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2006年11月18日(土)特集

初のキャプテンとスタメンに抜擢飛躍と挑戦のシーズン

市川かおり選手(デンソーアイリス)

市川かおり

今回のゲストはデンソーのキャプテンに就任した市川かおり選手。今シーズン、若返りを図ったデンソーですが、その中でキャプテンに任命されたのが、11月15日に23歳の誕生日を迎えたばかりの市川選手。札幌山の手高校から広島銀行を経て、2003年にデンソーに入社。今年でWリーグ5年目を迎えた期待の成長株です。今シーズンは初のスタメンとキャプテンという重責にも意欲満々。「明るい性格で、自分の考えをしっかりと持っている」と、スタッフも太鼓判を押す成長著しいキャプテンの素顔に迫ってみました。

——初のインタビューということで、バスケットを始めた頃の話からお聞きします。バスケットを始めたきっかけは何ですか?

小5の時に私の小学校に有名なミニバスの先生が来て、チームを立ち上げることになったんです。その先生は船引さん(富士通の船引かおり&まゆみ姉妹)をミニバスで教えていた先生で、私はその一期生として友達に誘われて入部しました。それまでは、お母さんが水泳のインストラクターをやっていたので水泳をやったり、柔道をやっていました。

——そのまま柔道を続けようとは思わなかったのですか?

迷いましたね。柔道もすごく好きだったので、最初は柔道とミニバスを掛け持ちしていたんです。でも、なぜかそこで自分はバスケットを選んだんですよ。バスケットは始めたばかりで新鮮だったのかな? ミニバスの先生の指導は厳しかったんですけど。

——そして、札幌山の手高校、広島銀行へと道を進んでいきます。進路決定の際、分岐点となったことはありましたか。

高校を卒業したら、ただ漠然と大学に行きたいと思ってたんです。でも、「大学で何を勉強するの?」と聞かれても何も出てこなくて…。そんな時に広銀から話をいただきました。ここまでバスケットをやってきたし、大学はいつでも行けると思って広銀に行くことを決めました。

——そして広島銀行に入部するわけですが、これが1年で廃部になってしまいました。この後の進路の決断はどうやって決めたのですか?

広銀はすごくいい先輩がいていいチームだったので、廃部はショックでした。広銀のスタッフは部員全員に「移籍するにせよ、進学するにせよ、責任を持つ」と言ってくれて、私たちの進路の面倒を見てくれました。自分は広銀でやっていたバスケットが楽しかったので、「Wリーグで続けたい」と希望したら、チームが移籍先を探してくれたんです。そこでデンソーさんに声をかけてもらいました。2部(WIリーグ)から1部(Wリーグ)はもちろん厳しいけれど、上のリーグでやりたい気持ちがあったので、挑戦しようと思いましたね。

——昨シーズンは3試合しか出場していませんが、今シーズンはスタメンに抜擢され、そしてキャプテンに就任。飛躍であり、挑戦のシーズンになりました。

自分は今まで試合に出ることが少なかったので、デンソーに入ってから今年がデビューみたいなものなんです。今年はキャプテンになったことと、試合に出ることを一気に経験しているので、今までとは感じることが全然違いますね。でも今まで試合に出られなかった分、コートに立ってプレイできることは幸せだと感じます。

——自身「デビューの年」にキャプテンに任命。プレッシャーはありませんか?

キャプテンというより、試合に出て通用するのか、そっちのほうが不安になったことはあります。でも、あんまり深く考える性格ではないので、どうしよう、どうしようではなくて「とにかくやってみよう」と思っています。もちろん、チームのみんなも私が未熟だということは分かっているし、誰も私がうまくやれるとは思ってないので、いろいろと助けてくれるんですよ。ただ、練習や試合ですごく怒られた時に、「自分のことばかり考えていてはダメだ」ということはすごく意識しています。

——そこは難しいところですね。初スタメンとしては、自分のプレイに没頭したい時もありますよね。そんな時にチームのことも考えなくてはならないと。

そうなんですけど、そこは逆に考えています。怒られた時は自分のことばかり考えていると落ち込んでしまうかもしれないので、「チームのことも考えなきゃ」と思えば、自分のことを多少忘れられる時間っていうんですか(笑)。そういうのもアリなのかなと思います。

——初スタメンとして、自分のここを見てほしい点は?

うちのチームは身長の大きい選手がいないので、自分がそこを助けるポジションをしてるんですけど、やっぱりリバウンドだけは負けたくないです。リバウンドって、高さだけでなく、タイミングとか、勢いとか、動きでどうにかなるというのがあると思うんです。「リバウンドを取れれば、簡単に試合に負けることはない」と高校で教わったので、リバウンドは重要だなと思う。リバウンドを取って自分たちのリズムを作る手伝いをしたいです。

——前半戦が終わりましたが、後半戦に向けての抱負を聞かせてください。

今は目の前にたくさん課題があるのでそれを一つ一つクリアしていくのと、チームが若いので、一戦一戦、経験をしながら自分もチームも成長したい。リーグが始まった時と終わった時を見て、チームが変わっていられるように頑張ります。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●ニックネームの「レイ」の由来は何ですか?

小畑(亜章子)さんがつけてくれたんです。「華麗なプレイをするように」と華麗のレイです。高校の時は名前で「かおり」と呼ばれてました。レイは気に入っています。

●寮生活は楽しいですか? どんな1日を過ごしていますか?

楽しいですよ。朝起きてみんなで食堂で朝食を食べて、みんなで練習に行きます。体育館は本社の近くにあって、寮から車で5分かからないところにあります。お昼に寮に戻って昼食を食べて、少し休憩したら午後の練習。夕食を食べたあと、夜は体育館にシューティングに行く人もいれば、洗濯をしたり、のんびり過ごす人といろいろです。一日の唯一の楽しみといえば、お風呂。大きいお風呂なので、そこで一緒になった人とワイワイやっています。お風呂は本を読んでいる人もいるし、お風呂でできるウノ(カードゲーム)があるんですけれど、それをやってのぼせている人もいます(笑)。それが一日の流れかな。

●今、ハマっていることは何ですか?

今はパソコンをいじっているのが好きですね。友達のブログを見たり、書き込んだり。今年、台湾遠征に行ったんですけど、そこで知り合った選手とメールアドレスを交換してやり取りしたり、ミクシィとかで日記を見たり。そういう時間が今は楽しいです。あとは練習が休みの日に温泉というか、健康ランドに行って水風呂に入るのが好きです。

●チームガイドに「チーム№1の物真似女王」と書いてあります。どんな物真似をするんですか?

誰というより、お笑い芸人が言った言葉とか、テレビCMに出ているタレントの口調を真似するのが得意だからそう言われるのかと(笑)。即興みたいな感じです。得意はイ・ビョンホンの化粧品のCMですか。CMでタレントの口調とか自分の思ったままにマネすると、「またレパートリーが増えたね」と言われます(笑)。あとはみんなもやるんですけれど、長州小力もやります(笑)

●バスケット選手になってなかったら、何になっていましたか?

えー、考えたことないですね(笑)。そうですね、自分はすごい英語が好きなので、これは今も思ってるんですけれど、海外に留学がしたいですね。日本とアメリカ人のハーフの2人兄弟の従兄弟がいるんですけど、その影響で英語を勉強したいという気持ちがあります。おじさんとおばさん(従兄弟の両親)にも「海外に勉強しに行ったほうがいい」と言われました。来年から従兄弟の弟のほうがハワイに留学するので、一緒に行かないかと誘われました。もちろん、バスケットがあるから行けないですけれど(苦笑)

構成/小永吉陽子