- 2005年5月11日(水)特集
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負けず嫌いな性格とスピードで一生懸命、頑張るだけです!
井上 望選手(日本航空 JALラビッツ)

今回から2回にわたり、昨年秋に実施されたWリーグ初のトライアウトに合格し、晴れてWリーグに入部した2名の選手を紹介します。最初のゲストは日本航空に入部した井上望選手。井上選手は父であり、香川・英明高のコーチである晃氏の指導を受けるため、中学時代から部活には所属せず、英明高の練習に参加していたという異色選手。明善中時代は公式戦に一度も出場したことがないにもかかわらず、2年連続でジュニアオールスターに選出。当時よりスピードと得点力を兼ね備えたガードとして活躍してきました。日本航空の先輩たちが「頑張り屋」と言うだけあり、今回のインタビューでも、ルーキーながらひとつひとつの受け答えがしっかりしていて、意志の強さを感じることができました。
——入部おめでとうございます。4月から日本航空の一員となってみて、実際に練習に参加した感想は?
まだ入ったばっかりなので引っ張られているし、今は言われたことを精一杯やっている感じです。ナツ(薮内夏美)さんとか、カナ(矢代直美)さんとかが、私のできないところをアドバイスしてくださって精神面でフォローしてくださるし、体を張っていろんなプレイを見せてくれています。皆さん尊敬できる先輩たちばかりです。それに先生(林ヘッドコーチ)はすごく細かいところまで教えてくださるので、要求されたことをしっかりできるようになれば、自分もきっと使ってもらえると思ってやっています。一生懸命やっていくだけですね。
——さて、井上選手といえば、初のトライアウトに合格した選手ですが、トライアウトを受けようと思った理由を聞かせてください。
小さい頃からの夢が日本のトップリーグでやることだったので、大学に進学するより早いうちに実業団に入りたいと思っていたので受けました。(Wリーグから)声がかかれば一番良かったんですけど、トライアウトといういい機会に恵まれたので、それを利用して受けました。トライアウトのことを知った時はすぐ受けようと思いました。
——トライアウトの実技では手応えを感じましたか?
はい!(即答)。良かったと思います。アウトサイドのシュートが入ったのと、ドライブインとか、速くボールを運んだりパスをしたりとか、スピードを前面に出そうと思っていたので、それが実行できました。自分の中でもかなりいい手応えがありました。
——実際に、日本航空から指名された時の気持ちは?
すごくビックリしてしまって。トライアウトの時は指名のこととか考えてなくて、ただいつも通りにバスケットボールを楽しくやって、それで認めてもらえればと思っていました。しかも日本航空というリーグのトップチームから声がかかったので、ビックリの一言です。合格した時は、まだウインターカップやオールジャパンがあったので、自分のチームのことを一番に考えていて実感が沸きませんでした。今年の2月頃かな…やっと、「自分は日本航空に入るんだ」という気持ちが沸いてきました。
——高校のコーチであり、お父さんの晃さんは日本航空に入部が決まって何と言ってくれましたか?
「自分の好きなところに行ってやりなさい。選手は望まれた環境でやるのが一番だから」と言ってくれました。
——昨シーズンの日本航空の大活躍を見てどう思いましたか?
もうずっと応援していました! やっぱり同じポジションとしてナツさんに目がいってしまうんですけど、ナツさんのプレイを見て「自分に生かせるところはないかな」と思いながらテレビを見ていました。ガードとしてもバスケットボールとしてもお手本という面では、日本航空は今までも一番よく見ていたチームだったんですよ。
——Wリーグでは、どんな持ち味で勝負していきますか。
ガードとしてナツさんと同じスタイルではやっていけないし、チームには同じようなガードはいらないと思うので、自分は自分なりに小さいからこそできる速さとかクイックネスで負けないようにしたいと思います。
——今後の目標は何ですか?
まず目の前の目標としては、はじめて親元を離れたので早く環境に慣れて、日本航空のバスケットボールを早く覚えることです。そして、一試合でも多く試合に出たいと思います。大きな目標は、将来は日の丸をつける選手になりたいですね。
——井上選手を見て夢を持った選手も多いと思います。そんな人たちに一言お願いします。
トライアウトからでもWリーグに入れるということを知ってほしいし、私を見てトライアウトを受けてWリーグに入る人がいっぱい続けばいいなと思います。自分はそういう人たちに夢を与えられる存在になりたいし、応援してくれる方には私が楽しくバスケットボールをしているところを見てほしいですね。Wリーグでは小さい身長なんですけど、自分は負けず嫌いなので、その気持ちで頑張りたいと思います。
井上望データ
1986年5月15日生まれ
164㎝/ガード
香川県英明高校出身
●目標の選手
目標はガードとしてチームで大先輩の薮内夏美。好きな選手はアレン・アイバーソン。「NBA大好きでいつもシクサーズの試合は見ています。Wリーグでは日本航空のプレイをいつもお手本にして勉強していました。そんなチームの一員になれて本当にうれしいです」
●性格
とにかく負けず嫌い。その性格は「小学校の時から父がコーチをしていた高校の練習に参加していたので、周りより小さくて、年齢が若くても対等にやりたかった」という環境の中で培われたもの。「でも納得がいかなかったり、他人に負けていると思うと泣いてしまうんです。そういうところは泣き虫だなーと思います。あとはお調子者です(笑)。人に見られるとすごく楽しくなって頑張れます!」
●慣れない東京での生活
3月15日に入寮。地元・香川と比べて都会の街にビックリ!「寮の周りは地元と変わらないような商店街なんですけど、都心に出るとありえない高さのビルがあったり、電車と車の量がすごいのが一番の驚きですね。特に電車は何本もパッパッパッと来るじゃないですか。地元は1時間に1本か2本しか来ませんから、ホント田舎です(笑)。今まで原宿や渋谷に買い物に行ってみたんですけど、人の多さにビックリして疲れてしまいました。あの人たちはどっから沸いてくるんですかね? 今はバスケットボールをやることに精一杯で、休日になると抜け殻のようにボーッとしています(笑)」
構成/小永吉陽子