと練習に明け暮れた日々でした。監督の長渡(俊一)先生はとっても厳しい方でしたが、とても人間味のある人で、今でも気にかけてくれます。先生の情熱のおかげで、ここまで来ることができたんだと思います。
●Wリーグで仲のいい選手は誰ですか?
デンソーの浦島慧子選手です。同い年で高校からジュニア代表の合宿とかで一緒になっていたので仲がいいです。今はシーズン中なので多く連絡は取れませんが、たまに連絡しています。チームだと前田(有香)、高崎(ひとみ)、諏訪(裕美)さん。やはり上級生で集まっていることが多いですね。
●広島のお国自慢をお願いします。
お好み焼きがおいしい!それも、広島に行ったら、広島風のお好み焼きをぜひ食べてほしいです。ソバが入って野菜たっぷりでおいしいですよ!自分が好きなのは宮島です。オフになったら帰省して、父と母と一緒に宮島に観光しに行きます。潮が引いているときの鳥居がまた素晴らしいんです。何回行っても飽きません。広島に行かれる方は宮島と広島風お好み焼きをセットで堪能してくださいね(笑)
インタビュー&構成/小永吉陽子