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2005年9月15日(木)特集

一戦一戦、目の前のことを必死に戦う責任感強い日立HTのキャプテン

林 五十美選手(日立ハイテクノロジーズ スクァレルズ)

林 五十美

今回のゲストは日立ハイテクノロジーズのキャプテン、林五十美選手です。林選手は名門・名古屋短付高(現桜花学園)に入学し、当時より強いリバウンドを生かして主力として活躍。高3年時には全国大会で3冠を達成しました。卒業後は積水化学へ入部しましたが、廃部にともなって日立ハイテクノロジーズ(当時・日立那珂)に移籍。現在は高校からのチームメイトである山田久美子選手とツインタワーを組み、強力なコンビプレイを展開しています。昨シーズンは入替戦に出場する不本意なシーズンに。このオフはキャプテンとして、一から出直すチームを必死に引っ張ってきました。自分の考えを時間をかけて噛みしめながら話す姿からは、真面目に取り組むひたむきさが伝わってきました。

——シーズンが始まりました。仕上がり具合はどうですか?

そうですね、100パーセント仕上がっているとは言い難いですが、これから強くなっていくチームだと思うし、試合を重ねるごとに強くなっていくと思います。オフは走り込んできたし、ディフェンスの強化もすごいやってきました。そこは、自信を持っていますけど。初戦を負けてしまったのは痛いんですけど、これからまた練習で改善していきたいです。

——昨シーズンは入替戦に出場するという苦しいシーズンでした。反省を踏まえて振り返ってもらえますか。

自分たちの目指しているバスケットができなかったです…。

——それは、やはり梅嵜ヘッドコーチが代表チームの活動で不在だった期間が長く、追い込んだ練習ができなかったことが影響していますか?

いや、練習していた時は必死なんですよ。梅嵜さんがいないからこそ、やらなきゃいけないと思っていたし。自分たちだけでやっているからといって、妥協しているつもりは全然なかったし…。だから皆さんにそう言われるのが結果的に悔しいことなんです。でも、梅嵜さんがいるのといないのとでは、練習の質が全然違うから、そう言われてもしょうがないというのがありましたね…。

——練習の質が違うというのは、どんなふうにですか?

うーん…。緊張感の違いですか。解決するのが全部選手同士になるから、コミュニケーションは取れますけど、果たしてそれが本当に正しいのかどうかは…。的確なことを言ってくれる人がいないという辛さはありました。選手同士で言い合うのってイヤな時もありますけど、言わなきゃいけなかったし…。意見をもっと交換しなきゃいけなかったけど、上級生だけが言っていたりしましたね。そういうところで質が落ちていたのかもしれないです。

——そして、入替戦出場という苦しいシーズンになってしまいました。東京海上日動との入れ替え戦では力の差を見せましたが。

力の差はあったけど、あったのにあの点差でしたから…。自分は「やらなきゃ」というのでカラ回りしていましたね。絶対に勝てると思っていたけど、そこで慢心したらやられてしまうからしっかりしなきゃとか、本当にいろんなことを考えましたね。

——入替戦をやったことがある人は「二度と出たくない」と言いますよね。

入替戦は本当にイヤなんですよ……。以前、入れ替え戦に出たことあるんですけど(2000年、日立那珂(当時)は入替戦でトヨタ自動車に勝利してWリーグに昇格)、その時は2部(WI)だったので「やってやる!」と思ってたんですけど。入替戦って、追う立場と追われる立場では全然違うなあと思いました。追われるほうが精神的にキツイと思いますね。

——今シーズンはどんなバスケットを目指して強化してきましたか?

このオフにディフェンスの強化をしてきたので、ディフェンスで粘り強く最後までやることを目指しています。そこから走って、スピードと高さを生かしていきたいです。

——2年連続キャプテンですが、自分の役割は何だと思っていますか。

去年は……私がキャプテンということに誰も期待なんかしていないのに「私がやらなきゃ」とか「チームのために」とか、人のことを考えすぎてしまいました。今シーズンは、まずは自分のやるべきことをしっかりやろうと思っています。みんなしっかりしているし、ユウさん(大久保悠子選手)もいるし、自分がまとめようとそんなに気負わないで、自分の仕事をやろうと思います。

——プレイ面で自分のここを見てほしい!というところは何ですか?

そうですね、絶対というか、いや、ちょっと自信を持っているのはリバウンドです。オフェンスでもリバウンドに絡みたいし、テン(山田)が出ていない時は自分が取らないといけないし、絶対リバウンドだけは頑張ります。

——ちょっとの自信なんですか(笑)

いえ、リバウンドは絶対に頑張ります(笑)。リバウンド大好きですし。梅嵜さんからは「40分出るつもりで」と言われているので、そのつもりでやります。

——今シーズンの目標を聞かせてください。

毎年ベスト4って言ってるんですけど、今年こそ結果を出せるように。でも、まずは一戦一戦大切にというか、全力で戦ったら結果がついてくるという感じです。あとは……2ケタ勝利したいですね。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)

●五十美(いそみ)という名前は珍しいと思うのですが、由来は何ですか?

名前はおじいちゃんがつけてくれたんですけど、昭和53年生まれだから「五十美」になりました。「五十」が「いそ」で「三」は女の子だからうつくしいの「美」なんです。私、背番号も「53」で、それは五十美からきてるんですよ。昔は自分の名前が嫌いでしたね。読めないじゃないですか。「ごじゅうみさん?」とか。そんなのありえないのに(笑)。今は私らしいと思って大好きな名前です。

●趣味は何ですか?

最近、趣味になってきたのがギターです。前から興味があって、欲しかったのでこのオフに買いました。まだドレミファソラシドから練習中で、あまり触れてないんですけど(笑)。きっかけは、ウルフルズの「君だけを」という曲を弾きたいと思って始めました。チームメイトにはクリスマス会で「ギターを弾いてくださいよ〜」と言われるけど、それは絶対にムリムリ(笑)

●林選手はプレイしている時は怖そうに見えます(ごめんなさい)。普段はどんな性格ですか?

そうなんですよ。バスケしている時は怖いとよく言われます。バスケットの時と普段は別人だって(笑)。どんな性格なのかな…難しい質問ですね(しばらく考えて)。自分の嫌いなところは、人からよく思われようとするところです。自分では責任感が強いとかあんまり思っていないですけど、なんか手を抜けないというか…。だからバスケでは熱くなってコントロールができなくなってファウルをしてしまう。いけませんね(苦笑)。でも普段はのんびり屋だし、ネクラだと思うし(笑)

●今までバスケットをやってきて、一番うれしかったことは何ですか?

入替戦でトヨタに勝ったこと! あれは、本当にうれしかったんですよ。だから入替戦は両方の気持ちが分かるんです。

あともう一つは、3シーズン前に膝の前十字を切ってしまいまして。その時もキャプテンだったんですけど、キャプテンなのに手術やリハビリで練習ができなくて、みんなが練習をしているのを見ては泣いていました…。だから、復活してバスケットができるようになった時は本当にうれしかった。バスケットをやれる喜びや環境がありがたいと思いました。それからですね、やれる体があるうちはバスケットをやろうと思ったのは…。

●目標にしている選手や、憧れの選手はいますか?

ミラさん(永田睦子、シャンソン化粧品)です。まだひとつも勝てるものは持ってないんですけど、だからこそ燃えるというか、ミラさんからリバウンドを1本でも取れるとうれしいですね。ミラさんはディフェンスが2人いても3人いても向かっていくところが、ほんとすごいなあって思います。私もそうなりたいです。

構成/小永吉陽子