- 2005年7月1日(金)特集
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成長著しいトヨタのエース今年はトヨタと日本代表でフル回転!
榊原 紀子選手(トヨタ自動車 アンテロープス)

今回のゲストは、躍進著しいトヨタ自動車のエース榊原紀子選手。甲子園学院高ではウインターカップ準優勝、愛知学泉大では4年間負けなしと名門の道を歩んできている榊原選手が、入社4年目でトヨタのポイントゲッターへと成長しました。そのパワフルなプレイスタイルと、落ち着きを払った風貌はコートでも存在感バツグン! 今年は初の日本代表に選出され、まさに今、日本を代表するフォワードへと変貌を遂げています。6月のアジア選手権では残念ながら世界選手権の切符は獲得できませんでしたが、その悔しい思いが、榊原選手を一層成長させてくれるはず。アジア選手権直後にインタビューしました。
——昨シーズンは5年ぶりのベスト4。榊原選手にとっては初のベスト4でした。どんな手応えがあったシーズンでしたか?
そうですね。もうちょっと勝てた試合もあったんですけど。まあ、やっと勝ちが多くなってきたのかなというのが率直な感想です。いつも勝負かがった大事なところで負けたり、接戦で負けたり、結果に結びつかないことが多かったから。でも去年はいくら競っていても勝てた試合が多くて、それが力になっていったと思います。
——チームが成長した要因は何ですか? チーム力がついたという実感はありますか?
ありますね。チームが伸びたのは丁さん(ヘッドコーチ)が来てからですね。いつもオールジャパンでは良かったけど、リーグだと3クール目で1勝しかできないとか、ダメになっていきましたから。でも、昨シーズン(力が)落ちずにやれたのは体を作ってきたからだと思います。特に4、5月に走り込みとかしました。その分、今年私は(日本代表でチームを離れているため)まったくやってないので心配ですけど…。チームは今頃、足腰鍛えている頃だと思います。あとやっぱり、桜庭さんが入ったことが大きいですね。パスがどんどん回ってくるので、やっていて楽しいし、打ちやすい。桜庭さんのパスはいいところでボールが飛んでくるという感覚。動いたらボールが来る安心感や信頼があります。
——この1、2年の活躍を見ていると、「エース」という自覚が出てきたように思います。
そんなには意識してないんですけどね。まだ上には桜庭さんも矢野さんもいるし、自分はまだダメな部分もあると思うし。「自分がエースだ、エースだ!」というのはそんなには思ってないです。でも、みんなが調子悪くなった時には「私がやらなきゃ!」というのは強く思い始めてるんですけど。いかに自分が引っ張っていくかというのは常に頭に入れてやっています。丁さんにはいつも「お前がやれ!お前がやれ!」ってさんざん言われてるので(笑)
——トヨタは今シーズン勝負できるメンバーが揃いました。今シーズンの目標は?
やっぱり今年は4つじゃなくて、何とかファイナルに行きたいです。みんなも「今年はやる!」と言ってますし。他のチームはエースの方が引退したり、移籍したりそういうのがあるけれど、うちは一人も抜けてないので今年がチャンスだということはみんな分かっているし。一つでも多く勝って上に行きたいです。
——今年は日本代表にも選ばれました。率直な感想は?
やっぱり、素直に思うのは丁さんのおかげだなと思います。丁さんにバスケットを教わってここまできたと思っているので。丁さんも喜んでくれたし、私もうれしかったです。
——はじめてプレイしてみて、榊原選手が感じた「日本代表」とはどんなチームですか?
今までユニバとかWJBL選抜には選ばれていたんですけど、「日本の国旗を背負って!」という意識はそんなになかったんです。それが、実際に日本代表に入ってみて重みが全然違うと感じます。人から見られている、期待されている使命感みたいなものがありますね。
——日本代表での自分の役割は何ですか?
それはもう、3Pシュートを決めること。遠い距離でも必ず打って決めることです。試合にはあとから出て行く役目だったのですが、何分出場しても自分の使命を果たそうと思ってました。
——アジア選手権は残念ながら4位(3位決定戦でチャイニーズ・タイペイに敗れる)。榊原選手は3決では、逆転をかけた終盤に起用されました。その時の心境は? また、大会を終えての胸の内を聞かせてください。
3決は出たくて出たくて、うずうずしていました。出たらすぐにスリー打ってやるぞと。だから、出てすぐに打ったスリー、あれは絶対に決めたかったです……。大会を通しては、やっぱりもっと試合に出て活躍したかった。それはしょうがないことですけど、もっと爆発したかったなと…。
それにしてもタイペイには本当に勝ちたかった…。チームが結成した時は荒さん(ヘッドコーチ)のバスケットに慣れない部分もあったんですけど、絶対に世界選手権の切符を取ることをみんなで目標にやってきたので、タイペイに負けたことは本当に悔しかった。今はその思いでいっぱいです。今度はWリーグに気持ちを切り替えてやっていきます。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●今までで思い出のゲームは何ですか?
いっぱいあるなぁ…。いっぱいあるけど、やっぱり2部(WI)時代のゲーム。私が1年目の時はトヨタは2部で、リーグでは富士通に勝てなかったんですよ。それで富士通との最終戦もやる前から「シュン」としてる感じで、前半は20点近く負けてたんですけど、後半がすごかった! 今まで1回も練習していないディフェンスを一か八かやったら引っかかって逆転しました。それはもう、うれしかったですね。みんなでグワーッとはしゃいじゃって。試合に勝ってはしゃいだのは、あの試合がはじめて。それから入替戦でも勝って1部(Wリーグ)に昇格しました。学泉の時も優勝して喜んだけど、「勝つのが当たり前」みたいなとこがあって、そこまでグワァーッと喜んだことはなかったですね。
●見た目は頼れるイメージですが、ご自身の性格はどんな性格ですか?
こう見えても性格はけっこう優柔不断で(笑)。けっこうみんなからは「怖い」と言われます(笑)。本当は怖くないはずなんですけど、見た目と関西弁が怖いと言われます。関西人にとっては普通にしゃべっているだけなんですけどね。後輩にも優しいし…なんて(笑)。普段はあんまり騒いだりはしないです。落ち着いてるというか、けっこう冷めてるほうかと。
●WJBLで仲のいいプレイヤーは誰ですか?
学泉で一緒だったまゆみ(富士通・船引選手)とは仲いいです。あとはリズ(シャンソン・相澤選手)さんを忘れちゃいけないですね。リズさんにはユニバでお世話になりました。
●ライバルや手強いなあと思う選手はいますか?
誰だろう…? やっぱりマッチアップしている人ですかね。よくマッチアップしているサチコ(シャンソン・石川選手)だったり、同い年の人には絶対に負けたくないですね。
●普段の楽しみや、趣味は何ですか?
趣味は…前はよくゲーセン行ってUFOキャッチャーやったりしてました。日本代表の合宿の休みの時にも行きました。うまいほうですよ。つかむというより落とすのがコツです(笑)。あとはドライブが好きですね。自分で車を運転して、いろんなところに行って気分転換しています。もちろん車はトヨタです(笑)
(構成/小永吉陽子)