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2005年6月2日(木)特集

自分の意志で切り開いた新たな道プラス思考でWJBLにチャレンジ!

和田 麻美選手(荏原 エバラヴィッキーズ)

和田 麻美

前回に続き、今回もトライアウトにて入部を決めた選手の紹介です。荏原に入社した和田選手は、幼少の頃からピアノを習い、中学時代は陸上部に所属。戸畑商高時からバスケットをはじめたという異色プレイヤー。鹿屋体育大時代は2、3年時にインカレ6位が最高成績。大学卒業後は福岡の名門・福岡クラブでプレイ。昨年、一昨年は福岡代表として国体に出場しました。「これまで自信のないバスケット人生を送ってきた」と振り返る和田選手ですが、トライアウトというチャンスをモノにし、新たな道を開きました。「何事も前向きに頑張る選手。何より元気があっていい」と、坂根監督も期待を寄せるルーキーです。

——まず、トライアウトを受けようと思った理由から聞かせてもらえますか。

はい。大学を卒業してアルバイトをしながら福岡のクラブチームに入ったんですけど、1年弱プレイしてきて自分の中でバスケに対する意欲が薄くなってきていて、辞めようと思い始めたんですね。その時、地元で初心者の方がやっているクラブチームに誘われて行ったのですが、そこではみんなが楽しんでバスケをやっていて、「バスケは楽しんでやるもの」ということに気づかされました。一生懸命に楽しくやっている姿に心を打たれたんです。その後、クラブチームの試合でいいプレイができたこともあって、自分に自信もつきました。楽しむことを思い出したのと自信がついたことで、タイミングよく自分にプラスになることが立て続けに起こったので、次第に「このままアルバイト生活を続けていていいのかな」「もっと上のほうでやりたい」という思いが出てきました。そんな時にトライアウトの話を聞いたので、受けようと思いました。

——トライアウトの話を聞いたのは誰からで、いつ頃聞いたのですか?

以前に荏原にいた山下(春香)選手からで、昨年の5月でした。山下選手はその日だけ(福岡の)国体の練習に参加していたので、ほんとに偶然でした。あの練習で山下選手に会ったのも何かの縁で、プラス思考に考え始めた時だったから運命だったような気がします。

——トライアウトを受けた手応えはどうでしたか?

シュートが全然入らなかったので、すぐに切り替えてディフェンスを頑張ろうとか、走ることを頑張ろうと思ったら、それはやれたんですよ。だから、手応えとかは全然感じなかったんですけど「バスケットがやりたい!」と思って自分から動いたのがこのトライアウトがはじめてだったので、私の中では満足でした。

——「意志を持って動いた」のがはじめてということですか?

はい。私は高校からバスケを始めたんですけど、高校にバスケで入学する時も、大学に入学する時も、最終的には自分の意志かもしれないですけど、先生の勧めだったり、親の勧めだったので、自分から「やりたい」と意志を持ってやったのがはじめてでした。だからトライアウトを受けて、気持ちを切り替えながらプレイできたことに満足でしたね。

——荏原に決まった時の気持ちは?

声をかけていただくなんて思ってもみなかったです。もう信じられなくて…。やっぱり、考え方を変えたことが大きかったのかなと思います。今まで自信が持てなくていつもマイナス思考だったんですけど、地元のクラブチームの人と触れ合った時から、「バスケを楽しもう」と思えるようになり、プラスに考えるようになりました。だからシュートが落ちても切り替えられるようになったし。荏原に決まった時は「考え方ひとつでこんなに変わるのかなー」というのが率直な感想でしたね。あとは「東京のチームかぁ」と(笑)。私、東京にすごく憧れていたんですよ。だから東京に行けるのがうれしかったですね。

——WJBLではどんなプレイヤーを目指していますか?

荏原ではスクリーンプレイを使うことが多くて、今まで私がやってきた(センターが)ゴール下中心のバスケットとは違います。センターもどんどん外に出るし、スクリーンをかけて相手を使っていいチャンスを与えたりするし、だから今は習うことがいっぱいなんです。ゴール下で確実な得点を取ったり、スクリーンをしっかりかけてチームメイトに点を取らせたり、リバウンドをしっかり取ったりと、やることがたくさんです。新しく学んだことをどんどん出していきたいです。

——「ここを見てほしい」という得意なプレイは何ですか?

ハイポストからのシュートが得意というか、好きですね(笑)。あとはバックシュートが得意…というか好きですね(笑)

——WJBLでの目標は何ですか?

チームでの目標はWI優勝、Wリーグ昇格。センターとしては、今までは自分が使ってもらうタイプだったんですけど、荏原では相手を使ってやろうとか、相手をいかにうまく生かせるとか、今までになかったことを荏原で学んでいきたいです。それと、足腰を鍛えて1分でも1秒でも試合に出てチームに貢献したいです。あと、自分はリバウンドを頑張らないといけないので確実に取れるようにやっていきたいです。目標いっぱいです(笑)

——高校からバスケットをはじめてWJBLの一員になれた和田選手の存在は、夢があるし、励みになりますね。

はい。そうなってもらえればいいなと思っているんです。実際、上のリーグでバスケをやりたくてもやれない人っていっぱいいるし、私のようにマイナス思考になったことがある人も、それを乗り越えればチャンスがある。私のような人でも頑張ればWリーグでプレイできることになったのだから、トライアウトというのはいい制度だと思いますね。

和田麻美データ

1980年7月17日生まれ
180㎝/センター
北九州市立戸畑商高出身


●仕事

今年の2月に中途採用で入社。得意の簿記(?)を見込まれて経理課に配属。2月からチームに合流して練習生として参加し、4月から正式な部員に。平日は朝8時から16時半まで勤務し、その後練習。日曜は休日。「朝は早いし仕事とバスケの両立ってこんなにも大変なんだと実感しています。バスケと仕事の切り替えが難しいです。実は数字が一番苦手(苦笑)。克服できればいいなと思って経理の仕事を頑張ってます」

●憧れの東京

上京は今年1月。趣味は東京の街や景色を見ること。会社の窓からボーッと景色を見るのが好き。「私、福岡の田舎育ちなので、ビルとか何にもないところで育ったんですけど、なぜかビルのネオンを見ていると落ち着くんです。だから前世は都会っ子だと思いますね(笑)。上から見下ろす東京の街が好き。人混みも好き。だからすぐに慣れると思います」

●目標の選手

シャンソンの永田選手。ゴール下の強さ、腹筋背筋の強さ、ボディバランスの強さに憧れている。「2〜3年前のオールジャパン決勝のビデオを1本だけ持っていて、そればっかり見ていてファンになりました。今年はじめて生でファイナルを見て、さらにすごいと思いました。チームでは先輩のタカ(高木)さんが目標。1対1をしてもビクともしない。自分はまだまだです」

構成/小永吉陽子