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2013年12月5日(木)特集

スピードとひたむきさで成長中富士通の未来を背負う若き司令塔

町田 瑠唯選手(富士通 レッドウェーブ)

町田 瑠唯

今回のゲストは富士通の若き司令塔・町田瑠唯選手。162㎝と小柄ながらも、スピードを生かしたゲームメイクで札幌山の手高時代にはインターハイ、国体、ウインターカップで3冠を達成。ルーキーシーズンに出場したU-19世界選手権では、7位の成績ながらアシスト賞を獲得し、大会ベスト5にも選出された。富士通3年目の今季はスタートのポイントガードとして、持ち前のスピードに加えて、シュート力を課題にあげている。「かなりの人見知り」という町田だが、自分の意見をしっかり持った芯の強さが、このインタビューからもうかがえた。町田の成長は、即、チームの成長につながる。富士通の未来を背負って立つ司令塔を直撃した。

——3年目のシーズンが始まりました。今シーズンは1、2年目のシーズンに比べ、どこを強化して臨んでいますか。

富士通で2年間やってきて、シュートの確率があまりよくなかったし、打っていなかったので、シュートを強化しようとたくさん練習してきました。数字的な結果はまだ出ていないけれど、昨シーズンよりも打っています。シュートを打たないと相手のディフェンスも怖くないと思うので、打ち続けたいと思います。

——3年目に入って、手応えをつかめている点はどこですか?

ディフェンスで当たり負けしなくなってきました。新人のときは、身体が小さいのでパワーでやられてしまい、スコンスコン抜かれてついていくのに必死でした。今は完全とはいえないですけれど、1、2年目に経験してきたことが身について、ディフェンスは上達したかなと思います。

——高校時代に3冠を獲得(インターハイ、国体、ウインターカップ制覇)してWリーグに入団しても、やはり高校生とWリーグとの違いは明らかに感じるものでしたか。

はい。私は高校時代に優勝しても、Wリーグは全然違う世界だと思って、覚悟して富士通に入りました。高校時代に優勝したからといって、すぐに通用するとは思ってなかったですけど、ひとつだけ通用したのはスピードでした。高さとパワーではかなわないので、スピードはやっぱり自分の武器にしなきゃいけないです。

——ここ数年、富士通はベスト4の壁を破れていませんが、司令塔の町田選手の目から見て、もっと向上させていきたいところは何ですか。

なんだろうな……(しばし考える)。多分、私自身が富士通の課題ですね。私自身がまだ安定していないので、ガードがしっかりすればチームはまとまると思うんですよ。私がまだガードとしてチームのみんなに「こうしてほしい」ということを伝えられていないと思います。今はみんなのやりたいプレイがバラバラになっているので、もっと私が確実な指示をして安定すれば、チームはまとまると思います。チームのみんなは本当にいいところを持っている選手の集まりなので、いちばんは私が上達しなければいけないと思います。

——町田選手を見ていると、自分のやることを最後までやり通そうとする“ひたむき”な姿勢が見えます。あまり顔に出さずに黙々とやるタイプですが、これは昔からのプレイスタイルなんですか。

私、それだけは高校時代から上島さん(正光コーチ)に「それがお前のいいところだ」と言われてきました。よく周りからも、疲れていても顔に出ないと言われます。言ってみれば、淡々とやっているみたいなんですけど……(笑)。顔に出さないようにしているのは、小学校のコーチの教えなんです。「ガードは疲れた顔をしたり、疲れた格好をするな」と教えられたので、小学校の頃から根付いているのかもしれません。でも淡々とやりながらも、ガードとして声を出して指示することはやりたいと思っています。

——今年は日本代表候補に入りました。日本代表の活動で得た収穫や手応えを聞かせてください。

本当にレベルが高かったです。ガードの選手を見ていても、リード力があると感じました。プレイが何もかもガードから始まっていたので、そこはすごく勉強になりました。

——日本代表候補として練習したことで、日本代表12名に入る目標は出てきましたか。

それはもう、出てきました。U-19代表でプレイしたときから、日本代表というのが身近な目標になってきました。実際に代表の選手たちと練習をして、ここに入ってプレイしてみたいと強く思うようになりました。やっぱり夢はオリンピックに出たいので、そのことを視野に入れて頑張っていきたいです。

——今シーズンの自分自身とチームの課題と目標を聞かせてください。

自分自身は2つの課題があるのですが、昨シーズンまでできなかった得点力アップを目指すことと、安定したリード力をつけることが目標です。今の状態ではシュートがないから(ディフェンスで)離しても大丈夫だろうと思われてしまうので、誰が見ても怖いと思われるガードになりたいです。

チームの目標は走るバスケットを目指しているので、みんなで走って速い展開に持ち込んで、優勝を目指します。富士通らしいバスケットが見せられるように、ガードの自分から積極的にプレイしたいと思います。


質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)


●町田選手の趣味は何ですか。時間があるときは何をしていますか?

私、つまらない人なんですよ(笑)。バスケットが好きだから、本当に好きだから、普段も時間があればバスケットのビデオを見ています。ちょっとでも休みがあると「あ、NBA見ちゃお!」という感じです。セルティックスが好きで、中でもレイジョン・ロンドが好きです。やっぱり、ポイントガードに目がいっちゃいますね。すごいプレイがあると、何回も巻き戻しをして参考にしています。基本、テレビっ子なので、空いた時間はテレビばかり見ています(笑)

●ニックネーム「ルイ」は名前からきていると思いますが、今まで特別なコートネームをつけてもらったことがありますか?

ずっとルイですね。そのまま名前で呼ばれています。「瑠唯」という由来は「ラモス瑠偉(プロサッカー選手)」からとったみたいです。両親がどっちもラモス瑠偉が大好きで、字は違うんですけど、3人目が生まれたら「瑠唯」にしようと決めていたと聞きました。でも、それだけが理由ではなくて、瑠璃色のような心を持った優しい人、という理由もあるみたいです。サッカーじゃなくて、バスケを選んでしまって申し訳ないですね(笑)

●自分から見た町田瑠唯の性格分析をお願いします。

私の性格は……かなりの人見知りです。いつも初めての人とはしゃべれなくて、笑って終わってしまいます。あと、変なしゃべり方をするみたいです。みんなによく言われるのが、私は話すときに手を使うみたいなんですが、話の内容と手の振り方がバラバラで、何を言っているのか、わからないみたいです(笑)。こうして聞かれると、自分のいいところを見つけるのは難しいですね…。先ほど「ひたむき」だと言ってもらえたのはうれしかったので、自分でも決めたことは曲げないでやっていきたいです。

●故郷・北海道の自慢をしてください!

めちゃ好きですよ。自然があって空気がおいしくて、のんびりゆったりして、人がとても優しいところが好きです。北海道はめちゃ雪が降るじゃないですか。私、雪が大好きで、雪かきを率先してやるくらい好きで、関東に来て雪が降らないことがショックなんです(笑)。こっちではたまに雪が降ると、みんなパニックになりますよね。なんで、これくらいの雪で学校が休みになるんだろうと思っちゃいますね(笑)

●Wリーグで仲のいい人は誰ですか?

札幌山の手のみんなと仲いいですが、同い年だと本川紗奈生(シャンソン)。中2の時に北海道選抜で一緒になってから仲良くなりました。いちばん何でも話す友達で、お互いに何でもわかりあえます。電話で話すと長いし、メールもしょっちゅうしています。私をバスケに誘ってくれたのは高田汐織(デンソー)。小中高と一緒で、小学校のときに私がマラソン大会で1位になったときに「バスケやらない?」って誘われました。そのときは友達じゃなかったんですけど、なぜか誘ってくれたんです(笑)。それからずーっと長い付き合いです。今思えば、汐織に感謝ですよね。


インタビュー&構成/小永吉陽子