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2007年3月15日(木)イベント

外国人審判によるレフェリークリニックを開催しました

外国人審判によるレフェリークリニック レポート
開催日 2007年3月12日(月)
場所 千葉県・船橋市


3月12日(月)、第8回Wリーグファイナルの休息日、今回Wリーグファイナルの審判員としてお招きしたFIBA国際審判員を講師として、女性審判を中心としたクリニックを開催しました。出席者は総勢103名。平日の夜にも関わらず、中には遠く熊本、石川、徳島、新潟などから駆けつけた熱心な方もあり、始まる前から、女性審判の皆さんがワクワクしながら待っているのが感じられました。

冒頭、橋本信雄審判部長からお二人への感謝の言葉と経歴のご紹介があり、お二人からご挨拶をいただきました。

シャンタレ・ジュリアン(フランス)
「今回、このような機会を設けていただいて、非常に感謝しています。今回、女性3人の審判団でジャッジをしていますが、私の今までの経験でもこのようなことは初めてです。ヨーロッパでも見たことはありません。その点で、日本はヨーロッパよりも一歩先を進んでいるとも言えますね。
私は、これまでフランストップリーグのプレイヤーとして10年、国際審判員として10年のキャリアがありますが、審判のキャリアとして一番印象に残っているのが、アテネオリンピックの女子決勝、オーストラリア対アメリカ戦をジャッジできたことです。コート上で自分がバスケットを楽しめなくなったら審判を辞めようと思っていますが、それまでは存分に楽しみたいですね」

エレナ・チェルノワ(ロシア)
「今回私を呼んでいただいたWJBL関係者の皆様にまずはお礼を申し上げたい。また、サポートしてくださる皆さんにも、大変親切にしていただいて感謝しています。
今までのキャリアで一番の経験となるのは、昨年9月にブラジルで行われた女子世界選手権のジャッジができたことです。今年9月のヨーロッパ選手権にもノミネートされましたが、自分自身にとって大きな一歩になると思っています」


この後、シャンタレさんがこの日のために作ってくださったというDVDを見ながらのクリニックとなりました。
 “どのようにして、女性審判として成長していくか”が大きなテーマとして取り上げられ、審判としてのキャリア、自分の人生におけるバスケットの位置づけ、職場環境、家庭生活と広い視野からのお話でした。



女性として審判になるために
●バスケットボールを理解するために、レベルは問わず、プレイヤーとしての経験は不可欠。
●自分を表現すること。シャイになってはいけない。自分の考えははっきりと述べること。
●審判としてのコート上での役割を認識すること。男性も女性も同じユニフォームを着た審判員。ゲームのレベルに合わせてゲームの雰囲気をつかむ。プレイヤーだけではなく、コーチやスタッフの雰囲気も捉える。ゲーム中のボスになるのではなく、ショーの一部になること。
●自分の身体能力やコンディションを常に良い状態に保つこと。
●恐れないこと。例えば、ファウルを宣したときに、必ずその選手の目を見ること。目をそらしたり、床を見たりしてはいけない。もしその選手が判定に納得しないときは、その場にとどまって説明をすることも必要になるかもしれない。コーチについても同じ。ゲームの重要性(決勝などのビッグゲーム)を考えすぎてプレッシャーに負けないこと。
●自分自身を信じること。
●自分の心のうちを見せないこと。常に冷静な状態で。
●迷いを見せずに力強く判定(表現)すること。
●自分自身を成長させること。ビデオを見て検証・分析する。また、アドバイスは一度全て受け入れること。その中で自分に必要なものを選択して取り入れること。自分で犯したミスを受け入れること。
●パートナーと良い関係を築くこと。男女問わず自分も同じ審判員であることを自覚すること。女性であることのアドバンテージだけを期待しないこと。
●女性らしさをコート上で持つのは悪いことではない。笑顔で、ていねいにゆっくり話すこと。
●コート上で自分自身を表現すること。身だしなみにも気をつけて。

シャンタレさんからの問いかけ
●審判としてのキャリアは?
 FIBAから国際大会にノミネートされることに満足せず、常に向上心を持って成長しなければならない。FIBAは女性が女性のゲームをジャッジすることに積極的になってきている。
●自分の人生におけるバスケットの位置づけは?
 審判活動をする中では、長期にわたり家を空けるなどのことが起きてくる。そういったことを自分の人生の中でどのように捉えるか。
●自分の職場環境は?
 長期に仕事を離れることについて、職場の理解を得るのは非常に難しいことであるが、どうバランスを取っていくのか。
●家庭生活は?
職場同様、家族の理解を得られるか。

良い審判になるために
●ミスをしたときにはすぐに切り替えて、次のミスをしないようにすること。
●パートナーを信用すること。パートナーの前で起こっているものを吹き込んだりしないこと。
●パートナーがどこにいて、どこを見ているか、常に認識しておくこと。
●意味なく動かない。良い位置取りやアングルを確保する時に動くこと。
●ゲームを楽しむこと。
●決して自分が主役にならないこと。ゲーム後に審判のことを誰も覚えていないのが、審判にとっては最大の評価。
●コーチやプレイヤーとのコミュニケーションを大事にすること。時には言葉を交わすことも必要になるのではないか。
●すべての接触がファウルとは限らない。アドバンテージを見て、それを選択できる能力を養うこと。
●“no-call (取り上げないこと)”が時にはよいジャッジの場合もある。
●“ルール”と“ゲームの精神”を理解すること。


このあと数名から質問があり、それにも丁寧に答えていただきました。
最後に、“コート上では最大限の努力をし、審判員として自分の時間を楽しむことが大事”という言葉でクリニックは終了となりました。

クリニック後、お礼の意味をこめて、今回お二人と一緒にWリーグファイナルの笛を吹いた、富田陽子さんと須黒祥子さんから、花束と記念品を贈呈。それからお二人を囲んで参加者全員で記念撮影を行いました。

4戦へと続く中での貴重なお休みを割いてのクリニック、お二人とも本当にありがとうございました。

インタビューの模様はコチラ