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2005年6月15日(水)特集

JOMO の新キャプテン。気負わず挑戦者としてシーズンに挑みたい

川畑 宏美選手(JOMO サンフラワーズ)

川畑 宏美

今回のゲストはJOMO の新キャプテンに就任した川畑宏美選手。走力、ミドルシュート力、リバウンド力を兼ね備えたパワーフォワードとして、JOMO の4連覇に貢献し、昨年はアテネ・オリンピックに出場するなど、経験を積んできたプレイヤーです。普段はマイペースでおっとりしている川畑選手ですが、実は頑固な一面も。今季、“新生”JOMO と日本代表では、経験を生かしてチームを引っ張る立場になり、その責任感も大きくなったようです。このインタビューはアジア選手権直前に実行。新チームとなり不安こそあれど、必死にチーム力を高めている真っ最中に心境を聞いてきました。

——今シーズンはJOMO のキャプテンに就任しました。

そうなんですよ。順番的に考えると私だろうという実感はあったんですけど(笑)。今年はリョウ(矢野良子)が抜け、さらに若返り、なおかつ私とシン(大神雄子)がナショナルの合宿に行っているので、まだみんなと一緒に練習していないので実感がわかないです。ただ、“JOMO のキャプテン”というと伝統とかありますけど、そういうことを重く感じないようにしています。名前はキャプテンですけど、キャプテンと思わずに……というか、気負わずにプレイしようと。そんな中で、声をしっかり出していきたいです。

——昨シーズンは4位。今振り返ってみて、チームは何が足りなかったのでしょうか。

コミュニケーションが取れなかったです。だから「ここ!」という時にチームがひとつになれなかった……。今まではマック(浜口典子)さんがチームプレイの起点となっていたのに、昨シーズンは結局、1対5のプレイになっていたんですね。一人が1対1を仕掛けて、そこでつぶされて逆速攻を食らったり…。みんなで動いてバスケットというのがなかったと思います。新しいチームになるのは時間がかかるというか、歯がゆかったです。

——その反省点を踏まえて、今シーズンの課題と目標を教えてください。

うまくいってない時こそまとまらなきゃいけなかったのに、結局まとまれなかったので今年はひとつのチームになることが課題です。言葉で言えば「優勝」ということなんですけど、自分としては納得いくシーズンで終わりたい。最後にみんなで笑いたいです。あとは結果だけにこだわらず、いろんな意味で楽しいシーズンにしたい。私たち、もう守るものがないというか、下がるところまで下がっちゃったので、あとは挑戦者として上るだけです。

——話は変わって日本代表についてお聞きします。これまでのチームからヘッドコーチもメンバーも変わりました。アジア選手権を目前にして、チームの仕上がりはどうですか?

JALというか、荒さん(女子代表ヘッドコーチ)の練習は長いんですよ(苦笑)。ヘッドコーチが変わってシステムが違ううえに、結成して時間もなくて覚えることがいっぱいなので、余計に長く感じるのかな? メンバーが変わって息を合わせるのにチグハグしているので、時々「これで大丈夫かな」という不安はあります。今まで自分たちが何年間もやってきた動きと違うことを求められるので、踏ん切りが悪いというか……。でも大会はもうすぐだから、何とか間に合わせようと今は必死にやっています。

——そんな中で、川畑選手の役割は何でしょうか?

ディフェンスとリバウンドです。身長が低いので走ってリバウンドは絶対。私はディフェンスから自分のリズムを作るので、そこからゲームの流れをつかんで、チャンスがあれば攻めていきたいです。とにかくリバウンド、ルーズボールはしつこいくらい課題です。

——若返ったメンバーの中で、川畑選手は経験を生かしてチームを引っ張っていく立場になってきましたね。

そうですね。今まで日本代表の活動をしてきた選手が引っ張らなきゃいけない立場になりました。スタッフからはたまに「チームがルーズな感じがする」とか「緊張感がない」と言われることがあるんですけど、私たちがプレイでも生活面でも先頭に立って「さすが日本代表」と言われるように行動しようと思います。今まではエース(大山妙子)さんとかお姉さんたちがいて、私たちはお姉さんについていけばいいというのがありました。今は同世代が多く、仲はいいけれど、逆にそこがルーズな面になって出ている部分があるので…。

——とはいえ、世界選手権予選を兼ねたアジア選手権はもう目前。戦う気持ちになってきましたか?

もうすぐ試合なのに、このままでは難しいというか、不安はけっこうあります……。自分は空回りしそうでこわいです。でも…世界選手権には絶対に出たい! それはみんな同じ気持ちだと思います。課題ばかりですけど、大会までに何とかレベルアップしたいです。

——アジア選手権の抱負を聞かせてください。

はい。世界選手権の切符を取ることです! 今こうして話をしていたら、(前向きな)気持ちを自分から口に出していかないといけないと思いました。頑張って試合してきます。

質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)


●バスケット以外で得意なスポーツは何ですか?

得意ですか〜!? バスケットも得意とは言えないですけど(苦笑)。これ、あまり言いたくないんですけど…中学時代に陸上をやっていまして、期間限定で夏休みだけ活動していたんですよ。それで私は円盤投げと砲丸投げをやってたんですけど、県大会で両方とも優勝しました。これ、ある意味すごくないですか?(笑)。円盤投げと砲丸投げだとうれしいような、恥ずかしいような(笑)。高跳びとかカッコイイ系が良かったんですけど(笑)

●このオフは何をして過ごしましたか?

実家に帰って甥っ子と遊びました。姉の子どもで愛斗(まなと)と言って、去年の4月に生まれました。ハイハイしてすっごい動き回るんです。それがもう、すんごいかわいくて、ずっと一緒にいましたね。今の癒しは甥っ子です。あとは実家の車で海に行ってボーッとしていたり、中学時代の担任の先生に会ったりしていました。今まではシーズン後に日韓戦(日韓Wリーグ)があったり、代表の合宿に入ったりしてオフが5日間くらいしかなかったんですけど、今年はセミファイナルで負けたので1か月くらいありました。こんなにゆっくりできたのは久しぶりです。

●今、ハマっていること、興味があることは何ですか?

ハマっていることって何だろう…? うーん…これも甥っ子ですかね。甥っ子にハマってますね。私が姉に甥っ子の写メールを要求してるんですけど、それが毎日楽しみです。今は歩いたと言っていたので、早くその姿が見たいですね。もう親ばかみたいです(笑)。甥っ子の写メールを見るのが活力になっていて、それでアジア選手権も頑張ろうと思ってます。

●憧れや目標のプレイヤーはいますか?

女子アメリカ代表のケイティ・スミスが好きです。白人の選手で180㎝くらいのフォワード。すごいパワフルで男らしいというか、ああいうふうにプレイしたいです。数年前に日本に来てゲームした時に一目惚れしました。そこから追っかけじゃないですけど、去年遠征に行った時に「ハーイ、スミス!」とか話しかけて顔を覚えてもらいました。試合後にセカンダリーをねだりに行ったんですけど、ナツ(薮内夏美)さんもファンだと言っていたので、そこで戦争ですよ(笑)。私が先に行ったのでゲットできたけど、ナツさんはあとからバッシュをもらってました(笑)

●将来の夢は何ですか?

自分がやってきたバスケットを広めるために力になりたい。コーチではないですけど、小さい子たちと一緒になって遊んだり、バスケの楽しさを伝えるきっかけ作りを手伝いたいです。あとは、甥っ子がわかるようになるまでバスケを続けたいというのがあります。そのめたにも、世界選手権の切符を取らないと!

構成/小永吉陽子