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2005年11月15日(火)特集

真面目にひたむきに取り組むトヨタの成長株

池田 麻美選手(トヨタ自動車 アンテロープス)

池田 麻美

今回のゲストはトヨタ自動車の成長株、池田麻美選手です。大宮東高時代は無名ながら、トヨタ自動車に入社後、ひたむきな努力で実力をつけてきました。センターとしては大きいほうではないですが、リバウンドやディフェンスに定評があり、2年連続ブロックショット賞に輝いています。今シーズンは初の日本代表にも選出され、今やトヨタになくてはならないプレイヤーへと頭角を現しています。11月6日に終了した東アジア大会直後、池田選手の素顔に直撃しました。そこには真面目な“池ちゃん”の素顔が浮かび上がってきました。

——今シーズン、ここまでの自分の出来はどうですか?

数字だけ見てしまうと、ディフェンス、リバウンド、ブロック、スティールにしても去年に比べると少ないと思います。得点に関しては外回りの人たちに頼っているので、ディフェンスではインサイドで私がもっとやらないといけないな、というのが率直な感想です。

——池田選手も6年目。トヨタでは一番キャリアが長いのではないでしょうか。

そうなんです。でも、まだまだです。先輩たちのほうがプレイ歴は長いのでおんぶにだっこされてます。チョンさん(ヘッドコーチ)の求めるインサイドの選手像がものすごく理想が高くて、私は怒られてばかりです。

——チョン・ヘッドコーチからはどのような役割を要求をされているのですか?

いつも「お前がゴール下でやられたら、おしまいなんだぞ!」と言われています。うちはフォワードの榊原さんや外角の選手が点を取っているので、困った時にはもっとインサイドが頑張らないといけないと思っています。ポストアップしないといけないし、ゴール下は最後のディフェンスマンにならなきゃいけないと言われています。

——ところで、池田選手がトヨタに入社したいきさつを聞かせてもらいますか。

高校で進路を決める時は「大学でバスケットを続けたい」と思っていたんですが、トヨタの前コーチの寺田さんに声をかけてもらいました。インサイドの選手を捜していたそうです。Wリーグでプレイすることに迷いはあったんですけど、最高峰のところでやれるので大学に行ったつもりで4年間頑張ろうと思ってトヨタにお世話になることにしました。もう4年は過ぎてしまったんですけど(笑)

——実際にトヨタに入ってからは新人でスタメンに抜擢されましたが、チームは2部(WI)に降格するなど、大変なシーズンでした。

何をやっていいのかまったく分かりませんでした。トヨタに入ったら先輩たちは辞めてしまっていて(竹内高美、小池直美選手ら)主力がいなくなっていたし、ヘッドコーチは寺田さんから後藤さん(敏博、現福岡レッドファルコンズコーチ)に変わったばっかりだったし、本当に大変な時期でしたね。私なんて何もできないのに試合に出ることになって…。一応スタメンだったんですけど、本当に何もできませんでした…。

——それが今では日本代表に選出されるまでになりました。

今回選んでいただきましたけど、今は外で認められるより、チームやチームメイトに認められる選手になりたいというのが先ですね。

——とはいえ、やはり日本代表で戦うことは収穫が大きかったのではないですか? 

そうですね。アジア選手権では日本代表がはじめてということもあったし、上級生もたくさんいたので試合に出るチャンスはなかったんですけど、東アジア大会では控えですけど試合にたくさん出させてもらいました。でも、得点のチャンスに絡むことがほとんどなかったというのが率直な感想ですね。荒さんのシステムというのは、インサイドの選手がスクリーンをかけて外回りがシュートを打つというフォーメーションなので、私たちインサイドがスクリーンをかけて、外角の人たちがシュートを打てたから良かったとは思いますけど。

——東アジア大会では大事な場面に試合に出て、新たな発見などありましたか?

試合に使ってもらえて本当にうれしかったし、でも結果を出せなかったので荒さんに申し訳なかったです。試合に出て思ったのは、自分はミドルシュートが得意なんだけど、日本で打つ感覚と違っていろんなところからブロックが跳んでくるので、自分のタイミングで打つことは難しいということでした。そういうことを分かったのが収穫だったし、課題です。

——Wリーグが再開しますが、今後の課題は何ですか?

東アジア大会が終わってチームに戻るのはだいぶ不安です…。代表ではポストアップして攻めるということはないですけど、チームに帰ったらポストプレイをやらなきゃいけないし、インサイドプレイから2週間も離れているのでどうなるのか…。東アジア大会ではずっと試合に出ていたわけじゃないから、体力的にも不安です。

でも、そんなことは言ってられないので頑張ります。ディフェンスで仕事することはもちろんですが、課題はオフェンス。大事な時に点を取ること。ミスしちゃいけないというのがあって、積極性に欠ける時があるのでそこが課題です。大事なところで点が取れたら自信になると思うので、チームのために働きたいです。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●池田選手のイメージが分かりません。どんな方なのですか?

けっこうマイナス思考ですね(苦笑)。悪い方向に考えて「ダメダメダメ」と落ち込んでからいい方向に考え直すほうです。そういうのをチョンさんは見抜いていて「根性がない!」って言われてしまいます。普段はしゃべりかけられるとしゃべりますが、自分からはベラベラしゃべらないです。どちらかというと冷めているほう(笑)。見たまんまです。

●トヨタでバスケットをしていて一番うれしかったことは何ですか?

昨シーズン、セミファイナルで日本航空に勝ったことと、2年目のシーズンに入替戦に勝って2部から1部(WIからWリーグ)に上がったことです。入替戦では最初は戸塚に負けて「やばい!」と思ったんですけど、次の試合で富士通に勝って1部に昇格しました。あの時は打ち上げではしゃぎました!

※2001年度、第3回Wリーグは最下位の三井生命が休部になったために、7位の日立戸塚とWI1位の富士通、2位のトヨタの3チーム間で総当たりの入替戦を行われた。その結果、日立戸塚が2勝、トヨタが1勝1敗、富士通が2敗となり、日立戸塚のWリーグ残留、トヨタのWリーグ昇格が決まった。しかし、入替戦後に日立戸塚の休部が決定したことにより、富士通がWリーグに昇格した。

●目標やあこがれの選手はいますか? いたら教えてください。

韓国の選手なんですけど、チョン・ソンミン選手(31歳、185㎝、PF)です。一時チョンさんも韓国で教えていたらしく、あの選手はチョンさんの求めていることをやっている選手だなーとつくづく思いますね。1対1で得点もできるし、アシストもさばけるし、本当にうまいんですよ。アジア選手権の時はここぞとばかりにプレイをジロジロ見てしまいました(笑)

●池田選手は試合ではよく泣いているように思うのですが、一番泣いた記憶があるのはどの試合ですか?

見られいてるものなんですね(苦笑)。試合よりも練習で泣いてると思います。チョンさんに怒られたり、プレイが思うようにできない時に悔しくて…。一番泣いたのは…? 1年目か2年目の時の練習試合で何も出来なかった時に、やっぱりチョンさんに怒られて悔しくて泣いたのを覚えています。ミーティングが終わったあとに体育館の裏で一人泣いてましたね。他はいっぱいあって覚えてないです。

●理想の男性像は?

難しいなあ(笑)。引っ張ってもらいたいので年上がいいですね。年齢差は…どうだろう? 10歳以内でお願いします(笑)

構成/小永吉陽子