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2005年11月2日(水)特集

責任感と自覚が出てきた日本航空のポイントゲッター

柳本 聡子選手(日本航空 JALラビッツ)

柳本 聡子

今回のゲストは日本航空のシューター、柳本聡子選手。樟蔭東高、樟蔭東女短大時代から超ロング3ポイントシュートで観客を沸かせ、ユニバーシアード代表としても活躍してきました。日本航空でもポイントゲッターとして役割を果たし、「ここぞ」という場面でチャンスに強いシューターとして名を馳せています。今年は初の日本代表にも選出され、日本航空でも上級生として責任感が出てきて、新たなチャレンジのシーズンに。「ケガもなく、まだまだ体が動くので、チームのために走り続けたい」と今シーズンにかける柳本選手の素顔に迫ってみました。

——第1クールが終わりましたが、ここまでの調子はどうですか?

チームとしては、負けてはいけない試合で負けたり、カラ回りしたり、波がありますね。今シーズンは堀部さんと畑岸さんが引退してメンバーが変わった分、合わせの部分で練習が足りていないのがあります。これから徐々に調子を上げていきたいと思います。自分の調子は最悪とまでいかないけど、あんまり良くないです。いい時はいいけど悪い時は悪い。だけど「自分がやるしかない!」と思っているので、モチベーションをあげてやっていきたいです。

——柳本さんが当たっている時はチームの調子がいいですよね。林ヘッドコーチからはどのような役割を要求されていますか?

点を取ることです。去年までは、片方のフォワードに堀部さんがいて2人で点を取っていたんですけど、今年からは加藤(五月)がスタメンになって、加藤は成長している段階で慣れないところもあるから私がカバーしていくつもりです。林先生からはいつも「お前が取らなきゃ誰が点数を取るんだ!」と言われています。それをプレッシャーに感じるわけではないですけど、その言葉に重みは感じています。

——日本航空のシステムといえば緻密な「エイトクロス」ですが、柳本さんはそのエイトクロスで点を取る重要な役目。システムを覚えて熟練されるまで大変でしたか?

大変でしたねぇ。やっぱり、エイトクロスは練習しないとできないし、林先生にはすごく細かいところまで教えていただけるから、それをいかに自分の中で注意してやっていくか。点を取るフォワードも大変ですが、スクリーンをかけるセンターも大変だし、パスを入れるガードも分かってないとできないし。だからエイトクロスはコンビネーションだと思います。それに慣れることです。今は「ここでチャンスがくる」というのが動きの中で分かるので、自然と体が動きます。でも、先生からは今でも全然ダメと言われますが(苦笑)。今は慣れましたけど、入社した頃は先生の韓国語と日本語が入り交じった言葉が分かりませんでしたし、言っていることが理解できないし、何で怒られているか分からないし…。相当怒られました(笑)

——チームでは怒られ役ですか?

超怒られタイプです(笑)。みんなそれなりに怒られるんですけど、私はけっこう怒られ役というか…まあ、怒られて当たり前のことをしているんですけど(笑)

——日本航空は練習時間が長く、密度が濃いですよね。普段はどれくらい練習しているのですか?

今はシーズン中なので試合の翌日は休みで、そのあと試合や移動日までは、1部練習ですね。たまに、午前午後と2部練習になることもありますが。時間は練習の展開によって、チーム全体がかみあわなかったりすると長くなることもありますが、上手くいけば早く終わります。他のチームと比べて長いと言われますが、練習しないと上手くなれないって、みんな思って練習しています。

——ところで、昨シーズンはオールジャパン優勝、Wリーグ準優勝と、1年を通して日本航空のバスケットが展開できたと思うのですが、柳本さんにとってはどんなシーズンでしたか?

やっぱり、バスケットボールの最高峰の大会で優勝できたことはうれしかった。Wリーグは負けちゃったけど、決勝という舞台で戦えたことはほんとうに良かったです。今でもこういうトップチームでやっていることや、大舞台で戦っていることが信じられない時があるんですよ。怒られることもいっぱいあるけど「やってきたことは間違ってなかった。練習を頑張ってきて良かったな」と改めて思います。

——今年は初の日本代表に選ばれました。アジア選手権に出場した感想と、日本代表とチームを両立することで感じたことを教えてください。

そうですね…。日本代表はすごく難しかった。今までは先輩たちが日本代表に行って、私は残ってチームをまとめる立場だったんですけど、それが逆の立場になって、その苦労が分かりました。代表に行っている間はチームの合わせができないとか、体力面とか心配だったし、代表から戻ってくる時も不安だらけでしたね。でも何とか調整できました。

アジア選手権は自分自身はあまり試合には出られなかったんですけど、日本代表は責任もあるし、勝たないといけないし、大変な状況の中で選手同士で合わせていかないといけないし、ナショナルの一員であることは大変だなと思いました。やっぱり結果を残さないと辛いですよね。だから勝ちたかった…。でもすごくいい経験はできました。

——最後に今シーズンの目標を聞かせてください。

もちろん優勝! メンバーが変わっても優勝したい。去年はオールジャパンで優勝したけど、リーグではできなかったのでリーグでも優勝したいです。それだけの練習はしていますから。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●柳本さんはどういう性格の方ですか?

自分の性格は楽天屋さん(笑)。典型的なO型だとよく言われます。よくチームのみんなや友達から「物事をもっと考えたほうがいいよ」と言われます。何事でも「大丈夫、大丈夫」と思っているかも。この性格、気楽でいいですよ(笑)

●いつからシューターになったのですか? 3ポイントが入るコツを教えて下さい。

いつシューターになったかというのは、すごくよく覚えているんですよ。高1の後半あたりにけっこう練習で3ポイントが入るようになって。そこで監督の原田先生が私に「シューターっていうのはな」と言われたのです。それまではそんなに3ポイントが入るほうじゃなかったし、自分がシューターだと思ってなかったんですけど、先生からそう言われて「あぁ自分はシューターなんだ」と(笑)。そこから自信を持って打つようになりました。

シューターはやっぱり度胸だと思います。コツはと聞かれたら、技術も必要ですけど度胸ですね。とにかく「打つ」という気持ちじゃないでしょうか。

●オフの時は何をして過ごしていますか?

朝はゆっくり寝ていて、起きたら近くの川崎とか横浜に買い物ですかね。東京に出るのはしんどいです。だいたい、出先でお昼ご飯とか夜ご飯を食べて、まったりしています(笑)。私はけっこう外には出る派です。どこかに買い物に行くか、先輩とか友達の赤ちゃんに会いに行ったり。休みの日は寮にあまりいないです。外をブラつくのが好きなんですよね。

●バスケットで憧れの選手はいますか?

エースさん! 大山(妙子)さん! 中学の時に暮れに部活のみんなで大掃除をするんですけど、その時にテレビでウインターカップの決勝(東亜学園vs名古屋短付)を見たんですよ。それが本当にすごい試合でエースさんを見て「この人すごい!!!」と。もう感動でした。それからは目標といったら申し訳ないですけど、憧れています。まさかWリーグで対決するなんて思ってなかったから、最初にマッチアップした時は感動しましたね。引退された時に一度会いまして、「ずっと憧れていました」と言ったら「これから応援にいくよ」と言ってくれました。すごいうれしかったです。

●客室乗務員の仕事は大変ですか?

バスケットと180度違うものなので大変と言えば大変ですが、客室乗務員の仕事はやりがいがありますし、今は慣れてきているのもあって楽しみながらやっています。入社した当時の訓練は、練習と勉強の両立でとても大変でした。今も仕事の前には、みんなでしっかり予習してから乗務します。リーグ戦が始まるとフライトの回数は少なくなりますが、今度はリーグ戦が中断する12月下旬にフライトする予定です。

構成/小永吉陽子