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2007年4月1日(日)特集

芯の強さを持つハイテク期待の若き司令塔

野田 裕子選手(日立ハイテクノロジーズ スクァレルズ)

野田 裕子

今回のゲストは日立ハイテクノロジーズのルーキー野田裕子選手です。ルーキーながらゲームをコントロールをする司令塔として活躍。スタメンにも抜擢されて、強心臓ぶりを発揮しています。名門・丹原高時代は自慢の脚力を生かしたディフェンスを武器に、ウインターカップで準優勝、日本体育大時代はインカレで優勝を果たし、ユニバーシアード代表にも選ばれています。普段はおっとりした性格の持ち主ですが、バスケットでは芯の強さを持つしっかり者。インタビューには一言一言考えながら答えてくれました。日立ハイテクといえば、やはり2月末に行われた入替戦のことを聞かずにはいられません。ルーキーシーズンを振り返ってもらうとともに、入替戦での心境を聞きました。

——入替戦が終わってみての率直な感想を聞かせてもらえますか。

勝ててホッとしています。三菱も強いチームだとわかっていたから、本当に自分たちが勝てるかわからない状態だったので…。チームのみんなも自分も(気持ちが)すごく張り詰めていた中での試合だったので、勝って素直にホッとしています。

——リーグの終わりから入替戦のことは意識していましたか?

途中でデンソーが勝ち始めてから(入替戦に)出ることを意識しました。チーム自体も途中から三菱対策をやっていました。青木さん(ヘッドコーチ)もチームのみんなも言っていたんですけど、本当はこういうことはしたくないんだけど、リーグの終盤は三菱との入替戦に照準を合わせて練習をしていました。三菱は知っている選手が多いのでやりたくなかったんです…。

——三菱の松尾香奈選手とは日本体育大時代の同級生ですよね。そういう意味でも、やりたくない相手でしたか?

そうなんですよ……。カナ(松尾選手)とはすごく仲いいんです。それもあったので三菱とはやりたくなかったんですよね。休日になるとカナが名古屋から東京まで出てきてくれて一緒に遊んだり、相談したりする仲なんですけれど、入替戦前はお互いに連絡取れませんでした。三菱はWIにいるようなチームじゃないと思うし、カナは3Pシュートが前より打つのが速くなってうまくなっていました。2戦目が終わって大学時代の友人が見に来てくれていたので挨拶に行ったんです。そうしたらカナもそこにいて、私を見たとたん大泣きながら抱きついて「負けちゃった…」って。カナが「次は絶対に勝つんだから!」と言ったので、私も「次は絶対ここに来ないから!」と言い合いました。カナも「そうだよ。ここに来ちゃダメだよ」って……。

——入替戦では自分の出来はどうでしたか?

いやぁ、悪かったと思います。どっちのゲームもミスから入ってしまって。三菱もだけどお互い我慢のゲームだったと思うんです。でもやっぱり、最後は練習してきた差が出たのかなという感じでした。

——そんな中でも1、2戦とも最後に決定的なシュートを決めていますね。

入った瞬間、自分もうれしかったんですけど、1戦目の3Pシュートが入った時に由穂さん(渡辺選手)が「ウワーッ」って駆け寄ってくれて…。みんなが笑顔で喜んでくれたり、応援団の方が喜んでくれたのが本当にうれしくて…。あの3Pシュートにしても、みんなが我慢してつないで、つないで、最終的に私にパスが来て私が打ったシュートなんです。みんなでつないだものが、私の得点になったと思います。

——ルーキーシーズンが終わりましたが、1年間Wリーグでプレイしてどんなことを感じましたか?

最初は試合に出られるだけでうれしかったんですけれど、大学時代と違ってみんなすごい選手ばかりだから、当たりが強かったです。それに、何て言ったらいいのかな……リーグ戦は長いと思いました。リーグ戦は思っていた以上に試合数が多くて、試合が終わるごとに次々に課題が出てくるので疲労感がありました。自分ではスタミナがあるほうだと思っていたのですが、後半戦は思っていた以上に体のバランスが崩れてシュートの確率が落ちることもありました。やっぱり体力が必要ですね。それから、高校や大学でもそうだったんですけど、やっぱり勝って結果につなげることが大切だと思いました。

——1年目からスタメンとして出て、チームになくてはならない存在になったと思います。ポイントガードとして気をつけている点は何ですか?

周りの人がやりやすいようにボールを早く回したり、打ちやすいパスを出したり、とにかく周りがプレイしやすいようにしたいです。あとは大きい声とかは出せないんですけど、周りの人がやりやすいように声をかけたり…そういうことですか。

——これからの課題を教えてください。

やっぱり自分みたいに小さい選手は3Pシュートの確率を上げないと相手のディフェンスが出てこないし、もっと早いタイミングでシュートが打てるようになったらいいなと思います。あとは1年目でチーム一人一人の個性を把握できていないので、もっとみんなのことをよく知って、その人のいいところを引き出してあげたいです。自分のプレイを押し付けるのではなくて、その選手のやりたいプレイを出せるようにできたらいいですね。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●Wリーグで憧れの選手、目標にしている選手はいますか?

Wリーグはみんなすごい人ばかりですよね。ポジションは違うけれど、中学校のときから日本航空の岩村裕美さんが好きです。私が中学校のときに薫英(大阪薫英女学院)で試合をしたことがあって、そのときに裕美さんがお世話してくれて、そのときから「おねえちゃん」という感じです。私が高校のときは裕美さんが薫英の短大で、そのときも練習ゲームをしました。人間性も好きだし、バスケットでもひたむきにやっているのが好きです。

●特技や自慢できることはありますか?

うーん……。走るのが得意というか好きということですか…。中学校の時はバスケットと駅伝を両立していたんです。バスケット部の先生が駅伝も見ていて、シーズン的にバスケの試合と重ならないので、バスケ部は全員駅伝をやってました。私、県駅伝で優勝して全国大会にも出たんですよ。1月にある県別対抗で走る京都駅伝に、社会人、大学生、高校生いる中で中学生で2人だけ選ばれて……。そのとき土佐礼子さんも愛媛出身なので同じチームで走ったんですよ! 今考えたらありえないと思うんですけれど、なんか、あれよ、あれよと出てしまいました(笑)。高校進学は駅伝からも声がかかっていたんですけれど、バスケを選びました。一人で戦うより、みんなで目標に向かってやるほうが楽しかったので。

●コートネーム「ヒョウ」の由来は何ですか?

大学に入ったときに4年生の先輩がつけてくれました。ヒョウの由来は「コートの中を豹のように誰よりも早くかけめぐる」みたいな感じてす。最初は「ヒョウ」と言われて、「え!?  
そんなガラじゃないよ!」と思ったんですけど、大好きな先輩方がつけてくれたので、素直に「ハイ」と返事しました(笑)。ハイテクに入ってからは「変える?」と聞かれたんですけれど、特に希望もなかったので、そのままにしています。


●チームガイドに『しっかり者に見えて、実は「天然ボケ」のヒョウ。でもコートではポーカーフェイスでゲームをコントロールします』と書かれていますが、実際はどうですか?

え〜〜〜コートの中では内心「どうしよ〜」ってテンぱってるんです(苦笑)。でも大学時代に「ガードが慌てるとチームのみんなが慌てるから、絶対に顔を出すな」と言われていたので、なるべく動じないようにしています。コートの外では……(天然ボケだと)認めたくないけれどそうだと思います。のんびりしているし、ボケボケしているので(笑)

●お菓子作りが趣味だと書いてありますが、どんなものを作りますか?

今は時間がなくてあまりやらないんですが、実家に帰ったらチーズタルト作ったり、クッキーやアップルパイを焼いたりしています。大学では寮だったので簡単なムースを作ったりしていました。このオフも実家に帰ったら何か作りたいですね。

構成/小永吉陽子