- 2008年10月1日(水)特集
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“めっちゃ”明るいコアラーズのキーマン
橋本 和子選手(三菱電機 コアラーズ)

今回のゲストは三菱電機のフロアリーダー・橋本和子選手です。163㎝と小柄ながら、スピード感あふれるプレイで観客を魅了。大阪薫英女学院高時代は、3年時にウインターカップ準優勝の立役者として活躍しました。三菱電機入りしてからは、チームの得点源であり、リーダーとして成長。特に、独特な身のこなしで果敢にゴールに向かう姿は必見です。この2年間、三菱電機はWリーグとの入替戦に出るものの、あと一歩のところで勝機を逃がしています。「今シーズンこそ昇格!」と燃えているコアラーズのキーマンに、今シーズンへの意気込みを聞きました。
——開幕に向けて、今のチーム状態はどうですか?
今年からヘッドコーチが変わったので、心機一転の気持ちで春先からやってきました。選手じたいは昨シーズンからほとんど変わりませんが、山下さんがヘッドコーチになって練習のやり方が変わったので、慣れるまでに少し時間がかかりました。今は一つずつ積み重なってチームになってきましたね。うちは背の小さいチームなので、基本的には走ることと、ディフェンス主体であることはこれまでと変わっていません。ディフェンスの細かい部分だったり、ブレイクの出し方だったり、昨年までとは少し違う部分を今は徹底してやっています。
——コアラーズでの自分の役割は何ですか?
今年はチームで一番年上なんですよ。チームをまとめるというか、チームが困っている時や、誰かが(気持ちが)落ちている時に、声をかけるようにしています。困っている選手がいたら「どうしたら良くなるのかな」と考えるようになりましたね。今まではあまり声をかけるタイプではなかったんですけど、自分自身、変わったと思います。
——橋本選手といえば、スピード感あふれる中に、ステップやターンなど、体の使い方に独特センスの良さを感じさせます。このようなプレイスタイルになったのはいつからですか?
いつやろ? 高2までは先輩に岩村さん(裕美、日本航空)とか得点を取る人が他にいたので、自分はそんなに得点は取ってなかったんですよ。高3になって、自然に攻めるようになった気がします。その気にさせてくれた長渡先生(コーチ)のおかげかな。あと考えられるのは、高校を卒業してからの1年間、成年の国体チームにいたんですけれど、ここで薫英の先輩やユニチカの選手とか、年上の人とプレイすることで「こんなプレイがあるんやー」って視野が広がった気がします。あと小学校の頃、バレエをやっていたんです。バレーボールじゃなくて、バレリーナのバレエ。よく人に「回転が多い」と言われるんですけれど、それはバレエをやっていたことが関係しているのかなあ。こういうプレイになったのは、多分、バレエのおかげだと思うんですけれど。
——バレエはどのくらいやっていたのですか?
小3から小4くらいですね。けっこうセンスがあって、このままやったら本当にバレリーナになれるとか言われて、その気になってました(笑)。でも課外授業でバスケを始めてから、バレエとの両立ができなくなったんですよ。バレエは単なる憧れで始めただけで、ほら、衣装とかお化粧とかかわいいじゃないですか。でもお金がかかるし、やっぱりバスケにしようみたいな(笑)
——橋本選手はミスマッチを突いたポストプレイも得意ですよね。大きい選手に対し、意識的に攻め込んでいるのでしょうか。
はい。意識的に大きい選手にディフェンスされるように、自分から動いているんです(笑)。自分からすると、基本的に175㎝くらいまでは(身長が)一緒くらいの気持ちなんですよ。ただ、あまりにも大きい人が相手だったら、そこは意識をして、無理なオフェンスはしないようにしています。
——この2シーズン、Wリーグとの入替戦は惜しいところで負けています。Wリーグに昇格するには何が足りないと思いますか?
入替戦まで行けたのもそれまでの練習の成果だったと思うんですけど、そこを超えられなかったのも、それまでの練習で何かが足りなかったからじゃないですかね。体力面も技術面も精神面も入替戦まで行けるものは作れたけれど、どこか甘い部分があったり、そこを超えるものを作れてなかったのかなあと思いますね。練習をしている時は甘いつもりでやってないですけど、結果は1、2点差で負け。それを超えられないというのは、精神面の問題だと思うんです。勝ちたい気持ちを持ち続けるとか、ボールに対する執着心とか、そういう気持ちが一人一人ちょっとずつ欠けていたのかなとか思いますね。
どうしても2部(WIリーグ)にいると、相手にあわせてしまうところがあって、甘くなってしまうんです。それで、オールジャパンや入替戦で1部(Wリーグ)のチームにやられて、やっぱり甘かった…みたいな反省が出るんですよ。去年以上に強い気持ちを持たなきゃダメですね。
——今シーズンの自分の目標と、チームの目標を聞かせてください。
今シーズンは2番(SG)から1番(PG)になります。1番で出た時はチームのリズムを崩さないよう、みんなが気持ち良く点を取れるように、的確な指示を出せるようにしたいです。1番の私がミスをすると、相手に速攻に持っていかれてしまうので、イージーなミスをなくさないといけません。2番で出た時は、今まで通り攻めること。自分がゴールに行くことによって、誰かがノーマークになることもあるので、1、2番のプレイの兼ね合いを考えながらやっていきたいです。
チームの目標は最終的に1部昇格だけど、その前に全勝で2部優勝。オールジャパンでもベスト4に行ける力をつけたい。そのためには、1シーズンを通して波を作らないようにしないと。一段一段階段を上がって、最後に勝って笑って終われるチームを作っていきたいと思います。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●いつも笑顔で楽しそうな橋本選手。ご自身はどんな性格ですか?
典型的なAB型(笑)。熱しやすく冷めやすい。流行りモノ、気にいったものに飛びついて、2、3週間後には熱が冷めている…。なんか最悪やな(笑)。でも潔癖性なところもあって、気になることに関してはこだわります。AB型の本を見ると「人見知りはしないけど、それ以上、踏み込んでほしくないところを持っている」とか書いてあって、めっちゃその通りだと思いますね。気まぐれじゃないけど、気分屋かな。
●故郷の大阪自慢をしてください。
これ、話したらキリがないですよ(笑)。こっち(名古屋)におると、まず名古屋弁にイライラする。受け付けないわけじゃないけれど……あまり(苦笑)。でも大阪に帰ると、新大阪の駅を降りた瞬間に聞こえてくる会話が耳にすんなり入ってきて、雰囲気が違うんですよ。なんかもう、歓迎されるというか「おかえり!」みたいな(笑)。こっちと大阪ではご飯も違う。こっちはミソとか多い。「ここまでミソいらんやろ!?」みたいな(笑)。あれ、大阪自慢が名古屋批判になっちゃった(笑)。名古屋の皆さんごめんなさい。名古屋研究もちゃんとしています。大阪が好きな理由としては、やっぱり友達がずっとおるし、「おっちゃん、おっちゃん、これちょうだい」みたいな会話がいつでもできるフレンドリーさがいい。大阪は『秘密のケンミンSHOW』(バラエティ番組)で紹介されているそのもので、あの雰囲気がいいんですよ〜(笑)※この質問に答えている時の橋本選手は大阪弁が炸裂していました。
●バスケットボール以外で、何をやっている時が楽しいですか?
テレビとパソコン。練習から帰ったら、とりあえずテレビをつけて、パソコンを開けます。それから部屋の定位置から2時間くらいは動かないで、パソコンとテレビの両方を見ていますね(笑)。お菓子を作るのも好き。プリン、ういろう、炊飯器ケーキが得意。ホットケーキミックスにバナナを混ぜて、炊飯器でポン!みたいなケーキ(笑)。簡単なんですよ。野球観戦も好きやし…。あ! 今、いちばん興味があるのはファッション関係。パソコンやファッション雑誌を見ながら「セレブはこんな服を着ているんだ〜」とか、好きなモデルさんとか、スタイリストさんのブログを見るのが好きです。「セレブリティ・パパラッチ」っていうやつです(笑)。洋服や身につけるものには、アホみたいにお金をかけますね。
●運動神経が良さそうですが、バスケ以外に何かスポーツをやっていましたか?
小学校の時にバレエをやっていたのと、あとは小学校の夏休みに水泳をやっていたくらい。正直、バスケ以外のスポーツは不得意です。走るのはまあまあ速いんですけど、バレーボールはセンスないし、テニスもバドミントンもだめ。バドミントンとかラケットに羽が当たらないし、サッカーも自分の行ってほしいところにボールが飛ばないんですよ(苦笑)
●今のバスケットボール界に一言お願いします!
どうやったらバスケが盛り上がるかをよく考えますね。試合に芸能人を呼ぶとか、何かパフォーマンスをするとか、うまくやれば露出できることたくさんあるのに。三菱は男女チームがあるので、そこをうまく利用して宣伝したいですね。会社の皆さん、そこのところ、よろしくお願いします。大勢の観客の中で試合をして、バスケを子どもたちが夢見る盛り上がる職業にしたいです。
取材&構成/小永吉陽子