- 2006年3月21日(火)特集
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チームの中核を担う戦手に成長モットーは「地味にやること」
渡辺 由穂選手(日立ハイテクノロジーズ スクァレルズ)

日立ハイテクノロジーズの中核を担う選手として期待されている渡辺由穂選手が今回のゲストです。市立船橋高時代よりシュートとリード力を兼ね備えたガードとして注目され、富士通に入社。富士通には5年間在籍し、オールジャパン準優勝の喜びを味わっています。昨シーズンより日立ハイテクノロジーズに移籍。PGもSGもできるガードとして、小気味良い動きを展開しています。今季はケガで出場時間が短かった昨季の分も奮闘し、28試合すべてにスタメンとして出場。シーズン終了直後に感想などを聞きました。
——今シーズンは最終戦で入替戦回避が決定するという、壮絶な戦いを展開しました。振り返ってみてどんなシーズンでしたか?
最後の4クール目で、それまで勝てなかったチームに勝てたのは良かったです。だけど、4クール目で三菱に負けたのはちょっと良くなかったです…。それまでの3戦は勝っていたのだから、最後に自分たちの甘さが出たのだと思います。全体的には昨シーズンよりも手応えはあったので、勝負する感じはつかめたと思います。手応えと甘さの両方が出たシーズンでした。
——自分の出来はどうでしたか?
波がありました。シュートに関して言えば、いい時と悪い時がありました。自分では変わりなくやっているつもりでも連戦になるとダメでした。今日が良くても明日はダメみたいな。その違いは何だろうというのが自分でも分からないで、波をなくしたいです。
——正直いって、入替戦のことはどのあたりから意識して戦っていたのでしょうか?
最初は意識していなかったけれど、勝ち星でうちと三菱が取り残されたあたりから意識しました。入替戦って本当にイヤです。富士通が2部(WIリーグ)の時に経験した入替戦は捨て身でぶつかることができたけれど、1部(Wリーグ)で入替戦に出場すると、どうしても受け身になってしまうんです。受ける立場だとやりにくいと思うんですね。それがイヤだとみんな知っていたので、入替戦に出なかったことは良かったです。
——富士通から移籍して2年目の今シーズンは、昨年よりもチームに慣れたという印象を受けました。
それはあります。昨シーズンは移籍したばかりというのもあったし、左膝のケガもあって練習する時間が短かかったので7試合しか出ることができませんでした。今シーズンはチームのみんなに私のプレイが分かってもらえたという気はしています。
——富士通にいた頃と現在では、自分自身のプレイや意識面で変わったことはありますか?
富士通の時は上級生がいてゲームを作ってもらったし、気持ちの面でもサポートしてもらったので自分はシュートを打つだけでした。ハイテクに来てからは自分が上にならなきゃいけないのが最初は不安でしたけれど、何とかやっています。移籍の名前を出した時は引退も覚悟したし、まさか拾ってくれるとは思ってみませんでした。だからハイテクに感謝しています。
——ところで話は変わりますが、インタビューを聞いていると、渡辺選手はすごくマジメなように感じるのですが、自分ではどんな性格だと思っていますか?
性格ですか?(かなり長い時間考える………)えっと、基本的には単細胞というか、あまり考え込まないタイプです。
——チームガイドには「オフはパァーッと盛り上げ隊長」と書いてありますが(笑)
そうでもないんです(笑)。1人で単に盛り上げるというか…。みんなを率先して盛り上げるわけではありません。
——バスケットに関してもマジメに取り組んでいる印象があります。
地味なんです…(笑)。私自身は派手ではなくて地味にやることが身上です。今改めて思うと、私のバスケの考え方というのは、富士通時代に相澤さん(優子、シャンソン)や李コーチにいろいろ教えてもらったことが基礎になっています。勝負することの大切さや、チームを作ることなどです。だから今は移籍しましたけれど、富士通時代のチームメイトの方々には本当に感謝しています。
——最後に来シーズンの目標と自分自身の課題を教えてください。
目標は優勝を狙えるチームに成長していくこと。個人としてはチームが成長する原動力になること。それと課題はコーチやチームメイトから求められていることを忠実にこなせるようになることです。求められていることは外角のシュート率アップとゲームコントロール。今シーズンは1番(PG)も2番(SG)もやることがあったので、両方臨機応変にできることが課題です。自分としてはシューターのほうが好きなんですけれど(笑)
質問コーナー(ホームページに寄せられた質問にお答えします!)
●尊敬する選手、あこがれの選手はいますか? その選手のどんなところが好きですか。
シャンソンの相澤優子さんのファンです。プレイのダイナミックさや球際の強さ、大事なところで決める勝負強さが好きですね。バスケットに対する技術はもちろんなのですが、バスケットに対する姿勢やひとつのプレイの集中力、何よりもバスケットをすることへの情熱はすごく尊敬しています。ちょっとホメすぎでしょうか(笑)
●マンガが好きとのことですが、どんなマンガが好きですか?
どんなマンガでも好きです。少女マンガ、少年マンガ、SF、ミステリー、コメディ何でも読みます。が、ホラーは怖がりなので読めません。ほとんど自分で買わずにチームメイトから借りたり、マンガ喫茶に行って読みます(笑)。唯一、全巻持っているのはあだち充の「タッチ」と「H2」。結局、読みやすいのが好きなんだろうと思います。
●私は1、2番のポジションを兼任しています。兼任する時はどのようなことに気をつけたらいいでしょうか。私はどちらかといえば2番をやっています。
私も2番が多いのですが、たまに1番もやります。まずは、戦う試合でどのような状況で自分がプレイすべきなのかを考えます。コーチの指示があるならば忠実にこなさなければならないし、一緒にコートに立っているメンバーによっても、その中で自分がどういった役割をすべきなのかを判断していきます。2番でプレイするならば、1番のサポートとアウトサイドとインサイドのつなぎをすること。私がもっとも重点を置いていることはチームメイトの動きに合わせて、いいタイミングでシュートを打つことを考えています。
●これだけは譲れない“こだわり”のものはありますか?
ファンタの新しい味が出たらとりあえず試します。最近好みだったのはキウイ。でも、今までで一番好きなのはフルーツパンチ。自分が小学生の時と3年くらい前に売っていたのに近頃はめっきり見かけなくなりました。また作ってほしいです。あと炭酸飲料で好きなのが「マウンテンデュー」。お風呂屋屋に行った帰りは必ず飲みますね。こだわりといえば炭酸飲料くらいかな? こだわりのものを持っている人はカッコイイなあと思います。
●バスケットをやっていなければどんな職業に就いていたと思いますか? また子どもの頃の夢は何ですか?
バスケをやっていなかったら…何でしょうか? 多分、小さい会社の事務員かな。大手は無理だし、細かい作業は下手だけど単純作業は嫌いじゃないので、雇ってもらえたら地味に仕事をして暮らしていたと思います。小さい頃の夢は美容師です。父親が美容関係の仕事に就いているので、美容室に行くとオシャレなお兄さんやお姉さんが優しくしてくれてちょっと憧れました。でも自分はファッションセンスも社会性も愛想もないんですよ。だから目指さなくて良かったと思っています(苦笑)
構成/小永吉陽子