- 2005年4月15日(金)特集
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息つく間もなかった長い1年間日本一も反省もしっかり受け止めます
矢代 直美選手(日本航空 JALラビッツ)

今回のゲストは、2004−2005シーズンにセンター部門でベスト5を受賞した矢代直美選手です。矢代選手はステップインプレイを得意とし、ディフェンスやリバウンド、速攻の先頭を切って走ったり、自分のできることを黙々と頑張るプレイヤー。日体大時代に「走れるセンター」として頭角を現し、インカレでは3、4年次に2年連続敢闘賞を受賞。日本航空に入社してからは、新人王やフリースロー賞に輝いています。2001年に日本代表入りし、昨年アテネ・オリンピック出場を果たしました。いつの取材でも「自分のできることを精一杯」「前を見ないで今を精一杯」と語っている矢代選手。今回の取材でも現在の自分としっかり向き合っている姿がありました。
——今年度はアテネ・オリンピックがあり、オールジャパンで初優勝を果たすなど、実りの多い年だったと思います。Wリーグファイナルは残念な結果でしたが、振り返ってみてどんな1年でしたか?
今年はすごく長く感じました。リーグ戦もそうだし、オリンピックがあった年だったので、長くていろいろなことがあった年でした。今まで経験したことのないような1年。忙しいというか、息をつくヒマがなかったですね。
——そんな中で、一番印象に残っている出来事は何ですか?
やっぱり、オールジャパンで優勝したことですね。決勝戦に関しては、自分たちのやることができたと思います。私たちのチームは、今まで誰も「日本一」というのを経験したことがないんですよ。なので、日本一になったのは本当にうれしかったです。日本一というのは経験してみないとそのうれしさは分からないと思うし、誰も経験したことがない分、未知の世界だったと思うし。「日本一は本当にいいもんだな」と思いましたね。オールジャパンでは、とにかく「自分の仕事をやる」ということで臨んだら優勝できました。会社や応援団の方がたくさん応援に来てくれて、みんな喜んでくれました。
——初優勝ということで、周囲の反響がすごかったのではないですか。
それはもうすごかったです。会社の反響はもちろんですが、私たちの寮があるところの商店街では、優勝の垂れ幕を作ってくれました。商店街をあげてみんなで「おめでとう」と言ってくれて、地元の愛を感じました。
——WJBLファイナルではシャンソンに敗れてしまいました。敗因は何だったと思いますか?
1戦目は勝利しましたが、2戦からの3連戦はチームがうまく機能しなくて、流れが噛み合わなかったです。
——シャンソンのやることに対して、うまく対応ができなかった感じがありましたが。
そうですね。リーグ中でもシャンソンがやってくることに対しての対応の練習や、ファイナル1戦目のあともシャンソンの研究はしていたんですけど、決勝に関しては、自分たちで空回りしてしまったような気がします。それはあとで考えてみて思ったことなんですけど…。考えすぎたというか「こうやってくるから、こう対応しよう」と言いながらも、試合中は判断が悪かったです。
——決勝進出は2回目ですが、2年前の決勝と何か違いましたか? また同じチームと連戦する難しさは?
連戦でしたが、一発勝負のオールジャパンとは違う緊張感を感じました。3戦、4戦を戦う中で、相手と読み合いをするというのは難しいですね。やっぱり、まだファイナルに2回しか出ていないというのは、経験が足りないのかなと思いました。でも、前回のファイナルとは気持ちが全然違ったんですよ。前回はセミファイナルに勝って喜んでいましたけど、今回は優勝したいという気持ちでやっていたので、臨み方は違いました。
——ファイナルでの自分の出来はどうでしたか? 試合に出てない時間帯が多かったと思うのですが。なぜ出ないのか、とても気になりました。
私の場合は…ファイナルに関しては、(出来は)ゼロですね。3戦目から試合に出ない時間が多くなったのは、私の調子が悪いということで監督に下げられたのだと思います。チームの役に何も立たなかったので…。大事な場面で必要とされる選手になりたいと思います。
——反省点がたくさん出ましたけど、今シーズンの収穫点は何ですか?
ファイナルに関しては後悔ありますけど、長いシーズンとして見ると、たくさんの経験ができたと思います。シーズンが終わって一番に思ったのは、私は技術があるタイプではないので、ディフェンスをしたり、走ったり、リバウンドを取るといったことを中心にやってきましたが、その基本は忘れないで、これからはもっと冷静にチーム全体を見てプレイを作り出す選手になりたいと思いました。そういうことはガードの仕事としてナツ(薮内)がやっているのですが、それを一人がやっていると難しいと思うので。センターもそういうことができれば、チーム全体のプレイの幅が広がると思います。
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●身長182㎝の矢代選手。どうやったら身長が伸びますか?
これは何ですかね、遺伝ですかね? 高校の時に身長が一気に6、7㎝くらい伸びて、180㎝くらいになりました。兄も192㎝くらいありますし、母も昔の人にしては大きくて163㎝くらいあるので、遺伝だと思います。あとは隔世遺伝なのか、祖父も大きいんですよ。おじいさんなのに、170㎝くらいあります。あとは、よく食べて寝ることかな(笑)
●自分の精神状態が不安定な時はどのように乗り越えますか?
うーん…すごい質問ですね。精神状態が不安定な時というのは、そんなにないと思います。それとも、自分では不安定だと分かってないだけかもしれませんが…。どうなんでしょう? こういった取材とかは苦手ですけど、普段はよくしゃべったりしますし、チームメイトといると楽しいので、不安定なことはあまり感じませんが…。私の場合は、気持ちが不安定というのは、バスケがうまくいかない時ですね。その時は不安なことを取り除くためには、必死で練習するしかないと思います。オリンピックが終わって開幕を迎える時も、不安定というか「大丈夫かなぁ」と不安でしかたなかったので、その時は必死に練習しました。練習するしかないですね。そういう答えでいいでしょうか?
●薮内選手のインタビューでは、薮内選手がツッコミで、矢代選手がボケ担当と言ってました。それは本当ですか?
えーっ! ボケ!? 私ボケ担当ではないですよ。結構、ナツもボケてるんですよ。すっごい方向音痴だし、意外と単純なことが分からなかったりするし。しっかりしているのか、ボケているのか分からないですよ(笑)。2人でいても、私はそんなにボケてないと思うんですけどね。ボケてるのかな? うーん、ナツのその回答は納得いかないですね。まあ、お互いにないところを補っているということにしておいてください(笑)
●自分の性格は、どんな性格だと思いますか?
うーん、どんな性格でしょうね? 前向きな性格であるとは思います。あとは…いろいろなことを何も考えてないかもしれません。これはいいのか悪いのか分かりませんが…(笑)
●何をしている時が幸せですか?
寝ている時とお風呂に入っている時と、食べている時です。なんか、本能のままですかね(笑)。あとはみんなでワイワイしている時ですね。みんなといる時は楽しいですね。
構成/小永吉陽子