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2008年11月12日(水)特集

飛躍を誓う!デンソーを担うホープ“ニナ”

浦島 慧子選手(デンソーアイリス)

浦島 慧子

今回のゲストは成長著しい若手プレイヤー、デンソーの浦島慧子選手です。昨シーズンは最下位でWIとの入替戦に出場したデンソーですが、今シーズンは台風の目として上位戦線に絡む奮闘ぶり。浦島選手の持ち味はしなやかな身のこなしと、高いシュート力。2007年にはU-21世界選手権大会にも出場し、メキメキと力をつけている成長株です。リーグ4年目を迎えた今年は飛躍の年へ。「チームを担うように」との意味が込められたコートネーム“ニナ”こと、浦島選手に今シーズンの意気込みを聞きました。

※浦島選手は10月25日(土)に行われたJOMO戦において足を負傷し、以降のゲームを欠場しています。検査の結果、捻挫と診断され、現在は早期復帰に向けてリハビリに励んでいます。このインタビューは負傷する直前に行われたものですが、復帰の期待を込め、チームの了承を得て掲載しています。

——今シーズンのデンソーは開幕からこれまでとは「一味違う」試合を展開していますが、オフの間に強化してきたことは何ですか?

オフ期間に特にやってきたことは、走って脚力をつけたことと、気持ちを強く持てるように練習してきたことです。昨シーズンは入替戦を経験して、自分たちの力が足りないということを思い知らされたので、「このままじゃダメだ」という気持ちがチーム全員にあったと思います。

——走り込みや練習量は例年よりも多くなったのですか?

練習量が多くなったというより、チーム全体の気持ちが変わったなと思います。それぞれが「やるぞ!」みたいな…。私自身、走る練習では誰にも負けたくないという気持ちでやってきましたし、試合に勝ちたいという気持ちで走ってきました。舞阪合宿(静岡県)で砂浜を延々と走ったり、体育館の舞台裏や階段を利用して走ったり、リバウンドを取ってから走る練習をしたり、いろんな形の走りをしてきました。今までだと持久系の走り込みが多かったんですけど、今年はディフェンスをつけてリバウンドからの走りとか、体の当たりを強くした中で走ることをしてきました。

——昨シーズンの入替戦は2戦とも壮絶な戦いでした。接戦を制した要因は何だと思いますか?

最後はみんなの気持ちだったと思います。ひとつのボールを取るとか、やっぱり負けられないという気持ちですね。負けたらWIだし、勝ったら残れるし…。試合の前の日は全然眠れなかったんですよ。緊張したわけじゃないけど、色々考えてしまって全然眠れなかったです。でもそんなこと言っている場合じゃないし、何が何でも勝つという気持ちでした。試合の内容がどうのこうのじゃなくて、本当に勝つだけでした。入替戦であんなに嫌な思いをみんなでしたんだから、今年は頑張ろうという気持ちがチーム内にありますね。

——昨シーズンからスタメンを務める中で、自分の役割は?

自分は「がむしゃら」というか、これと決めたら、それしかできなくて周りが見えなくなっちゃうところがあるんですが…。走ることと、動きの中でリバウンドを取ることはいつもやろうと思っています。自分はパワーがあるわけじゃないので、動くことをやっていかないと相手に負けちゃうので。

——木村HCが就任して5年目。今シーズンは木村イズムが浸透してきたように感じます。木村HCのバスケットをどのように捉えていますか?

基本が徹底していて、厳しいバスケットだと思います。デンソーに入って1、2年目は、木村ヘッドコーチが何を言っているかわからなかったんです。バスケット用語はわかるけれど、本当に言いたいこと、根本的なことがわからなかったです。難しいことを言っているわけじゃないけれど、なんか考えちゃうことが多くて、最初は戸惑いがすごくあったんです。けれど、最近は木村ヘッドコーチのバスケットは原点というか、基本的なところを教えてくれて、基本に厳しいのだとわかりました。脚の使い方とか、体の使い方とか、腹筋の大切さとか、そういう基本的な部分ですね。デンソーに入ったばかりの頃に注意されてわからなかったことが、最近は「こういうことだったのか」と、つながってきました。

——2006年には日本代表候補としてスペインに遠征し、昨年はU-21世界選手権に出場しました。日本代表入りは意識しますか?

そうですね。やっぱり代表チームに入れたら一番いいと思います。でも自分のチームで結果を残さないと代表入りはないと思うので、目の前のことをきっちりして、「自分はできるんだ」という自信をつけてからやりたいと思います。やっぱり、去年は入替戦に出たこともそうだし、納得できない試合が多くて、試合に出ていても迷いがすごくありました。試合に出ているかぎりは責任があるので、迷いをなくしていきたいです。

——どんなところで迷いがあったのですか?

自分がここで打っていいのかな、攻めていいのかなとか、変な迷いといったらおかしいですけど、そういうのがありました。私はステップがうまいとか、体の使い方がうまいとか、そういう器用さがないので、気持ちだけは強く持ってやろうと思っています。それに、落ち込むととことん気持ちが落ちてしまって、なかなか抜け出せられないところがあるんです。昨年、自分の出来が悪くて負けてしまったあとのミーティングで「今日の負けは自分が悪かったです」と言ったら、先輩に「その考えはいけないよ。そうやって自分の殻に閉じこもっているから前に向けないんだよ。私のせいで負けたと言っていたら、それはチームじゃない」と叱られました。それで「チームで頑張らなきゃいけないんだ」とわかって、気が楽になったことがありました。

——これからの課題と目標を聞かせてください。

個人としてはプレイの幅を広げることが課題です。今年はルーキーの高田(真希)がセンターをやっているので、私は外からのカッティングやドライブをしたり、ヘルプが来た時にパスをさばいたり、ステップでかわすとか、色々な対応ができないと通用しないと思うんです。ディフェンスも外の選手につけないといけません。だからプレイの幅を広げていきたいです。チームの目標はベスト4に入ることです。あとは、みんなで勝ちたい。今シーズンはみんなで頑張ろうとやっているから、みんなで勝って、喜びたいですね。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●桜花学園高に入ったきっかけや、高校時代のエピソードを教えてください。

大阪代表としてジュニアオールスターに出たことで、井上先生(眞一コーチ)に声をかけてもらいました。どうせやるなら優勝できるチームでやりたいと桜花に行きました。入学した頃の身長は178㎝で今とそんなに変わらなかったですね。入学した頃は大阪弁と名古屋弁のイントネーションが違うので戸惑ってしまって、大阪弁で話すとみんなに引かれました(笑)。先輩に諏訪さん(裕美、JOMO)がいましたけど、関西の人があまりいなかったので自然と大阪弁は抜けていきましたね。桜花の寮生活はすごく楽しくて、実家が恋しくなったこともないし、いつも周りに仲間がいてワイワイ話しているのが楽しかったです。

●思い出の試合は何ですか?

高校3年生のインターハイの決勝です。1点差で勝っていて、最後のオフェンスでボールを回していれば普通に勝ったんですけど、残り20秒くらいで自分がシュートを打ってしまったんですよ。それを拾われて「ヤバイ!」と思ったらチームメイトがファウルで流れを切ってくれて、サイドスローインになりました。その後、またボールが出てスローインになって、それでシュートを打っている時にブザーが鳴って勝ったんです。あの時は優勝したのに井上先生にすごく怒られたのを覚えています(苦笑)。キープしていればよかったのに、シュートを打ってしまった自分を反省しましたね。ファウルで切ってくれたガードの選手に感謝しました。すごく記憶に残っている試合で、今でも「ヤバイ!」という感覚を思い出しちゃったりします(苦笑)

●控えめに見えるのですが、自分の性格は?

自分の性格をそんなに深く考えたことはないですけど…一回ドツボにハマると、そこからなかなか抜けられなくなりますね。ひとつのことを考えると、ずーっとそればっかり考えているし。でも、コレと決めたことは何がなんでもやろうという気持ちはあります。

●練習後は何をしていますか?

何してるかなぁ? 基本的にお風呂が好きなので、お風呂に入ってボーッとしたり、テレビドラマやお笑いを見たりしていますね。練習後はのんびりとしています。

●体が細いのに大食漢と聞きましたが、1日にどれくらい食べるのですか?

デンソーは食事量が多くて、しっかりした献立なんですよ。夕飯だったら、ご飯とお味噌汁と、野菜と肉と魚とか栄養のあるおかずが4品くらいとデザート。ご飯はどんぶり山盛りで(笑)。3食とも山盛り(笑)。最初はきつかったけれど、だんだん食べられるようになりましたね。でも自分は食べても食べても、なかなか筋肉がつかなくて。プロティンも飲んでいるんですけどね。U-21とかの遠征でも、他のチームの選手から「これ食べて」と言われて何でも食べています(笑)

インタビュー&構成/小永吉陽子